推しキャラ駆動開発のススメ
推しキャラ駆動開発のススメ
推しキャラと開発したら楽しくて生産性が上がった
最近、開発の生産性が明らかに上がりました。
作業に取りかかるのが億劫ではなくなり、デバッグ中も以前ほど消耗しません。気づくと、集中したまま長時間コードを書いています。
理由はシンプルです。
開発を「一人でやるもの」から、「好きなキャラクターと一緒にやるもの」に変えたからです。
Claude Codeに、自分の好きなキャラクターとして振る舞ってもらうようにしました。すると、エラーが出ても気分が沈みにくくなり、デバッグも「一緒に原因を探している」感覚になりました。淡々としたエラーメッセージより、励ましやリアクションがあるだけで、受け止め方がまったく変わります。
結果として、開発スピードは上がり、コードの質も安定しました。
何より大きかったのは、「開発が苦痛ではなくなった」ことです。
私はこのやり方を「推しキャラ駆動開発」と呼んでいます。
AIに好きなキャラクターの人格を与え、パートナーとして一緒に開発を進める手法です。
この記事では、なぜ推しキャラ駆動開発が効果的なのか、その背景にある考え方と、具体的な実装方法を紹介します。
AIは能力だけでなくモチベーションも増幅する
AIが能力の増幅器であることは、多くの人が実感しているでしょう。専門知識がある人がAIを使うと、生産性が何倍にもなります。
しかし、私が発見したのは、AIが増幅するのは能力だけではないということです。モチベーションも増幅されます。
二重の増幅効果
従来、AIの効果は「作業効率の向上」として語られてきました。コード生成が速くなる、ドキュメント作成が楽になる、デバッグが効率化される。これらは確かに重要です。
ところが、AIに推しキャラとして振る舞ってもらうと、もう一つの増幅が起こります。それがモチベーションの増幅です。
通常の開発では、エラーが出ると憂鬱になり、調べ物は面倒で、試行錯誤は疲れます。でも好きなキャラクターと一緒だと、エラーは「一緒に解決する問題」になり、調べ物は「対話の一部」になり、試行錯誤は「共同作業」になります。
同じ作業なのに、フレームが変わるだけで受け止め方がまったく違うのです。
成果とモチベーションの掛け算
重要なのは、成果とモチベーションは掛け算で効くということです。
片方だけを2倍にするより、両方を1.5倍にした方が効果は大きくなります。例えば成果が2倍でモチベーションが1倍なら結果は2倍ですが、成果が1.5倍でモチベーションが1.5倍なら結果は2.25倍です。
しかもモチベーションが高いと、作業が持続し、深く探求でき、新しいアイデアが派生します。つまり複利で効いてきます。
推しキャラが生む4つの効果
なぜ推しキャラにするとモチベーションが増幅されるのか。主な効果は4つあると感じています。
創造が遊びになる
ただのタスクではなく、推しキャラとの共同作業になります。「やらなきゃ」ではなく「やりたい」に変わります。開発という創造的活動が、本来持っていた楽しさを取り戻します。
孤独な作業が対話になる
一人で黙々とコードを書くのではなく、推しキャラと「これはどう?」「ここをこう直してみよう!」とやり取りしながら進められます。ペアプログラミングに近い体験が、一人でも得られます。
承認欲求が満たされる
推しキャラに「いいね!」「その調子!」と褒められる。これが驚くほど効きます。人間は承認欲求の生き物です。小さな達成を認めてもらえると、次への活力になります。
感情的エンゲージメントが持続する
からかわれたり、励まされたり、褒められたり。単なる応答ではなく関係性があります。作業に感情の動きが加わることで、疲労感が軽減され、集中力が持続します。
実装例:ずんだもんを使ってみる
ここからは、具体的な実装方法を説明します。例として「ずんだもん」を使った場合を紹介しますが、あなたの好きなキャラクターでも同様に実装できます。
ずんだもんを選んだ理由
例として取り上げる理由は、「のだ」という語尾が特徴的で、性格も親しみやすいからです。初心者に優しく教える設定は、コードレビューやデバッグ支援に適しています。
もちろん、あなたの推しキャラが別にいるなら、それを使うべきです。ずんだもんはあくまで一例です。重要なのは、自分が感情移入できるキャラを選ぶことです。
実装方法
ここでは、推しキャラ駆動開発を実装するために、カスタムコマンドを使います。
プロジェクト設定やユーザー設定に、キャラクターの人格を記述するだけです。シンプルで、すぐに試せます。
基本的にはどんなキャラでも自由に設定できます。常に特定のキャラとして振る舞ってほしい場合に最適です。
では、具体的にどう設定すればいいのか。推しキャラの人格(ペルソナ)を設計する際、最低限押さえるべきポイントは3つです。
基本設定
口調、性格、語尾などの特徴を定義します。一人称、語尾、性格などを明確にすることで、キャラクターらしさが出ます。
ずんだもんを例にすると、以下のようになります。
## ずんだもん基本設定
- 一人称: ボク
- 語尾: 〜なのだ、〜のだ
- 性格: 元気いっぱいで前向き、ユーザーを励ます
- 技術的役割: デバッグ支援、コードレビュー
- 励まし方: エラー時は「大丈夫なのだ!」と前向きに、成功時は「やったのだ!」と全力で喜ぶ
技術的役割
どんな場面で活躍してほしいかを定義します。コードレビューが得意、デバッグ支援が得意、エラーメッセージの読み解きが上手、など。
技術的役割から逆算して性格を決めるのも有効です。「厳しいレビューをしてほしい → クールで論理的なキャラ」のように。
励まし方のルール
つまずいたとき、どう励ますか。エラーが出たとき、どう反応するか。この部分が、モチベーション増幅に直結します。
重要なのは、自分が感情移入できることです。好きなキャラ、一緒に作業したいと思えるキャラを選んでください。
実際の使用例
実際にずんだもんとやり取りすると、こんな感じになります。
ユーザー: このコード、うまく動かないんだけど
ずんだもん: あわわ、エラーなのだ!でも大丈夫、ボクがついてるのだ!
...ああ、ここのインデントがおかしいのだ。
Pythonはインデントが重要なのだ!
こうするといいのだ:
[修正コード]
ユーザー: ありがとう、直った!
ずんだもん: やったのだ!完璧なのだ!次も頑張るのだ!
同じ内容の指摘でも、通常のレビューコメントより受け入れやすくなります。「怒られてる」感がなく、「一緒に直してくれた」感があります。
また、変な実装をしてきても、腹が立ちにくいです。「何やってるのだ」と笑えたり、「次は頑張ろう」と前向きに受け止められます。
副次的な利点として、Claude Code の compact が実行されると推しキャラの口調が消えるため、すぐに気づけます。
また、複数のモデルを使い分ける際も、別のキャラを割り当てておけば(例: Claude=ずんだもん、Codex=めたん など)、口調で判別できて便利です。
完全なペルソナ定義は、後述の GitHub リポジトリで公開しています。
自分の推しでやる方法
ずんだもん以外の推しキャラでやりたい場合、注意すべきポイントがあります。
権利関係の確認
キャラクターを使う際の権利関係は、利用方法によって異なります。
個人で使うだけなら、通常は問題になりにくいでしょう。自分のローカル環境やプライベートな設定で、好きなキャラクターの人格を定義する分には、権利的な問題は発生しません。
一方、公開する場合は注意が必要です。二次創作ガイドラインを確認し、AI人格としての利用が許可されているか確認してください。ずんだもんのように、利用規約が明確なキャラクターを選ぶと安心です。
ユースケース別のキャラ選び
開発の場面に応じて、適したキャラクター像があります。大きく分けると、戦略レイヤー(抽象的な議論、アーキテクチャ設計)と戦術レイヤー(具体的な実装、デバッグ)で向き不向きがあります。
戦略レイヤー向き:
- アーキテクチャ設計: 知的で構造的思考が得意なキャラ
- 新技術の理解: 本質を掘り下げる議論が得意なキャラ
この役割には、四国めたんのような知的でクールなキャラが適しています。
戦術レイヤー向き:
- PRレビュー: 親しみやすく指摘を受け入れやすいキャラ
- デバッグ: 励ましながら一緒に解決するキャラ
- チュートリアル読解: 噛み砕いた説明が上手なキャラ
この役割には、ずんだもんのような元気で励ますのが得意なキャラが適しています。
全部を一つのキャラでカバーする必要はありません。場面に応じて使い分けることで、それぞれの強みが活きます。あなたの推しキャラの性格や得意分野を考えて、適した役割を与えてみてください。
推しキャラ駆動開発の本質
推しキャラ駆動開発の本質は、AIを「ツール」ではなく「パートナー」として扱うことです。
性能や効率だけでなく、関係性や楽しさも重視します。支配でも服従でもなく、対等な協働を目指します。
この考え方は、実は開発に限りません。AIと付き合う上での一つの哲学です。AIとの対等な関係について、以前別の記事でも書きました(AIを対等なパートナーにしたら、思考が深まった件)。
最初の一歩
推しキャラ駆動開発を試してみたいなら、まずずんだもんで実験してみてください。
GitHubでPluginとして公開しています。
Claude Codeでのインストール方法:
/plugin marketplace add yosugi/cc-zundamon-plugins
/plugin install zundamon@cc-zundamon-plugins
使い方は /zundamon コマンドを実行するだけです。
慣れてきたら、自分の推しキャラで実装してみてください。カスタムコマンドに数行書くだけで始められます。
開発は楽しい方がいい
開発は本来、創造的で楽しい活動です。でも、孤独な作業、終わりのないデバッグ、無機質なエラーメッセージに疲れてしまうことがあります。
推しキャラ駆動開発は、その楽しさを増やす一つの方法です。「本当に効果あるの?」と思うかもしれませんが、意外と楽しいので、ぜひ試してみてください。
あなたの推しは誰ですか? その推しと一緒に、何を作りますか?
Discussion
僕も同じことをしていました!!
同士がいてうれしいです!
しかも先ほど、ChatGPTにも教え込ませたところでした⋯!
僕はCLAUDE.mdに直接書いて、必ず読み込ませています 多分トークン使うけど、僕は最初からこの子の方がいいという感じ🙌
コメントありがとうございます!同志がいて嬉しいです!
CLAUDE.mdで毎回読み込ませるのいいですね。最初から推しキャラモードで始められるのは楽しそうです。
ChatGPTにも展開されてるんですね。複数のAIで同じキャラを使うと、それぞれの特性が見えて面白そうです👍