高市発言
高市首相が立憲民主党の岡田克也議員の質問に答弁した内容で、中国は発言の取り消しを求めていろいろ嫌がらせをしています。この件に関しては、2025年1月27日のブログ「高市首相の答弁と中国のメンツ - yoko_mountainsの日記」に書いていますが、中国が抗議する理由がいまいち良くわからない。
メディアの記事を読んでも分かり難い
いろいろな人が高市発言について書いていますが、一般人でもちゃんと分かり易く書いている文が見当たらない。それで、自分なりにまとめてみました。
・「個別的自衛権」は認められている
「個別的自衛権(自国を防衛するために、やられたらやり返す)」は認められている。今回の国会での高市首相の発言は「個別的自衛権」ではない
・「集団的自衛権」は「存立危機事態」の場合のみ認められる
「集団的自衛権(日本が攻撃されていないが、密接な関係にある国への攻撃を自国への攻撃とみなして反撃する権利)」は、「存立危機事態」の場合に限って2015年に認められた(国会で承認された)
・「存立危機事態」とは? その定義
「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」
この抽象的な定義では、さっぱりわからん!
・「存立危機事態」の定義の「密接な関係にある他国」とは、台湾?
台湾有事の場合、「わが国と密接な関係にある他国」は台湾なのか、米国なのか? 直接的には台湾でしょうが、台湾と日本が「密接」と言えるか疑問。この場合、日本が単独で台湾を助ける可能性は、次の項目の記述に従えばありえないことになる。
・台湾有事の場合、日本が単独で介入することは無い
台湾有事であっても、日本が単独で介入していくことは、安全保障法制では想定されておらず、あくまで米国が行動した場合に米国との集団的自衛権の行使があり得る。(この文は元外務官僚の田中均氏の文から借用しました)台湾有事が起きた場合、米軍が静観しているのに、日本が単独で台湾有事に介入することは無いということ。そりゃそうだよな。
・「存立危機事態」の定義の「密接な関係にある他国」とは、米国?
米軍が台湾の援軍として介入した場合、「わが国と密接な関係にある他国」は米国になるが、「これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」かどうかは、時の政府の判断になる。その時、中国の共産党軍が台湾だけを攻撃し、バシー海峡など台湾周辺の海上封鎖を行わない場合は「わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」と言えるかどうか。岡田克也議員はバシー海峡を封鎖されたくらいで、「存立危機事態」にならないだろうと質問していた。
・台湾有事に米軍が参戦した場合は?
米軍が台湾に与して参戦した場合、日本が必ず参戦する義務は無いのでしょうね? 日本が台湾有事の状況を把握し、「存立危機事態」かどうかを日本が判断することになるという理解で良いのかな? この場合、米国から「参戦しろ」という圧力がかかるかもしれないけど。米軍が参戦していても、「存立危機事態」ではない状態もありうるという解釈で良いのかな?
・台湾有事に米軍が在日米軍基地から出撃した場合は?
米軍が日本の基地から出撃した場合は、在日米軍基地が攻撃される可能性がある。在日米軍基地が攻撃された場合、周辺の日本の都市も被害を受ける可能性がある。この場合「集団的自衛権」ではなく、「個別的自衛権」で日本は反撃するのかな?
・高市首相の発言が従来と異なる点
高市首相の発言が従来と異なる点は、「存立危機事態」を「台湾有事(中国共産党軍が台湾に侵攻する)」の場合に当て嵌めたことという理解で良いのかな? それで、中国は嫌がらせをしている。
・「政府の見解に変更はない」
「他国を防衛すること自体を目的とする集団的自衛権の行使は認められない、という政府の見解に変更はない」と高市首相は言っている。「存立危機事態」を「台湾有事」を絡めたといっても、必ず日本が参戦するとは言っていない。
繰り返しになりますが、中国共産党軍が台湾に進攻しようとしている時、日本単独で台湾を防衛することは無いということ。そりゃそうでしょう。
今までの台湾有事の雰囲気を考えると、こういう難しいことは、国民には詳しく説明せず、政府に任しとけ!という雰囲気を感じる。
「存立危機事態」となりうる事例の攻防
岡田議員と高市首相の攻防は、「存立危機事態」の具体例を示させたい岡田議員と、いろんな場合があるので、その具体例の尻尾を掴まれたくない高市首相でした。この攻防の中で、台湾有事と「存立危機事態」を関連付けて答弁したので、中国は抗議したようです。しかし、これは日本の問題で、空き家の隣家を放火しようとしている放火魔の対策を考えることは、日本の正当な権利です。
朝日新聞はひっそりと見出しを変えた
岡田議員と高市首相のやり取りは禅問答のように分かり難いので、このやり取りを記事にする時はいくらでもアレンジできる。
朝日新聞のデジタル版は、岡田議員の質問による高市首相の答弁を、当初は
「高市首相、台湾有事『存立危機事態になりうる』 認定なら武力行使も」
となっていたけど、数時間後に次のように変更したとか。
「高市首相、台湾有事『存立危機事態になりうる』~武力攻撃の発生時」
朝日新聞の当初の見出しと変更後の見出しは相当違う
当初の見出しは、「台湾有事『存立危機事態になりうる』」ので、「存立危機事態」に認定されれば武力行使となる可能性大になるのは確か。しかし、「台湾有事」でもいろいろな場合がありえるし、武力行使も想定されるが、高市首相はそこまで言っていない。「武力行使も」は記者の意見です。
変更後の見出しでは、台湾有事が起きれば、武力攻撃の発生時には「存立危機事態になりうる」という無難な見出しになっている。朝日新聞は苦労して修正文を考えたんだろうな。しかし、当初の見出しと変更後の見出しは相当違う。
中国外務省は日本の新聞記事で動いているのかな?
この見出し変更の大きな問題は、朝日新聞の高市発言の解釈の是非よりも、Xに「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」と投稿した薛剣駐大阪総領事が朝日新聞の前者の見出しの記事を引用していたこと。
「朝日新聞が悪い!」うんぬんは置いといて、中国外務省は自分で情報を収集しないで、新聞記事から情報を得ている?のではという疑問。中国外務省にとって、小日本には手間がかけられないので、新聞記事を使う方が手っ取り早い。Xへの投稿なので、中国外務省のデータは使えないので、朝日新聞の記事を使ったという好意的な理解もできる。しかし、もしかしたら中国外務省は日本の情報を新聞から得ている可能性もあるのでは?
中国外務省は能力が劣る?
中国外務省の報道官の記者会見などを見ていると、平気で嘘を言ったり、事実と違うことを言ったりしている。世間では中国に都合の良いことばかり起きないので、嘘を言ったり、事実を捻じ曲げたりして、自分の主張に合うようにせざるを得ないのだろう。あるいは、中国外務省には本当にそういう怪しげで不確かな情報しか来ないのかもしれない。仮に正確な情報が来たとしても、文が長くややこしいと、中国外務省は事実を正確に理解できないのかもしれない。
2025年12月23日