大和ふるさと手帖〜奈良だより

故郷・大和(なら)のまほろばを紹介します。歴史、風土、寺院、遺跡、古墳。あすかびとを目指して。

御炊社〜三輪の神々の食を司る祈りの杜

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大神神社の二の鳥居をくぐると、参道の空気が少し変わる。右手に折れ、社務所の別館へ向かう細い道に入ると、静寂が肌に降りてくる。

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白い玉砂利の小径を、斎館の方へ進む。その途中、左手に「御炊社参道」と書かれた小さな案内板がある。

案内板に従って狭い石段を下りると光が木々に遮られ、足もとに涼しい影が集まる。葉のざわめきの奥に、かすかな祈りの気配がある。

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御炊社(みかしぎしゃ)、大神神社の末社である。末社とは、本社にゆかりのある地主神などの神を祀る神社。摂社に次ぐ格式を持つ。

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「御炊」(みかしき・おみかしき)とは、貴人の食事を準備する人を指す言葉。御炊社(みかしぎしゃ)は、神に供える食物、すなわち神饌(しんせん)を司る御膳津神(みけつのかみ)が祀られている。

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木の鳥居の先に、小さな社殿が佇んでいる。苔をまとった石の台座の上に建ち、屋根の千木が光をはね返す。創建の歴史は不明。だが、大神神社の境内にあり、今も掃き清め、紙垂を結び替えている。

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御炊社。その名のとおり「炊く」神の社である。古代、祭りのたびに神のための膳が調えられ、ここから三輪山の神々へと捧げられた。その記憶がいまも、森の湿った空気の中に息づいている。

いつも人で溢れる大神神社の参道と違い、人の足音が遠のき、鳥の声だけが残る。光が一筋、社の屋根をなでて消える。見えない祈りを、静かに炊き続けている。このような小さな社こそ、三輪の神々の心臓のように思えた。

  • 名称:御炊社(みかしぎしゃ)
  • 所在地:奈良県桜井市三輪・大神神社境内(字高宮)
  • 区分:大神神社の末社のひとつ
  • 祭神:御膳津神(みけつのかみ/御食津神)
  • アクセス:手水舎付近から「三輪山会館」の案内板をたどり、斎館前を経て右手の下り参道を進むと到る
  • 御朱印:授与記録はなく、通常は扱われていない

大神神社の末社

日本最古の神社

大和(桜井)の食文化