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我はうたえども破れかぶれ
クジラのコロの大根煮 大鍋にいっぱいのおでん 叔母が作る料理は どんなものでも美味しかった 誰かがそのことを言うと 料理には美味しくなる 手いうもんがあんねん などと応えていたのを なにげなく耳にして そんな手で調理すれば なんでも美味しくなるのかと あらためて叔母の手をじっと 見つめたことがあった そんなことを今でも 憶えているのは そのとき そんな話を納得したからか そばで関わりもなく ただ耳...
巻き戻しても巻き戻しても
その頃ぼくは ほとんど青い水だった 手の水をひろげ足の水をのばす 水は水として生きていた やがて一本の川となって だらだらと川のままで 流れ続けていたが いつか新しい水になりたかった ミルク色した水になりたかった 水から生まれ水を孕む やわらかくて丸いもの 始まるときはいつも 一滴のしずくだという さらに大きくなって 宇宙の川と呼ばれたかった 校長先生のピストルで ぼくはびっくり飛び起きて 陸を駆...
早送り巻き戻しの繰りかえし
夜中の雨で地面が濡れている 朝は青空が広がり始めて 地上はすっかり若いみどり この日々は 自然の移りが駆け足で それは自分だけの錯覚か あるいは太陽のせいか 桜もタンポポも早々に散り 曖昧な季節の 花の記憶を残したままで ベランダの花ニラも萎れ フリージアも香りを失くした カレンダーも嘘つきの もうApril4月 時計は埃をかぶったまま 見慣れた数字を刻み続ける 約束も予定もないのに つい時間を気にす...