遊泳する言葉

言葉が追いつけないものがある。言葉に追いつけないものがある。だから言葉を追いかける……

天然のスイーツ 

山裾の一角の、岩肌が露わになったなんでもない場所が、とつぜん夢の中で浮かび上がってくることがある。ふだんは思い出すこともないが、子供の頃のある時期には、とてもだいじな場所だったようなところ。そんな場所だ。そこはいつも、山の清水が滴り落ちている。寒い冬の朝、雫が凍って氷柱(つらら)になっている。手を伸ばして氷柱を折る。細く尖った先の方から口に入れてガリリっと噛み砕く。氷が溶けて、口の中に草のような土...
Read More

瞑想する椅子 

近くの公園に、丸い形をした石の椅子がある。椅子は数個あり、それぞれの座面にいろいろなわらべ唄がプリントされている。そのひとつに座って、私は瞑想もどきをすることがある。今朝の椅子には、次のような唄があった。 おさらじゃないよ はっぱだよはっぱじゃないよ かえるだよかえるじゃないよ あひるだよあひるじゃないよ かっぱだよ解るようで解らない唄だ。ややこしい椅子に座ってしまった。私の雑念が始まる。椅子は一...
Read More

泳ぐことや飛ぶことや 

鳥になって空を飛んだり、魚になって水中を泳いだりする、そんな夢をみることは、たぶん誰でも経験することだと思う。かつてアメーバだったころの古い記憶が、ひとの深層にある眠りの回路を伝って、原始の海から泳ぎだしてくるのだろうか。あるいはまた、かつてコウノトリに運ばれた未生の感覚が、意識の底から夢の中へと舞い戻ってくるのだろうか。近くにある公園の池に水鳥が飛来している。毎年、こんな小さな池を忘れずにやって...
Read More

恋する水鳥たち 

近くの池で、水鳥がひときわ変わった泳ぎをしている。2羽で追いかけっこをしている。それも、どちらが追いかけて、どちらが追いかけられているのか判らない。ぐるぐるとコマが回っているような円を描いている。その動きは激しくて、池のその部分だけが沸騰しているようにみえる。水鳥が恋をしているのだと思った。雄と雌2羽は相思相愛の仲。追いかけているのか追われているのか、その動きが証明している。片思いであれば、どちら...
Read More