"ゆりかごの歌"を聴きながら

何年、何十年経ってから、何をしていたか見返すための記録

(読書記録)出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと

正に著者が表題を行った模様を記載した一冊。

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夫に別れを告げ家を飛び出し、宿無し生活。どん底人生まっしぐらの書店員・花田菜々子。仕事もうまく行かず、疲れた毎日を送る中、願うは「もっと知らない世界を知りたい。広い世界に出て、新しい自分になって、元気になりたい」。そんな彼女がふと思い立って登録したのが、出会い系サイト「X」。プロフィール欄に個性を出すため、悩みに悩んで書いた一言は、「今のあなたにぴったりな本を一冊選んでおすすめさせていただきます」———。

実際に出会った人達は魑魅魍魎。エロ目的の男、さわやかに虚言癖の男、笑顔がかわいい映像作家……時には自作ポエムを拝見し、かわいい女子に励まされ、優しい女性のコーチングに号泣しながら、今までの日常では絶対に会わなかったような人達に、毎日毎日「その人にぴったりの」本を紹介。え、もしかして、仕事よりもこっちが楽しい!
サイトの中ではどんどん大人気になる菜々子。だがそこに訪れた転機とは……。
これは修行か? 冒険か? 「本」を通して笑って泣いた、衝撃の実録私小説!

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タイトルがぶっ飛んでいることから少し内容が不安であったが、内容は至ってまともで、本当に出会い系サイトを利用しつつ、著者自身の生き方、進む道が変わっていく様子が描かれている。

出会い系で出会った初対面の人に本を薦めるというのは、非常に面白い発想で、確かに自分も本を紹介してほしくなる。本書では実際に紹介した本も記載されており、登場人物に合わせた本であるため、全てに興味を持つものではないが、いくつかの本は読んでみたいなと感じさせるものであった。

ちなみに出会い系サイトと聞くとひと昔はハードルは高かったものの、いまはマッチングアプリも当たり前であり、時代も変わったと感じる(自分はいずれも使ったことはないが)。また、出会い系とかマッチングアプリでなくとも、例えばジモティーなどのサークルの募集などはネットで行われていることも珍しくないし、自分も利用したことがある。一対一で会うという点は少し異なる側面はあるが、ネットで新しい出会いという観点では、既に相当に浸透しているようにも改めて感じた。

 

(読書記録)サボテンは世界をつくり出す 「緑の哲学者」の知られざる生態

筆者のサボテンに係るエピソードとサボテンの生態などの詳細を解説した新書。

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サボテンを道先案内人に
エキサイティングな知の旅へ、いざ出発!
日本で唯一のサボテン学者である著者がその驚異のしくみを解き明かし、
CO2削減など温暖化防止効果や食料の可能性といった、
“地球の救世主”の面もクローズアップする。
さらに、文化・社会・技術・信仰の交差点を行き交う多義性を描出し、
生物の存在について思索する。
サボテンのワンダーワールドをあざやかに描く一冊!
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個人的にサボテンに特段の興味があるものでは全くないが、この本を読んでサボテンそのものよりも、サボテンを研究している著者に興味を持った。そして、著者の体格もすごいのも研究内容とのギャップを感じる。

フットワークが軽い(?)、かつ、研究のために各地を飛び回り、様々な体験をしている描写はサボテンに関心がなくても面白いと思う。サボテンの生態など委細を記載している部分はあるものの、著者のエピソードだけ読んでも十分に楽しめると感じた。

なんとなく、以前読んだバッタの研究者である前野ウルド浩太郎氏の著書というか、体験を思い出し、未知の分野に飛び込む苦労というものを改めて垣間見えた。

 

(読書記録)インターフォン

団地を舞台にした短編小説。

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市営プールで見知らぬ女に声をかけられた。昔、同じ団地の役員だったという。気を許した隙、三歳の娘が誘拐された。茫然とする私に六年生の長男が「心当たりがある」と言う(表題作)。頻繁に訪れる老女の恐怖(「隣人」)、暇を持て余す主婦四人組の蠱惑(「団地妻」)等、団地のダークな人間関係を鮮やかに描いた十の傑作ミステリ。

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面白いほどに暗い話が多く、団地を差別するものではないが、やはり団地住まいという点がストーリーに味を出しているように思う。読んでよい気分になるものでは必ずしもないが、何となく先が気になって読み進めてしまうような作品ではあると感じた。

 

(読書記録)娘に語るお父さんの歴史

前書きにもあるとおり、フィクションではあるものの、著者の歴史を語ったノンフィクションの要素が強い小説。

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「お父さんの子どもの頃って、どんな時代だったの?」15歳の娘からの問いを機に、父は自分が育ってきた時代の「歴史」を振り返ることに。あの頃、テレビが家庭の中心だった。親たちは「勉強すれば幸せになれる」と信じていた。宇宙や科学に憧れ、明るい未来へ向かって全力疾走していた――。そして、父が出した答えとは。明日へ歩み出す子どもたちへ、切なる願いが込められた希望の物語。

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何のジャンルに該当するかは分からないが、1960年代に生まれた著者が自分の子供の頃などを中心に振り返り、歴史を子供につないでいくストーリー。自分はこの時代を過ごした世代では全くないが、当時がどのような時代であったか、あるいは、著者がどのように感じていたかという点は良く伝わってきた。

特にテレビが時間という概念を明確にしたのは頷けるし、車の普及により子供が外で遊べないなどもそのとおりだと思う。

そして、文中にもあるとおり、「目指すべき『幸せ』のありかが(いまよりはクリアに)見えていた」時代であったのだろう。

自分が生まれた、そして、子どもの頃の時代も社会、身の回りに楽しいことやつらいことが多々あったが、(そして、その多くを忘れてしまっているが)何となく楽しかったとは思うが、これからの時代は楽しい、幸せなのだろうかとも同時に感じる。

本書の言葉を借りれば、「いまがたとえ不幸でも、未来には幸せが待ってると思えるなら、その時代は幸せなんだよ。つまり、未来が幸せだと信じることができる時代は、幸せなんだ」、「子どもは、未来なんだ。未来を生きるのが子どもの役目だ。未来が幸せだと信じることは、子どもが幸せになると信じることでもあるんだよ」。それなりに大きくなったが、自分の「歴史」という意味でも、まだやるべきこと、できることは何となくあるのかもしれない。

自分も(非常に小さいながら)歴史の一部を生きているものであり、自分が通ってきた、感じてきた歴史を振り返ってみるというのも面白いなと思った。

 

(読書記録)777 トリプルセブン

殺し屋シリーズの第4編。

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殺し屋シリーズ最新作。世界で最も不運な殺し屋、ふたたび!!

あの世界で一番不運な殺し屋が、また騒動に巻き込まれる――。『マリアビートル』では新幹線から降りられなかったが、今度は東京の超高級ホテルから出られない……!?

伊坂幸太郎、2年ぶりの完全書き下ろし。殺し屋シリーズ最新作。

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過去の作品と同様に、面白いぐらい次々と人が死ぬという感想。この作品に限らず、伊坂幸太郎の第三者的に俯瞰するような立場で物語が進むというか、独特のタッチは秀逸だと思っており、似たようなテイストの作品はあるものの、同氏の作品は一線を画すなといつも感じる。

これだけ人が殺されているにもかかわらず、ハッピーエンドではないが、何となくいい感じの作品になっているのも興味深いと思った。

 

(読書記録)自炊力

初心者向けに自炊するに当たっての前段階の心構えや知識などを記載した一冊。

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「買い物に行き、その場で献立を考えられる」「食材の質と値段のバランスを考えつつ、買い物ができる」「買った食材と家にある食材を取り混ぜて、数日間の献立を作り回していける」「なおかつ栄養バランスを考えられる」――フードライターの著者は、上記の能力を「自炊力」と名付けた。テレビの料理番組の活用法から正しい買い物のテクニックまで、「自炊をはじめたい」人が、今日から取り組める食生活改善法を徹底網羅!

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この本を読んだから自炊力が直ちに向上するものではないが、自炊するに当たっての心理的ハードルを下げるような説明、解説がなされている。

一時期は自炊に積極的にチャレンジしていたものの、最近はサボり気味でもある。

この手の本を読むたびに思うのは、個人的に塩分を結構とってしまうなと感じる。なるべく食材のラベルなどは意識してみるものの、仮に自炊をしたとしても、1日の目安の塩分量はあっさりと超えてしまうことが多く、この解決策にいつも頭を悩ませているところ。

 

(読書記録)リバース

突然の告発文をもとに、過去の大学生時代の事故の真相を解き明かしていくストーリー。

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深瀬和久は平凡なサラリーマン。唯一の趣味は、美味しいコーヒーを淹れる事だ。そんな深瀬が自宅以外でリラックスできる場所といえば、自宅近所にあるクローバーコーヒーだった。ある日、深瀬はそこで、越智美穂子という女性と出会う。その後何度か店で会ううちに、付き合うようになる。淡々とした日々が急に華やぎはじめ、未来のことも考え始めた矢先、美穂子にある告発文が届く。そこには「深瀬和久は人殺しだ」と書かれていた――。何のことかと詰め寄る美穂子。深瀬には、人には隠していたある”闇”があった。それをついに明かさねばならない時が来てしまったのかと、懊悩する。

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あとがきを読むと、事前に結末などが決まったうえで描かれたとのことであるが、個人的にはエンディングを含めて、伏線的なものも回収しつつ、諸々が精度高く描かれており、気に入った作品だと思った。

犯人、結末は予想の片隅にはありつつも、エンディングを読むと少し切ない気持ちになった。ラストが予想できるか否かにかかわらず、著者の執筆力を随所に感じられ、クオリティが高い作品だと個人的に感じた。