2005年3月に私が初めて書いた単行本が『モータースポーツ入門(グランプリ出版)』でした。その本が出版権解除になったので、ここで内容を公開していきます。ただし、すでに20年以上前の本ですので、車両カテゴリーなどが現状に則していません。汎用性のある部分を抜粋したり、わかる範囲で訂正していきますが、それでも古い情報が混じりがちだと思います。その辺をご認識いただければ幸いです。
■危険がともなうスポーツであるからこそルールとマナーが大事
道具である車のイコールコンディションさえ整えばいいということでもない。野球やサッカーにルールがあるようにモータースポーツにもルールがある。もっともモータースポーツの場合は、短距離走やマラソンレースと同じで、先にゴールインした者や、最短時間で走った者が勝者となるので、基本的なルールはシンプルだ (国内 ラリーはやや複雑になるが、それについてはラリーの項で解説する)。
もちろん、勝つためにどんな手段を使ってもいいというわけではない。100km/hはおろか200km/h以上のスピード域で競われるスポーツであることからも、安全性の確保やマナーに対しては、他のスポーツ以上の配慮が必要になる。
例えばレース競技中にクラッシュが発生し、コースが安全に走行できなくなった場合はどうするか? オーガナイザー(主催者)と走行するドライバーとのコミュニケーションは、フラッグ(旗) を使用して行われる。ドライバーは、このフラッグをどんなに競り合ってコースを走っているときであっても見落とすことは許されない。フラッ グにはさまざまな意味がある 。これを確認することによってコー ス上の危険を知り、指示に従うことが求められるのだ。
マナーに関していえば、後ろから明らかに自車よりも速い競技車が来たのにもかかわらず無理なブロックをしたり、または幅寄せなどのレースの安全性を損なうような行為があった場合には、その競技会に設置された審査委員会による協議の上、ペナル ティの対象となる。

もっともそれ以前に、ス ポーツマンシップを発揮し て、ジェントルなレースをすることが求められるだろう。また、コースインやピットイン の方法、ピットロードでのス ピード制限などもサーキット により定められており、これに従うことは最低限のマナー だ。もちろん、 従わなければ ペナルティもありうる。
ジムカーナやダートトライアルでもフラッグが使用される。スタート時の日章旗、ゴールインのチェッカーフ ラッグは知っている人も多いと思うが、パイロンタッチをしたときのイエローフラッ グ(レースでは危険信号を表す)、ミスコースをしたときのブラックフラッグ (レースではペナルティによるピットイン指示などを表す)は基本として覚えておきたい。これらの基本的な知識はJAF国内ライセンス講習会時に説明がある。

ひとつ忘れてはいけない大きなことは、競技中のクラッシュは基本は「自分持ち」であるこ とだ。レースの場合、たとえ明らかに他車がぶつけてきたり(こんなことがあればそのドライバーにペナルティが課せられる可能性は高いが)、他車の巻き添えでクラッ シュしたとしても、その修理費は自分持ちになる。
ジムカーナやダートトライアル、ラリーは基本は単独走行となるから、クラッシュの席には自分にあるのはいうまでもない。































