JAZZ遊戯三昧

JAZZ専用スタジオ「Studio 303」オススメのジャズアルバムをご紹介!

   

「庭の話」& 今年のジャズを振り返って

コレクティフな場を求めて

 Motion II  OUT OF/INTO アウト・オブ/イントゥ 

2025年もあとわずか

今年の私にとっての音楽との関わりなど

振り返ってみたいと思います

 

最初に、今年読んだ本で

一番面白かった

宇野常寛の「庭の話」のはなしを

「私」と「公」をまたぐ

「庭」という場の可能性を論じている

詳しくは、書かないが、「庭」の条件として

・事物の生成変化する豊かな生態系が維持されていること

・人間外の事物とのコミュニケーションが可能なこと

・目的志向ではなく、関与できるが支配されないこと

・ありのままの自分で、ひとり遊んでいられること

そんな孤独に事物と触れ合える環境づくりを

模索している感じが

とても新鮮で面白かった

こう言う視点でまちづくりや

いろいろなネットワークが

緩やかにつながっていく世の中になればと

想像してみたりもする

色々考えさせられる本であった

 

さて、自分にとって

今年の大きな出来事はなんといっても

音楽専用のスタジオ Studio303

オープンしたこと

まだまだ試行錯誤だが

徐々に会員の方も増えてきて

利用していただくことが

やはりとても嬉しいし、ときめく

焦らず、地道に工夫を重ねながら

楽しく、密かに(笑)音楽に向き合えるような

場所にしていきたいと思う

「庭の話」で定める「庭」の条件を

満たしていないかもしれないが

「ジャズ」という事物に孤独に向き合えることのできる

コレクティフな場の一つの仕掛けになればと

考えている

 

さて、本題の今年、印象に残った音楽のはなし

以前は年末に、新作の今年のベスト3を

選んで紹介してきたが

最近は、網羅して聴くことも少なくなり

とても「ベスト」と名を打つにはおこがましく

今年から、「今年のジャズを振り返って」

とタイトリングすることにした

 

まずは、いきなりジャズではなく恐縮だが

サブリナ・カーペンター

もう理屈なく、身体が反応してしまう

説明不要

 

次に、まだこのプログでの紹介が

間に合っていないが

もう圧倒的としかいえない決定打

「アウト・オブ/イントゥ」の

「Motion 1&2」

 

スーパーゴージャスなジャズを

年末聴き納めとして奉ります

 

2、3年前から

タイニー・デスク」という番組を通じて

広くいろんな音楽に触れるようになって

「映像」を通じて得られる、音楽だけでなく

アーティストの語らいやファッション

演者間の意思疎通の仕方などの情報により

ある意味、直感的に「あ!これっ」と

心酔してしまうケースが増えた

今年のサブリナ・カーペンター然り

過去には、タイラー・ザ・クリエーター

ムーン・チャイルドマック・ミラー

アレックス・アイズレーピンクパンサレス

などなど

いずれも、一見して取り込まれてしまった

アーティストである

 

世の中には、まだまだ知らない

面白いものがいっぱいあるんだなと

 

あと、最後に大大大大好きな

ルイス・コールの音楽を2本お届けして

良いお年を!


www.youtube.com


www.youtube.comムーン・チャイルドのメンバーが参加してるのを発見!

 

 

 

 

 

 

最強のフレディ なんてゴージャスなサウンドだろう!

Freddie Hubbard フレディ・ハバード Ready For Freddie

これまで、フレディ・ハバード

リーダーアルバムを

一枚も紹介していないことに最近気づいた

 

リーダーアルバムより

むしろサイドマンとして

比類なき数々の輝かしい痕跡を

残してきた印象が強いフレディであるが

フレディの存在が加わることで

全体のサウンドクオリティが

格段に気品高く、ゴージャスになるから

やはりプロ仲間から引っ張りだこだっと思う

 

結論から言うと

テクニックだけでなく

これだけの説得力と歌ごころ、リズム感

そしてバランス感覚を備えた存在感を放つ

トランペッターは他にいないと思うのである

 

特に60年代前半から中頃にかけての

彼の演奏は神がかっている気がする

「神ってる!」のである

 

このアルバムを聴くと

フレディの作曲や編曲の能力の素晴らしさも

改めて感じる

冒頭曲のArietis、Birdlike、Crisisが

フレディのオリジナル曲だが

コード進行や構成も物語的で面白く

奇抜さに溢れている

 

そして、何より

フレディ自身の若さ(23歳)溢れるプレイ

初々しいショーターの即興

エルビンやマッコイらによる鉄壁のリズムサポート

に彩られた作品の仕上がりは

なんてスリリングでゴージャスなんだろう!

これこそ、ジャズの醍醐味と言いたい

 

できれば、素晴らしいオーディオ装置で

できる限り大きな音で

この重厚で流麗なサウンド

身を浸してもらいたいと思います

 

Freddie Hubbard (tp)
Wayne Shorter (ts)
Bernard McKinney (euphonium)
McCoy Tyner (p)
Art Davis (b)
Elvin Jones (ds)

 

Recorded 1961.08

 

1. Arietis
2. Weaver Of Dreams
3. Marie Antoinette
4. Birdlike
5. Crisis


www.youtube.com

 

「コード」から「台詞」へ  いま最も先鋭なピアノトリオ 

KRIS DAVIS  クリス・デイヴィス  Run The Gauntlet

今年の新譜ではないが

昨年10月にリリースされた

カナダ出身のピアニスト

クリス・デイビスの作品を紹介したい

 

正直、下記のタイニーデスクの動画を観て

初めてこのアーティストを知ったのだが

只者ではない予感に

久しぶりに興奮してしまった

 

これまで聴いたことのない

アノトリオのスタイル自体が

革新的で印象的であるのは勿論だが

スタイルや曲の構造、展開上の奇抜さだけでない

伝統的なジャズの確かな語法や

演者の卓越した技量に裏付けされた

確かな演奏に説得力があるのである

 

クリス・デイビスについて

少し調べたのだが

とても示唆的な彼女の言葉があった

「もはやコードを弾くのではなく、

 ただセリフを弾くことに決めた」

この言葉は、とてもわかる、共感できるのである

 

ジャズの基本として一般的に

コードプログレッションというものがあり

コードに沿ったメロディや即興、時には

リズムが誘発されてくるのであり

それがジャズらしい醍醐味、安定感を生むのである

ところが、コード進行というルールに

捉われたり、依存し過ぎていると

どうしても演奏がマンネリ化したり

既存のスケールやアドリブに囚われ

文脈から逸脱したような、より自由な

即興の展開に限界を感じてくるものである

 

マイルスが発展させたモード手法も

コード支配からの解放を目指した

より自由な即興の手法の在り方の提示であった

 

クリス・デイビスはそれを

「コード」から「セリフ」という

言い方をしているところが

非常に面白く、センスがある

「台詞(セリフ)」には

ノローグ(独白)とダイアローグ(対話)があるが

その両面性があるところが

音楽的に考えると

とても刺激的な意味合いを持つように思える

 

このピアノトリオでは

まさにモノローグのエレメントと

ダイアローグのエレメントが

素晴らしいバランス感覚で配置されている

 

このトリオの場合

テーマ提示が、しっかり譜面化されている

ところも私的にはとても好ましい

なかなか考えつかないTheme(テーマ)を

提示しているクリスの非凡さにはとても刺激を受ける

 

そして何より、各楽器のソロにおけるアプローチが

コード進行から自由に逸脱し、飛翔し

スポンティニアスなモノローグやダイアローグの

魅力に溢れているところ本当に素晴らしい

 

ベースのロバート・ハースト(懐かしい!)や

今や最高峰のドラマー、ジョナサン・ブレイクといった

最強のサポーターの力量に負うところも

多いとは思うが

グループ全体のデザインは

完全に非凡なクリス・デイビス

ディレクションしており

メンバーもクリスへの確かな信頼感があるのか

実に楽しそうに演奏している

それにしてもジョナサン・ブレイク!

カッコ良すぎる

 

まだ、日本では

それほど知られていないような気もするが

このクリス・デイビス

メルドー以降、最も実験的で

次代への影響力も兼ね備えた

素晴らしい逸材であると感じたのは

私だけであろうか

 

Kris Davis(piano)
Robert Hurst(bass)
Johnathan Blake(drums)

 

1   Run The Gauntlet
2  Softly, As You Wake
3   First Steps
4   Little Footsteps
5   Heavy-Footed
6   Beauty Beneath The Rubble
7   Beauty Beneath The Rubble Meditation
8   Knotweed
9   Coda Queen
10  Dream State
11   Subtones

 

タイニー・デスクの映像。白眉は4曲目の「Run the Gauntlet」


www.youtube.com

 

 

 

 

音楽を志す諸氏へ ウェザー・リポート まずはこれから聴いてみよう!

  Weather Report  ウェザー・リポート Heavy Weather

若い音楽を志す皆さんへ

 

これまで

世の中には本当に多くの素晴らしい音楽が

創造されてきました

そして、この今、この瞬間も

聴いたことがないような

ワクワクするイカした音楽が

世界のどこかで誕生していることでしょう

 

1977年に誕生した

ウェザー・リポートの代表作「ヘビー・ウェザー」を

久しぶりに聴き直して、まず思ったのは

発売当時、自分自身が

どれだけワクワクし、衝撃を受けたかということと

いま、ウェザー・リポートの凄さを

どのように若い方にお伝えしたら

良いのだろうかということ

 

このアルバムは

ウェザー・リポートの中では

最も聴きやすいアルバムであるとともに

音楽の醍醐味である「反復」と「差異」

言い換えれば、その「規則性」と「逸脱」

さらには、「ビート(確かな存否)」と

「うねり(生成変化)」といった

神業というべきバランス感覚が微細に行き渡った

エポックメイキングなアルバムなのです

 

聴きやすさ、わかりやすさというのは

恐らく、想像を絶する

目論見、計算、鍛錬、戯れが

時間の経過の中で

熟成されていくものなのであろう

 

このアルバムを

音楽を志す若い方に

真正面から、真剣に、吟味しながら

向き合ってほしいと思うのは

そうした、彼らの気の遠くなるような

音楽の探求の軌跡を

この一つ一つの作品の中から

読み取っていただきたいからなのである

 

いまだに、ザビヌル或いはウェザーの信奉者が多くいて

完全コピーしたり譜面化したりするマニアが絶えないのは

彼らの音楽の持つ革新性、深淵さ

そしてポピュラリティ(普遍性)の素晴らしさに

取り憑かれ、魅了されるからであろう

 

「ヘビー・ウェザー(1977年)」

「ミスター・ゴーン(1978年)」

8:30(1979年)

ナイト・パッセージ(1980年)

ウェザー・リポート(1982年)」

あたりの作品は、ウェザー・リポートの入門編として

まさにふさわしいテキストであるので

ぜひ、多くの若い方に聴いてほしいのです

 

音楽に行き詰まりを感じているあなた

こんなに複雑で、軽くて、ヘビーで、グルーブの効いた

奇想天外にサウンドがどのように生み出されたかを

ぜひ探ってみてほしい

ひょっとして、その先には

新たな音楽の地平が見えてくるかもしれないですよ

 

Joe Zawinul – Keyboards, Fender Rhodes, Piano, Melodica, Tabla
Wayne Shorter – Soprano Saxophone, Tenor Saxophone
Jaco Pastorius – Fretless Electric Bass, Mandocello, Steel Drums
Alex Acuña – Drum, Congas, Handclaps
Manolo Badrena – Congas, Tambourine, Timbales

 

1. Birdland
2. A Remark You Made
3. Teen Town
4. Harlequin
5. Rumba Mamá
6. Palladíum
7. The Juggler
8. Havona

 


www.youtube.com

 

 

 

 

 

 

 

 

ドラム最後の巨匠 ジャック・ディジョネット逝く

訃報を聞いて
自分にとって、
とても大きいことを改めて思い知らされた
 
彼の歩んできた活動歴を辿ると
自分が親しんできた音楽遍歴を概観することができる
 
マイルス、エバンス、ロイド、キース、ハンコックなどと
共に繰り広げられた彼のパフォーマンスは
いつもクリエイティブで繊細で的確、そしてパワフルであった
 
そして、今回、紹介する彼のリーダーアルバム
スペシャル・エディッション」シリーズの一枚
「アルバム・アルバム」は学生時代一番聴いた
作品の一つである。
 
なんだか、ジャックが相当気合を入れて創ったという
印象がアルバムに充満している
ジャック自身が弾くかなり上手いピアノもフューチャーされ
多重録音までして
自身のルーツである音楽をベースに
新たなサウンドに昇華させようという気概に満ちている
今聴いても、なお新鮮であり
強烈なインパクトを備えているアルバムだ
 
今こそ、彼がリーダーであった
最高のユニット「スペシャル・エディション」を
再評価したい
 
本当に寂しい
コンテンポラリージャズ界
最強の最後のドラマーが逝ってしまった
ご冥福をお祈りします
 
 
1. Ahmad The Terrible
2. Monk's Mood
3. Festival
4. New Orleans Strut
5. Third World Anthem
6. Zoot Suite

John Purcell - alto saxophone, soprano saxophone
David Murray - tenor saxophone
Howard Johnson - baritone saxophone, tuba
Rufus Reid - bass
Jack DeJohnette - drums, keyboards

Recorded on June 6 & 7, 1984 at The Power Station, NYC.

 
 
 
 
 

ハンコックのローズ・ソロで一番好きな曲なんです!

Herbie Hancock   ハービー・ハンコック Secrets

私のアイドル、ハービー・ハンコック

最近、また聴き直しているのだけれども

やはり、この人、改めて、ピアノが上手いなぁと・・

 

まず、バッキングが抜きんでて上手い

よくあんなタイミングで気持ちいい

合いの手が打てるなあと

多分、共演者もそのツボを得たバッキングで

極楽の気分で、ソロを繰り広げられる喜びに

溢れるのであろう

 

今回は、ハンコックのエレクトリックピアノ

フェンダーローズという楽器に焦点を当てて

まさに、このローズピアノの魅力を最大限に

生かした最高のソロプレイをご紹介します

 

フェンダーローズの演奏者にとっての魅力は

やはりその独特なウォームな音と

タッチレスポンスの心地よさにありますが

ピアニストによって、音色や奏法に特徴が出ます

ザビヌルのキレの良いバッキングによるローズ音

リチャードティーの夢ごごちのコーラスがかかったローズ音

チック・コリアのワウワウするディストーションのローズ音

どれもアーティストの個性を発揮できるツールとして

実に効果的にローズサウンドが、

楽曲の雰囲気づくりに貢献している

 

中でも、ハンコックのローズ使いは神業で

ハンコックのメロウでファンキーなフレーズを

表現するのに最適な音色とダイナミクスを実現しており

全身蕩けてしまう感覚になる

その感覚を、ぜひ

このアルバムの「Prople Music」という曲で

堪能していただきたいのです。

 

この曲の中盤に差し掛かり

3分 30秒あたりから

幻想的な雰囲気の中で浮かび上がってくる

ハンコックのローズソロの

秀逸さと言ったら!

こんなかっこいいローズソロには

なかなか出会えない

 

隠から陽への展開構成

陽になった時の立ち上がりの鮮やかさ

レイドバックぶり

全てが完璧である

 

学生の時に完コピしたけれども

どうも、ハンコックのような雰囲気が出ないので

悩んだ記憶がある

ちょっとしたニュアンスの違いで

このメロウでゴージャスで完璧なローズサウンド

陳腐なものになってしまう

 

ヘッドハンターズ以降のハンコックの諸作である

このシークレッツ、ミスター・ハンズ、サンライト

といったアルバム群は

ハンコックのローズ巧名ぶりを

味わい尽くすことができる傑作群ですので

ぜひ聴いてみてくださいね

 

1. Doin' It 
2. People Music 
3. Cantaloupe Island
4. Spider
5. Gentle Thoughts
6. Swamp Rat
7  Sansho Shima

 

Herbie hancock(key),

Ray Parker Jr. (g),

Wah Wah Watson (g),

Paul Jackson (b),

James Levi(ds),

Kenneth Nash(per)

 

 

死ぬほどカッコイイ、ハンコックのローズソロ(3:30過ぎから)


www.youtube.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今一番気になる日本人ジャズピアニストNo.4 魚返明未

魚返明未  Ami Ogaeri Trio  照らす

昨日、岐阜県可児市

可児市文化創造センター alaで開かれた

「森山威男ジャズナイト2025」に出かけた

岐阜県可児市に移り住んで以来

地元でこの企画を20年以上

毎年開催しているのは

すごいことである。

会場も常連さんが多く

満員に近くジャスでもこれだけの

お客さんが呼べるんだと・・・

 

森山威男御大は、もう80歳ということだが

相変わらずパワフルでエッジの効いたドラムが

気持ちよかったし

今回は、コンボ一人一人のジャズとの出会いに

焦点を当てた企画もとても面白かった。

 

なかでも、今日のコンサートの狙いは

魚返明未のピアノ!

 

期待どおりの変化のある表情豊かな

彼のピアノプレイに酔いしれた。

共演していた川嶋哲郎が

魚返のプレイに興味津々で聴き入っている様子が

自分としてはなんだか嬉しかった。

 

このピアニストの可能性は

計り知れない。

冒険的であり、知的であり

時には静かに、極めてロマンティックに

そして時には、アグレッシブで挑戦的

どのポジションでも

その緊密な音の像は

聴くものを緊張させ、昇華させる

サムシングを持っている。

 

平倉初音、布施音人、若井優也とともに

今一番聴いてみたい、期待している

日本人ジャズピアニストである。

 

このアルバムは発売から時間が経っているが

ピアリトリオという

ある意味ピアニストとしての力量や

創造過程の構成力が問われる

フォーマットの中で

彼のさまざまなエレメントや表情が

しっかり記録された傑作であると思う。

 

それにしても

高橋陸と中村海斗というリズムセクション

ピアニストにとっては

気持ちが良いのであろうなぁ

引っ張りだこである

 

魚返明未(pf)
高橋陸(b)
中村海斗(ds)

1.曇り空
2.洞窟
3.照らす
4.アルコールジェル
5.間奏曲I
6.棘
7.Normal Temperature
8.間奏曲II
9.昨日の雨
10.夏の駅
11.かけら

 


www.youtube.com