夜ふかし閑談

夜更けの無駄話。おもにミステリー中心に小説、漫画、ドラマ、映画などの紹介・感想をお届けします

『猿』あらすじ 感想 京極夏彦ノンシリーズ長編!村と恐怖、そして猿の正体とは?

こんばんは、紫栞です。

今回は、京極夏彦さんの『猿』をご紹介。

 

猿 (角川書店単行本)

 

あらすじ

「猿がいる」

妙なことを言うパートナーを一人部屋に残し、祐美は亡くなった曾祖母が暮らしていたという岡山の山奥にある村・祢山村へと再従妹の芽衣と共に弁護士の案内で赴くこととなった。

祐美は曾祖母と一度も会ったことがなかった。曾祖母は百歳で亡くなるまで村にある家で一人暮らしをしていたのだという。芽衣が調べたところによると、祢山村は過疎の村で高齢者ばかりだが、六十歳以上の住民が入村しては死ぬ前に山を下りるため、人口も年齢構成も昭和からほぼ変わっていない謎が多い村らしい。

村に近づくにつれ、祐美は”何か”の気配を感じて不安に陥っていくが——。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノンシリーズ長編!

『猿』は2025年12月に刊行された長編小説。とはいえ、京極夏彦作品の長編は1000ページ越えがデフォでファンは毒されているので、360ページ程の今作は京極世界ではもはや短編感覚。あくまでこの世界線でのことですがね。360ページあれば長編です。普通に。

 

そして、今作はノンシリーズ長編。京極作品はジャンルやシリーズは違えど同一世界上で展開されているってことで、作品間で繋がりがあるのもまたデフォなのですが、この作品はどこともリンクの箇所がない、いわば”完全ノンシリーズ”の長編です。

 

時代小説や昭和が舞台の作品が多い京極さんですが、今回は現代が舞台。ジャンルはホラー。現代が舞台だからこそ描けるホラー小説ですね。

 

雑誌「怪と幽」で連載されていたものに大幅な書き下ろしが加えられたものということで、角川の怪談専門誌で掲載されていた短編集シリーズ【「 」談シリーズ】(現代怪談シリーズ)

 

 

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と同一の作品雰囲気です。【「 」談シリーズ】の長編版って感じですかね。

章による区切りもなく、ずっと主人公の祐美視点で物語が描かれているので、よりそう感じる。

 

 

 

 

 

以下、若干のネタバレ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因習”ではない”村

主な登場人物は主人公の祐美と従妹の芽衣、弁護士の山川パラリーガル尾崎の四人。

まず、祐美と芽衣が先に落ち合い、そこで芽衣から祢山について調べた事柄を聞き、その後、山川と尾崎の二人と合流。直接祢山村に関わっている二人から村が”どういう場所”なのかを知って、村に到着してからは村民から今現在村が置かれている状態と”本当の内情”を身をもって体験する。

村に向かう中で、徐々に村の謎が明らかになっていく過程にはミステリ的面白さもあります。

 

物語の概要だけですと昨今のホラーでよくある「因習村」ものかと思われるかも知れないですが、読んでみると全然違う。今作で描かれているのは”因習がない”からこその恐怖。

 

何も起こらないし、理由も原因も意味もない。ただ怖いだけ。

 

これはね、確かに怖いですよ。人間は安心を求めて理由や原因を無理やりつけようとするものですからね。それが、どんなに考えみても何も解らない。ただただ「怖い」という想いだけがある。こんなのもう、どうしようもないですもん。もしこんな状況に陥ったら、確かに耐えられないと。

 

【「 」談シリーズ】は様々な恐怖の形を描いている怪談短編ですが、今作は”怖いから怖い”という恐怖が描かれています。

 

 

 

 

冒頭部分にのみ祐美のパートナーである隆顕が登場していますが、この隆顕、二年前にコロナに罹患した時の病状である極度の倦怠感が消えず、仕事を休職して家に閉じこもっている状態。口を開けば愚痴と不平不満の悪態ばかりで、一緒に暮らしている祐美は息苦しい生活を送りつつも、耐えていればいずれ寛解するかもしれないという希望を捨てられず、パートナーである隆顕の世話を続けている。

 

物語はこの隆顕が「猿がいる」と言ったところから始まり、その時の会話が祐美の中でずっと尾を引き続けるので、登場は最初の数ページだけですが物語の要になっている人物です。

 

形や仕草が人に極めて似ているのに人ではないからこそ猿は怖い

 

と、隆顕は言う。

しかしこの言葉、そっくりそのまま今現在の祐美から見た隆顕の姿と重なる。人なのに、まともなコミュニケーションを取ることが出来ない。祐美にとっては隆顕との生活は猿と生活しているようなものなのです。

 

まるで人のように見えるから人間の常識で量ろうとしてしまうが、人ではないから通じることはない。だから怖い。

人じゃないと最初から解っていれば、これは”違うもの”、”そういうもの”だと受け入れられるが、似ているから人に寄せて考えてしまって恐怖する。通じないことに恐怖を感じるのですね。

 

 

恐怖の根源、人が感じる恐怖とは何なのかを追求している恐怖小説ですね。こういった感情の揺れ動きの描写は京極さんの真骨頂だと思う。読んでいて、やっぱり京極さんの書く文章好きだなぁ~となりましたよ。

 

ノンシリーズですが、京極夏彦作品のファンは絶対に好きだろう作品ですので、普段はシリーズの方しか読まないという方も是非。

京極作品読んだことないよって方でも、ノンシリーズなので手に取りやすいかと。

一般的に想像するホラー小説とは一味も二味も違いますので、ホラーが苦手だという方にもオススメです。

 

 

ではではまた~

 

 

 

 

 

 

『時計館の殺人』原作小説 ネタバレ感想 やりすぎ!な、本格推理小説

こんばんは、紫栞です。

今回は、綾辻行人さんの時計館の殺人をご紹介。

 

時計館の殺人〈新装改訂版〉(上) 「館」シリーズ (講談社文庫)

 

あらすじ

オカルト雑誌の取材のために中村青司の建築した「時計館」を訪れた新米編集者の江南孝明。

十年前、「時計館」で少女が死んだ。その後、この館に関わる人物たちの死が相次ぎ、館には少女の霊が出ると噂されるようになった。雑誌の企画としてこの館で降霊術を行うことになり、江南は副編集長、カメラマン、霊能者、w**大学の超常現象研究会のメンバーと三日間≪旧館≫に閉じこもることとなったのだが、閉ざされた館の中で次々と人が殺されていき——。

その一方で、江南から話を聞いて興味をひかれた推理作家の鹿谷門美(島田潔)は取材班が≪旧館≫に閉じこもったその少し後で館を訪れ、時計館の管理人からある依頼をされるのだが・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シリーズ第五作目!(ドラマ第二弾!)

時計館の殺人』は1991年に刊行された長編推理小説で、館シリーズ

 

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の第五作目。第45回日本推理作家協会賞長編部門受賞作

 

シリーズ第一作目の『十角館の殺人』からおよそ四年後の設定で、『十角館の殺人』の時は大学生だった江南くんが新米の雑誌編集者になって再登場しております。

鹿谷門美(※これはペンネームで、本名は島田潔)は一応このシリーズの探偵役でほぼ毎度登場していますが(※作品によって例外あり)、江南くんは第一作でワトソン役的語り手を担っていたのにその後の三作品では登場せず状態だったので、五作目での再登場は初読の時に「おお!」となった記憶。

 

2024年に十角館の殺人がテレビドラマ化されましたね。

 

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www.ntv.co.jp

 

日本ミステリ界の超名作でありながら、絶対に映像化不可能だといわれ続けた『十角館の殺人』を一体どうやってドラマ化するんじゃ!!と、ミステリファンの間で話題になったものです。

多くの不安と心配の声をはねのけて問題の仕掛け部分をクリア。高評価を得ました。私も観てみて小説と同じような驚きを視聴者に与えられていると感心しましたよ。

 

で、このドラマの第二弾として今度は『時計館の殺人』が2026年にドラマ化されるとのことで、

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小説を数年ぶりに読み返してみました。

 

第二弾制作決定の一報の時に「次はどの作品をやるんだ?」となっておりましたが、五作目の『時計館の殺人』できたよと。

ま、第一弾のドラマキャスト続投ですからね。江南くん再登場の『時計館の殺人』をドラマの第二弾でやるのは順当ですかね。賞をとっていて評価も高いですし。

 

文庫で600ページと少しあって結構なボリュームでして、最初のうちはなかなか事件が起きないし、登場人物が多くって覚えるのに苦労しますが、後半戦に突入すると一気に加速して読むことが出来ます。

 

 

 

 

 

 

以下ガッツリとネタバレ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時の流れが違う館

物語は、館に閉じ込められて殺戮の真っただ中に居る江南くんサイドと、急な葬儀が入って降霊術に参加出来なくなり、鹿谷(島田)さんと知り合って時計館のかつての事件について一緒に調べることとなった大学生の西涼太サイドとが交互で描かれる構成になっております。

 

館で定番のクローズド・サークルが展開されている一方で、館内でそんなことが起こっているとはつゆとも知らずに過去の事件を追う島田さんとで並行して描かれるという物語構成は『十角館の殺人』を連想させますね。

 

 

トリックは単純で解りやすいものなのですが、書き手は組み立てるのが大変だろうなという代物。解決編で出てくる時系列表がもう、作者に「ご苦労様です」と言いたくなる。

館内の時計が全て同じ狂い方をすることで外界と時間の進み方が違っているというトリックは、まさに「時計館」にピッタリのトリックでロマンというか幻想的な感じもあって素晴らしいです。

世に時間誤認トリックは多々ありますが、ここまでの規模で行われるダイナミックなものはそうありませんからね。こんな館を建てた理由も狂ってはいますが納得出来るもので良い。

 

ま、それにしても「なんて手間のかかることを・・・・・・!」とは思いますが。事後処理も実際にやったらめっちゃ大変だろうなぁ。

 

 

 

 

 

やりすぎ!

十角館の殺人』を連想させるというか、似通っている部分は他にもあります。動機の割に殺人の思い切りがよすぎて計画が壮大なのと、人が死にすぎなとこですね。

 

なんと、≪旧館≫に居た人間は江南くん以外全員が死んでしまいます。

犯人の動機は娘の復讐で、復讐対象は四人、もしくは五人なのですが、トリックが露見するのを恐れて殺しまくった結果、倍近い人数を殺すこととなる。

もうさ、なにそれ?

そんなんで復讐とか言われても納得出来んて( ̄▽ ̄;)。トリックにこだわりすぎてそんなに余計に人殺してたら本末転倒でしょ?

 

霊能者の光明寺美琴(寺井光江)とか、元々館の秘密知ってるからってだけで何もしてないのに最初から殺害計画に入れられちゃってるの本当に可哀想。ここからしてもう犯人に人の心無い。

 

動機に比べて犯人の”やりすぎ感”は『十角館の殺人』と共通するところですが、一応十角館の方は全員が元々のターゲットでしたからね。無茶苦茶だという点では今作の方が上でしょうか。

 

 

しかしながら、これらのツッコミは【館シリーズ】では無粋なんだろうなというのは重々承知しているところではあります。

そう、本格推理小説というのは知的遊戯ですから・・・。【館シリーズ】はそれを前提として愉しんでねってことなんですよね。それを踏まえると、この『時計館の殺人』はシリーズの中でも完成度が高く読み応えのある一冊ですので、ドラマ化などで気になった方は是非。

 

 

 

 

 

 

ではではまた~

 

 

『変な地図』あらすじ 感想 青年栗原さんの青春ミステリ!

こんばんは、紫栞です。

今回は、雨穴さんの『変な地図』をご紹介。

 

変な地図

 

あらすじ

2015年7月。大学生の栗原文宣は父から飯田橋にある祖母の家を手放そうと思っていると告げられる。

十八年前に亡くなった母が相続した家で、今まで父が一人で管理していたらしい。文宣は売りに出す前に一度その家を見ていきたいと言い、父と一緒に祖母の家へと向かった。そこで、二十三年前に祖母がこの家の浴室で死亡したことを知る。

祖母は七体の妖怪が描かれた古い地図を握りしめて死んでおり、亡くなった母はその地図の謎を突き止めようと独自に調査をしていたようだ。

母の調査を完成させるため、文宣は地図に描かれた場所へと旅に出る。するとそこで、不可解な鉄道事故に遭遇して——。

 

 

 

 

 

 

 

 

栗原さん!!

『変な地図』は2025年10月に刊行された長編小説。2021年から続いている雨穴さんの【「変な」シリーズ】四作目です。

 

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毎年一冊は必ず本を出してくれるのは良いですねえ。いや、もっと出してくれたって良いのだけれど・・・・・・。

1作目が間取り図、2作目が絵、3作目が大量の間取り図ときて、四作目の今回は地図です。

特典で特大考察マップ付いてますと、帯に書いてあるのですが、私気が付くのにだいぶ時間がかかってしまいました。「なんだよ、どこについてんの?」みたいな・・・。本をめくってすぐのオレンジ色のですね。ピッタリくっついていて分らんかった。

 

雨穴さんによる『沖上喜見子の手記』の朗読もついています。これは巻末にあるQRコードからですね。

※2025年11月29日に動画が追加(?)特典で出ました!雨穴さんと栗原さんとの本の制作過程の動画で大変に面白いです!『沖上喜見子の手記』の朗読と同じ巻末QRコードから観られます。

 

 

四作目の今回は雨穴さんファンならみんな大好き栗原さんが主役。このシリーズは作者の雨穴さんがライターとして取材したことを本に書いているという設定で描かれているモキュメンタリー形式なのですが、今作は栗原さんの伝記を雨穴が書いているという”テイ”での長編ミステリ小説となっております。

 

毎度恒例の本のプロモーション的動画もYouTubeにアップされておりますよ。

 


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雨穴さんが栗原さんの伝記を書くことになった経緯と今作の序盤の内容が分かる動画ですね。

 

今作は2015年が舞台。栗原さんは22歳の大学生で就職活動中でして、理屈屋で正直者なせいで内定が取れないでいる只中。と、いうことは、2025年現在の栗原さんは32歳な訳ですが、今作の22歳の栗原さんは大学生らしいフレッシュさはほとんどありませんで。いつもの雨穴の動画で出てくる栗原さんそのままですね。敬語で、慇懃で、ほんのり失礼。

二作目の『変な絵』の時の大学生栗原さんには読んだときにフレッシュさを感じた気がしたんですが・・・・・・気のせいだったのかな(^_^;)。

 

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栗原さんは今まで人物の詳細が明かされない謎解き役をシリーズで担ってきていたのですが、今作は主役ですので今まで不明だった栗原さんの生い立ちやら内情やらを知ることが出来ます。ファンとしては興味深く、ミステリ部分以外でも愉しめるポイントですね。

栗原さんの御家族である父親と妹の沙耶も登場しています。確かに、『変な絵』の作中で妹がいるって言ってましたね。「妹いるんだ。へ~」とか思ったものです。

 

お父さんは気弱だけど愛想がよく、人付き合いが上手。妹の沙耶は社交的でコミュニケーション過多。栗原さんとは似ても似つかんですね。

驚きなのが、家族に対しても栗原さんが敬語で対応していること。ファンが知っている30代の栗原さんとまったく同じ調子なので、頭の中で勝手にあの栗原さんの音声が再生されてちょっと面白い。

 

『変な絵』で妹は逆子で産まれてきたと言っていたのですが、実は母親はその時の出産で亡くなっていたらしく。そのことがトラウマになっているご様子。不仲な訳じゃないけど、家族との接し方に距離があるのもそのせいだと。

じゃあ、『変な絵』で出産での死亡を語るのは結構くるものがあったんですかねぇ・・・。

 


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お母さんですが、好奇心旺盛な学者で語尾を「~」で伸ばすというなかなか癖強人物。優秀で謎への探求心が凄まじかったようで。たぶん栗原さんはお母さん似なんですね~。

 

400ページほどの長編ですが、いつも通り読みやすさに特化したつくりになっていて、図解や関係図などがふんだんにあって一気に読んでしまう一冊です。個人的に、雨穴さんの本はいつでも一気読み推奨ですね。

 

 

 

 

 

 

 

王道

この物語は2015年7月2日~12日までの出来事が描かれているものとなっています。

7月2日に沙耶を通じて父からの呼び出しがあり、祖母の家に行って自殺の事実を知り、自殺の原因を突き止めようと地図に描かれた河蒼湖集落の跡地へと向かう。道中で新人警察官で実家が旅館をしているという帆石水あかりと知り合い、そこの旅館に宿泊しながら遭遇した事件と祖母の自殺の真相を探る旅情ミステリですね。

 

最初、父親には就活中で時間ないのに今調査する必要ないだろうと止められるのですが、このままの心持じゃ第一志望の会社の面接を受けられないと主張し、面接の2日前である7月10日までという制限つきで実地調査をする。

なんか、いいお父さんですよね。息子の将来を心配しつつ、気持ちを汲んで条件を出す。妹の沙耶も良い子なんですよ。

 

調査先で事件関係者の同年代女性と知り合い、一緒に事件の謎を追うという流れは定番の2時間ドラマちっくですね。浅見光彦シリーズみたいな。

 

雨穴さんの本って突拍子もないところから色々繋がっていってとんでもない事件の真相が明らかになるといったつくりで今まで来ていて、構成や時系列、人物関係などが複雑化しているものが多いのですが、今回は割とシンプルな構成で描かれた王道ミステリになっているなと。

 

青年の栗原さんを主人公にしているので、事件を通しての成長も描かれている冒険譚であり青春物語にもなっています。そのため、読後感も今までになく穏やかな感じ。

とはいえ、日本の旧制的部分が事件に影響を及ぼしている点や、謎解きのプロセスなどは雨穴さんらしさ溢れるものとなっておりますのでファンの期待は裏切らない本になっているかと。

 

 

 

 

 

 

 

 

考察?

いつも考察の余地を残すような描き方をするのも雨穴さんの作品の特徴ですが、今回は作中に書かれている謎解きをそのまま受け止めていいのではないかと思います。

 

なんか、すでに出ている考察サイトなどでは実行犯は別にいるとかあるようですが、私はそんなことはなく、栗原さんの推理したままの実行犯で間違いないかと・・・ま、雨穴さんのことですから、後になって何を出してくるかわかりませんが。

個人的には、祖母の自殺の方が最後まで読んでもしっくりこなかったですかね。理由が云々というのではなく、祖母である知嘉子さんの人物像的に自殺というのがそぐわない

気がする。

 

そもそもこの本、栗原さんの語ったことを小説にしているって設定のものですからね。栗原さんに意図的に何か隠されてたとこられたらもうお手上げなんですよ。

あとがきにも

私自身、文章を書きながら「栗原さん、これはさすがに自分を良く見せすぎでは?」と思う場面も多々あったが、今まで協力してもらった手前、そこは飲み込んで執筆に専念した。

て、ありますしねぇ。

 

文庫化とかの時に何かあるかもですが・・・この本は栗原さんの冒険譚として完成しているので、そんなに後になってからこねくり回さないで欲しいですかね。

 

とにかく、ファンは必見な物語ですので!気になった方は是非。

 

 

ではではまた~

 

 

 

 

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『完全版 変な家』感想 ただの加筆修正・リメイクじゃない!ファン必見の完全版

こんばんは、紫栞です。

2021年に刊行されて大ヒットした雨穴さんの『変な家』。当ブログでも小説と映画と感想記事を書いたのですが、

 

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なんと、2025年10月17日に『【完全版】 変な家』たるものがWebメディアの「オモコロ」で公開されたのですよ。

omocoro.jp

 

”完全版”ってなんぞ?だったんですけれども、新たに画像が100枚(!)追加され、物語も書き直したとのこと。

 

これは個人的に意外な動きでしたね。『変な家』はもうコミカライズと映画化とやりつくされた感ありましたので、まさか【完全版】たるものが出るとは思いもよらず。

10月24日にはこれを元とした新作動画もアップされましたし。しかも104分!映画レベルのボリューム。

 


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最初は小説家が文庫化などの際によくやる大幅加筆みたいなものかと思ったのですが、これがそういったものとは全然違いまして。

出てくる間取り図や大筋は同じなのですが、結末の真相が異なるのですよね。デビュー作の『変な家』は実は取材内容そのままではなく、事情を考慮して多分に創作で書かれていましたよっていう。

 

主に、「左手供養」や本家と分家の争い部分ですね。確かに、その部分はあまりに旧制的といいますか、因習色が強すぎて現在日本ではリアリティがなかった。この完全版ではそこがクリアになっていて、”実はこういうことだったのかもしれない”という全く別の真相が用意されています。

 

この【完全版】での真相の方がシンプルで解りやすいですかね。それでいて大前提が覆る仕掛けが施されているのでまた新鮮に驚かしてくれます。同じ作品で何通りも楽しませてくれるってのはゲームのマルチエンディングみたいで面白いですね。

 

たとえ作者本人によるものだとしても、気に入っていた作品が後になって大幅に加筆や修正されたりするのは個人的にあまり好きではないのですが、こういったリメイクなら大歓迎です。なんといっても、無料で読めるし観れるしね。

 

真相以外にも、画像の追加によってより家の状態が分かりやすくなっていてより”本を普段読まない人も読みやすい”作品となっています。

個人的一押しポイントは雨穴さんと栗原さんとのコミカルなやり取りが沢山追加されているところですね。二人のやりとりは「オモコロ」の記事とYouTubeの動画で結構違いがあるので、是非どちらも楽しんでほしいところ。

 

一作目の『変な家』を読んだ人には必ずこの【完全版】を!

「どうせそんなに違わないんでしょ?」と思って無視してしまうとホント、もったいないですから。無料ですから是非。

 

10月31日には新作『変な地図』も出るので楽しみです。こちらも読んだらまた感想記事を書こうと思います。

※読みました!詳しくはこちら↓

 

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ではではまた~

 

 

 

 

『濱地健三郎の奇かる事件簿』7編 あらすじ・感想 心霊探偵シリーズ第4弾!

こんばんは、紫栞です。

今回は有栖川有栖さんの『濱地健三郎の奇かる事件簿』を読んだので、感想を少し。

 

濱地健三郎の奇かる事件簿 濱地健三郎シリーズ (角川書店単行本)

 

シリーズ4冊目

こちら、心霊探偵の濱地健三郎が活躍する連作短編小説のシリーズ【心霊探偵シリーズ】の四冊目。

※どんなシリーズか、詳しくはこちら↓

 

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前作の『濱地健三郎の呪える事件簿』

 

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が刊行されたのが2022年だったので、およそ三年ぶりのシリーズ最新刊ですね。

 

一冊目が「霊(くしび)なる」、二冊目が「幽(かくれ)たる」、三冊目が「呪(まじな)える」で、四冊目の今回は「奇(くすし)かる」。毎度毎度読めん・・・( ̄▽ ̄;)。

 

 

今回は七編収録。

 

 

目次

●黒猫と旅する女

旅先で黒猫のぬいぐるみを連れた女性に一目惚れした依頼人。その女性がどうやら幽霊であるらしいと分かり、濱地健三郎事務所を訪ねたというのだが――。

 

タイトルが江戸川乱歩の『押絵と旅する男』のもじり。ただもじっただけでなく、内容にもガッツリ関わっている・・・と、いいますか、このお話は依頼内容よりももし『押絵と旅する男』の続編を書くならという空想話が主ですね。

なかなか興味深い空想話で「えー有栖川さん普通に書いて~」ってなりましたよ。有栖川さんはホントに乱歩好きですねぇ。

 

 

●ある崩壊

友人と一緒に老人宅に金を盗みに入った登久也。住人と鉢合わせし、勢い余って殺害してしまった後、自転車で逃走中に友人が車に轢かれてしまう。友人を見捨てて逃走した登久也だったが、それから”妙なもの”が視えるようになって――。

 

終始、登久也という若い男性の視点で描かれているお話。濱地とユリエは最後にちょろっと出てくるだけですが、こういったシリーズ短編集に犯罪を犯した側の視点で終始語られるお話があるとアクセントになって良い。

登久也は超現実主義者でして、このような人物からすると濱地たちがどのような印象になるかってのも楽しめるポイント。

 

 

●少女たちを送る

濱地と同じように怪異を振り払う能力を身に着けたいと願う助手のユリエ。ホテルに現れるという少女の霊の説得に成功し、これからは濱地と案件を手分けすることができるかもしれないと意気込んでいた矢先に、ちょうど同時に二つの依頼を受けて――。

 

こちらは怪奇憚というよりユリエの成長物語といった感じの短編。前作同様に心霊仕事に前のめりなユリエですが、濱地先生のように心霊案件をさばくのはやはり時期尚早なようです。

ここでユリエははれて濱地の助手から弟子に昇格(?)しています。

 

 

●湯煙に浮かぶ背中

仕事で立ち寄った土地で温泉旅館に泊まった叡二は、その旅館の温泉に幽霊が頻発して現れていると知り、もし良かったらと旅館側に濱地健三郎探偵事務所の電話番号を伝える。後日、依頼を受けて濱地とユリエは旅館を訪れる。どうやら、その幽霊はかつての常連客らしいのだが――。

 

このシリーズは雑誌『怪と幽』で掲載されているのですが、この短編は同誌での〈怪と湯〉という企画特集のために書かれたものだそうで。〈怪と湯〉って・・・ちょっとニッチすぎてアレですね。

有栖川さんも企画を聞いた時に「笑える」と思われたそうで、ちょっとしたほっこり話になっております。濱地先生が温泉に入りながら霊と対話するちょっとシュールな場面も楽しめます。

 

 

●目撃証言

路上での強盗殺人事件が発生。ほどなく有力な被疑者が捜査線上に浮かぶが、ほぼ確実な犯行状況を覆す被害者の目撃証言がもたらされ、刑事の赤波江はその目撃された被害者は幽霊だったのではないかと思い立ち、濱地健三郎事務所を訪れるが――。

 

赤波江さんが登場するとイコールで殺人事件がらみ案件なので、心霊ミステリ感が高まる。とはいえ、「あなたが目撃したのは幽霊ですよ」ってのは怪談のド定番ですね。

これは特にこの世に未練がなさそうだった被害者が何故幽霊になって現世にとどまっているのかが謎として究明するお話。”この時”だからこそのネタですね。

 

 

●観覧席の祖父

祖母が亡くなり、遺品を整理していた叡二は数年前に亡くなった祖父が球場の観覧席にいる写真を発見する。しかし、その写真は状況的に有り得ないもので――。

 

他のお話はだいたい50ページほどですが、こちらは30ページほどで短め。怪異色もミステリ色も薄めのちょっとした小話ですね。

作中でユリエが言及するように、野球の話が長い。ルールについての説明をしているのですが、野球のルール説明って何度聞いても私ピンとこないんですよね・・・(^_^;)。

 

 

●怪奇にして危険な状態

屋敷に亡くなった夫の霊らしきものがでると依頼を受けた霊媒師・蓮舫政江。霊から強い抵抗をされ、自分では手に負えないと判断した蓮舫は濱地に協力を願い出るが――。

 

シリーズ二冊目の『濱地健三郎の幽たる事件簿』収録の「それは叫ぶ」に出てきたベテラン霊媒師の蓮舫さんが再登場。

 

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「それは叫ぶ」が悪意むき出しの怪異ものだったので、この話も凶悪な霊の類かと思ってしまいますが、そんな予想をいい意味で裏切る真相となっています。こういった動機といいますか、心情面の意表を突くのは有栖川有栖作品の真骨頂ですよねぇ。

私は今作の中ではこれが一番好きな短編ですね。本の締めに相応しいお話だと思います。

 

 

以上、七編。

 

 

 

 

 

 

霊的に非日常

帯に「本作から読んでも楽しめる・・・」と書いてあるように、このシリーズで動きがあるのはユリエの霊能力の開花っぷりぐらいで、他は特に音沙汰なしです。「少女たちを送る」でユリエが正式に濱地先生の弟子認定されたことぐらいですね。

 

濱地先生は相変わらず素敵な紳士ですし、ユリエは相変わらず心霊仕事に前向きですし、ユリエと叡二の関係も相変わらず前進も後退もしない友達以上恋人未満関係、赤波江さんも相変わらず刑事で、蓮舫も相変わらず凄腕なんだかそうでないんだか分からない霊媒師です。

 

ユリエと叡二に関しては「いい加減ビシッとしろよビシッと!」と思わなくもないですが、現状維持でファンが思う通りの【心霊探偵シリーズ】が展開されています。いや、ドーンッと急展開してくださっても良いですし、それも読みたいって気がしますけどね。

 

今回の短編集は心霊の怖さも本格ミステリ感もそこまでですかね。犯罪が絡んだものもありますが物騒さは控えめで、非日常短編集といった感じ。心霊を扱っていても上品さが漂っているのが有栖川有栖作品らしいですね。

 

帯に書いてる「読むなら今!」が何で”今”なのかよく分からないですが、ちょっとした合間時間に読むのに適した短編集になっておりますので、気になった方は是非。

 

 

 

ではではまた~

 

 

 

『金田一パパの事件簿』2巻 ネタバレ・感想 金田一親子最初の事件、終幕!

こんばんは、紫栞です。

今回は、金田一パパの事件簿』2巻の感想を少し。

 

金田一パパの事件簿(2) (コミックDAYSコミックス)

 

パパになって最初の事件、終幕

私立探偵をしつつ一児のパパとして育児に奮闘する金田一一(44)が、相も変わらず殺人事件に巻き込まれる『金田一パパの事件簿』第2巻、刊行であります。

 

・・・なんか、今回の表紙紛らわしくない?「次はだレ可名 暗イ暗人」ってのは作中に出て来る張り紙なのですが、タイトルの『金田一パパの事件簿』より字がでかいから何の本かぱっと見分からなくなる。まるでクイズ本みたいですよね。ま、ある意味クイズ本ではあるんですけれども。

 

今巻は、前巻からの『私立探偵殺人事件』編の解決までが収録されています。

 

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事件で巻を跨がずに終わるのは良いですね。

 

 

 

 

 

以下、ガッツリとネタバレ~

 

 

 

 

 

 

 

 

予想通り!

前巻は「ジッチャンの名にかけて!」をかましたところで終わっていたので、今巻は改めて事件を見直しての調査からスタート。やっぱりこの事件は連続殺人ではなく、被害者一人で終わりのようです。

 

予想した通り、犯人は桜屋敷舞。やっぱり、襲われたのに助かった~って人は犯人って法則は揺るぎないようですな。

推理中、”途中までは計画的だった犯行が何かをきっかけに衝動的な犯行に切り替わったような”と出て来るので、桜屋敷舞が犯行時に負った怪我を誤魔化すために第二の事件演出したってやつか?って察しが付く。実際その通りなんですが。ずっと腕をおさえてるのも不自然すぎですしね。

 

やっぱり年齢が重要だったようで、桜屋敷は25年前に危険運転で家族を死なせた当時19歳の少年Aを長年探していて(※桜屋敷は現在38歳)、最近になって当時担当してくれた弁護士と再会し、その弁護士が口走った「加害者と同業」という言葉から少年Aを”現在44歳の男性で都内で探偵をしている”という条件で絞り込み、該当する四人を誘き出したという訳です。

さらには少年Aの親が日系ペルー人らしいとの情報から、アボカドのバッジで罠を仕掛けたと。アボガドはスペイン語で「弁護士」らしいよ。弁護士バッジって、偽物でも入手するの大変そうだけど・・・。

 

アリが角砂糖を少しずつ運んでいるのを見て九十九がすごい!と言っているのを見て金田一「困難の分割だ!」とヒントを得てトリックを解明するのですが・・・いや、お前「困難の分割」で今まで幾度も謎解明してきたやんけ。5年のブランクで忘れているのか?

近年、何回もトリックネタで「困難の分割」出してきている印象。作者の中で流行ってるんですかね?

 

そんな訳で密室トリックは「困難の分割」なんですけど、布団の真綿で蜘蛛の巣を偽装出来るってのは知らなかったので「へー」ってなりました。ドラマのセットとか蜘蛛の巣を綿で作るらしい。へー。

 

 

老けて見えるが実は44歳だった海東朔太郎桜屋敷に問い質されて「俺だってある意味被害者だ」「あんただってあの事故で多額の保険金手に入れただろ」と、まるで殺して欲しいかのような罵詈雑言を繰り出すバカっぷりですが、信じられないほど不用意すぎる弁護士といい、桜屋敷舞を殺人に誘導するための”誰かの”仕込みなんですかね?”誰か”って、ま、高遠さんしかいないですけど・・・。

 

今回は黒幕的なものが具体的に出て来る場面は無しでしたが、「この久しぶりの事件が”金田一一探偵事務所”をさらなる怪事件の舞台へといざなう恐怖の幕開け」らしいので、裏で色々操作されているのだと思います。

 

古我さんと鷹取さんは同業者として今後また出て来そうな気がする。実は黒幕側で化けてたとかもあり得ますけどね。

 

他のシリーズお馴染みキャラクターたちがまだ出て来ていないのですが、今後出て来てくれるのかな?2巻の段階でまったく出てこないのは意外でしたね。

 

 

最後に44歳の美雪もちゃんと登場しております。殺人事件に子供を巻き込むなと金田一に怒っている。

ごもっともです。六歳児に殺人現場は教育上よろしくないよ。

でも今後も親子で巻き込まれるのでしょうね。で、九十九くんが今回のようにヒントを与えてくれたり犯人をほだしてくれたりするんでしょう。

 

 

美雪が九十九の様子を見て高校時代の自分たちを思い出しているのが良いですね。

美雪ですが、九十九のことはツックン、金田一のことはいまだに”はじめちゃん”と呼んでいるようです。

子供の前で父親のことをはじめちゃんって呼んでいるのは現実だとどうかと思いますが、何歳になっても昔からの愛称のままで呼んでいるのもいいちゃいいのかもしらん。

 

 

 

次巻、第3巻は2026年冬頃発売予定。

【復讐のミイラ歌姫】編開幕とのこと。ミイラ歌姫って・・・・・・怪人名もネタ切れかしら。今更ではありますが。そりゃ30年以上やってたらアレか(^_^;)。

 

色々と今後に期待!

 

ではではまた~

 

 

 

 

 

 

『マスカレード・ライフ』あらすじ・感想 シリーズ第五弾 困惑の一冊

こんばんは、紫栞です。

今回は、東野圭吾さんの『マスカレード・ライフ』を読んだので感想を少し。

マスカレード・ライフ

 

テルマン新田

こちら、書き下ろし長編小説で【「マスカレード」シリーズ】の第五弾。

 

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このシリーズは刑事の新田浩介がホテルに潜入捜査をするというのが基本的な流れできていたのですが、シリーズ4作目『マスカレード・ゲーム』の最後で主人公の新田が訳あって警察を退職したのでシリーズもこれで終わりかと思われていたのですが、

 

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今度は新田がホテルマンとなってシリーズ再始動なようで。映画化されて知名度も上がったんで、なんとかシリーズを続けたいって出版社の意向なんですかね。

 

本のレビューを見ると新田がホテルマンになったことに驚いている人が多数いましたが、『マスカレード・ゲーム』の最終ページでちゃんと総支配人の藤木さんに専門の警備部門を新設するこちになったから警備部マネージャーをやってくれと誘われていますよ。ま、ちゃんと引き受けると断言はしていませんでしたが・・・。

 

なので、シリーズファンは続くにしてもホテルマンになってなんだろうなーと予想はついていたと思います。

 

 

舞台となるのは相も変わらずホテル・コルテシア東京。文学賞の選考会があるのだけども、候補者の一人が行方知れずで居所を掴めていない殺人事件の容疑者なんじゃないかってことで、受賞したら姿を現すだろうから、そこを待ちかまえて身柄を確保しようと警察の方で画策。つきましては、ホテル側の方も捜査にご協力お願い致します!

と、ま、こういう訳ですね。毎度のことですが。

 

「おい!コルテシア東京、何回事件の舞台になる気だよ!」ですけれども、今回は元々は別のホテルでする予定だった選考会を警察の方から出版社に働きかけてコルテシア東京に変えてもらったとのことなので、偶然ではないです。何回も警察の捜査に協力してもらっているし、元捜査一課警部の新田もいるしで他のホテルよりやりやすかろうと梓警部が発案したのだとか。迷惑な話だで・・・。

 

警部は前作の『マスカレード・ゲーム』に登場した捜査方法がちょっと強引な女性刑事さんですね。そんな経緯なので今作でも登場していまして出番も多いです。

後、頼れる老刑事だった能勢さんも出て来ます。定年退職して今は探偵事務所で所長代理をしているようで。相変わらず、新田に外部情報を教えに来てくれます。でも出番はそこまでないですかねー。

もちろん、山岸尚美も出て来ます。

 

今作での注目すべき人物は、新田のお父さんである新田克久ですね。八十歳近くですが現役の弁護士で、シアトルに法律事務所を構えている。(そういやそんな設定だったな・・・)

今回は日本で人と会う約束があるとかで、せっかくなら息子が働いてるホテルに泊まるかとコルテシア東京に来たそうです。

 

 

 

 

 

 

 

???

今作は、プロローグで新田の学生時代の出来事が描かれ、本編では文学賞選考会で容疑者を確保するための準備と事件捜査、同時進行でとある親子の話が描かれる構成となっております。

 

レビューですと評価が高いようですが、正直、私は困惑しきりでちゃんと感想を語れる本じゃないなと思ってしまいました。今までに読んだ東野圭吾作品の中ではワーストかもしれない。

 

まず、この構成が分からなくって。プロローグの出来事も、同時進行で描かれるメイン事件も親子の物語も、本当に三つとも何の関連もないんですよね。完全に独立した話なんですよ。なんでこの三つを一冊の本の中で描いているのかが分からない。

 

このシリーズでやる必要も感じられないし、事件の真相も推理する余地がほとんどなくってミステリとは言い難いし、文学賞選考会もただ皮肉って書きたかったとしか思えない。

親子の話を一番に書きたいのだろうなというのは伝わってくるのですが、当事者の心情描写がなくって事柄を述べているだけなので、”やたら重い内容の説明”って感じで感情移入が出来ない。

これは文学賞選考会絡みのメイン事件も同様なのですが。修羅場や涙涙の場面を描かれても感情移入出来てないので読んでいてシラけちゃうんですよね。

 

メイン事件の真相はとにかく無理がありすぎる。色々と「そうはならんでしょ」っていう・・・・・・。

動機も独りよがりで全然共感出来ない。大事に想っているならそんなことしないでしょ・・・これは親子の方もですけど。金の無心してたから何だって言うんだ。

 

シリーズの特徴であるはずの新田と尚美の掛け合いもほぼないですし、恋愛方面の進展はやめたみたいですし、新田がホテルマンになっているので潜入捜査の面白味もなくなっていますし。シリーズ自体もどうしたいんだか謎。

『マスカレード・ライフ』ってタイトルに繋げるにしても、もっと必然性を感じさせて欲しい。

 

総じて、何がしたいのか、何が言いたいのか分からない一冊。

 

ま、ちょっと散々な感想しか書けないのですけれども。シリーズの設定に無理が生じてるってことなんですかね。そもそも単発向きの設定で長期的シリーズにするのには向いてないんでないか。

 

しかしながら、上記したように世間での評価は高いようですので、私の読解力が足りないだけなのかも。また映画化されるかもしれないですし、私の愚痴だらけの意見で逆に気になったって方は是非。

 

 

ではではまた~