遊泳する言葉

言葉が追いつけないものがある。言葉に追いつけないものがある。だから言葉を追いかける……

道づれは水と光と小法師と 

東北の旅(8)起き上がれ東北の旅は、とっくに終わっている。だが、このブログでの旅はやっと終わろうとしている。だいぶ旅の余韻を引っぱってしまった。その間に梅雨も上がり、はや猛暑の夏がはじまって、いまは蝉しぐれの雨に襲われている。旅は楽しいものでもあるが心細いものでもあった。だがら旅は道連れと、小さな相棒をふたり連れ帰ってきた。顔も体も不細工だが、なかなか根性がある。転んでも倒れてもしゃんと起き上がる...
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その空は水と光にみちているか 

東北の旅(7)山寺は夏へ見上げると、はるか崖の上に堂宇が見える。「山形領に立石寺(りっしゃくじ)と云ふ山寺あり」(『奥の細道』)と。その山形には、これまで馴染みがなかった。はじめての山形の、雨上がりの湿った空気を深く吸い込みながら、千段の石段をのぼる。木々も岩も垂直に立っている。雨の里を離れて、登るほどに空が青く澄みわたっていく。いつのまにか梅雨の雲を突き抜けたのだろうか。ひたすら石段をのぼる苦役...
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いま東北の海は穏やかだけど 

東北の旅(6)ああ松島やすべての川は海に繋がっている。やっと東北の海にたどり着く。ああ、これが松島かと灰色の海に浮かぶ島々を眺める。曇天のせいか、さほど美しい景色とも思えない。期待のほうが大きすぎたのかもしれない。島々も海もピントが合っていない感じだ。そんなはずはない、という声がどこからか聞こえてくるような気がする。たぶん芭蕉さんの声にちがいない。その声にすこしずつ彩色されるように、ひとつひとつの...
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変幻しつづける水のゆくえ 

東北の旅(5)五色の沼へ水の旅はつづく。水は雨となって空から降ってくる。地上で流れたり留まったりして、川となり湖となり、沼となる。会津の磐梯山、その麓に五つの沼がある。五つの沼には五つの色があるという。なかでも一番大きな沼である毘沙門沼の遊歩道を、早朝にホテルを抜け出して歩いてみた。歩いても歩いても沼は広がっている。沼の外れまでたどり着くのがやっとで、ほかの沼まで巡る余力は残らなかった。だからぼく...
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砕けて光る水のたましい 

東北の旅(4)化身する水川が好きだ。どこの川も、遠くから見ると同じ姿をしている。ぼくの中の記憶の川とかさなる。だから懐かしい。ぼくにとって川はふるさとだ。だが、ブナや白樺の林をぬって流れる北国の川は、すこしよそよそしい顔をしている。それでも、川に変わりはない。気後れするほどの小さな距離はあるが、それだけにいっそう近づきたい欲求にかられる。そんな川のひとつが、奥入瀬渓流だった。長いあいだ憧れていた川...
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影と形となって立つ智恵子 

東北の旅(3)湖畔の裸像青森は初めてだ。とうとう本州の北のてっぺんまで来たんだ、と感慨も深い。十和田湖を見るのも初めてだ。梅雨空が低くたれて、まわりの山を隠している。そのせいか、灰色の湖面がやわらかく盛り上がってみえる。いままでは十和田湖という名称だけを知っていた。今日からは、この風景がぼくの十和田湖になる。湖畔に建つ、有名な「乙女の像」をみる。彫刻家であった高村光太郎の、生涯最大にして最後の作品...
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林の奥へと光をたずねて 

東北の旅(2)そこに光堂奥州平泉で、ついに雨に追いつかれてしまった。傘をさして薄暗い林道を抜ける。その先に、光り輝くものはあった。鉄筋コンクリート造りの覆堂(おおいどう)の中に入ると、全体が透明なガラスの壁に囲われて、まばゆいほどの光を放っているものが、そこにあった。仏像も柱もすべてが金色に輝いていた。890年もの間、金と螺鈿の輝きを失わなかったことに驚く。中尊寺金色堂。これこそ人が作りだした、千...
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光をもとめてサンダーバード 

東北の旅(1)光はどこにパソコンが絶不調に陥った。いままでも、さまざまなトラブルはあった。だがそれは、風邪であったり消化不良であったり、その程度のことだったので、ぼくの力でもなんとか克服できた。けれども今回は重症だった。まるで迷路にまよい込んだように、あれこれ試しても行き止まりの袋小路ばかり。ついにはパソコンの方でも疲れきってしまったかのように、スローな反応しかできなくなってしまった。もう打つ手が...
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朝顔姫とバッハとポロネーズ 

ことしも朝顔の花が咲いて、あしたは星の祭りとされる七夕だ。古い時代には、朝顔の花が咲くと、彦星(牽牛)と織姫星(朝顔姫)が出会えたしるしであるとして、縁起がいいものとされたらしい。1年ごしの再会、そのとき朝顔姫は、どんな星の言葉を語るのだろうか。朝顔のそばで、静かに耳を傾けたら、なにか素敵な言葉が聞こえてくるかもしれない、などと妄想する。子どもの頃、裏山から採ってきた大きな笹竹に、いろいろな願いを...
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新しい朝を運んでくる 

朝の気温24℃湿度84%日中の予想気温29℃ことしも朝顔の花が咲いている。毎年おなじ朝顔のタネだから、いつもと同じ形と色の花が咲く。変わりばえはしないが懐かしい。同じ顔にまた会ったねという感じ。朝顔は、大きく口を開いたような花の形が「おはよう」と言ってるようにみえる。きょうは良いことがあるかも、と言ってるようにもみえる、などと勝手な解釈をしてみたくなる。朝の気分を明るくしてくれる花だ。朝顔は常に明日...
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