ことばを食する

私的な読書覚え書き。お薦めできると思った本を取り上げます

だからわたしは全集にこだわる

本に関して、これが今年最後の大きな買い物になると思います。古本の「川端康成全集」(19巻、新潮社)を、ヤフーオークションで送料込み9,000円で落札しました。意外に安く手に入ったのは、昭和44(1969)年から同49年にかけて刊行された旧版の全集だからで…

その古本屋を訪ねたくなる 〜「森崎書店の日々」八木沢里志

たまたまこれを書いている今日が12月24日で、たまたま「森崎書店の日々」(八木沢里志、小学館)という本を最近読んだのですが、ふと、「これはクリスマスイブにぴったりの小説だ」と思いました。一人だけのイブの夜、ページをめくれば、静かに心が潤ってき…

児童文学の永遠の古典 〜「ナルニア国物語」C・S・ルイス

この物語を初めて読んだのは、小学校の何年生だったろう。やがてあらすじさえ忘れてしまったけれど、あのときページをめくりながら、異世界に飛ばされて大いなる試練に直面した「わくわく」と「どきどき」は、消えることなく心に刻まれました。地面が割れて…

ゆきてかへらぬ それぞれが 〜「中原中也との愛」長谷川泰子 村上護編

男と女とは、いったいなになのか。 「中原中也との愛 ゆきてかへらぬ」(長谷川泰子・村上護編、角川ソフィア文庫)を読み終えて、今更ながらそんな陳腐な問いかけが思い浮かびました。 もとより、人と人の結びつきは一つとして同じでない以上、この問いかけ…

散る秋を...

昨日までの休日は秋の後始末。 落ち葉が庭を覆う時期、殺風景でもふと見渡せば赤が目に入ります。 散る秋を集めてひとり咳をする

嘘が現(うつつ)を救う 〜「木挽町のあだ討ち」永井紗耶子

うう。やるねえ。参ったなあ。 さすがに声には出さないけれど、感嘆し何度も心で唸っておりました。こいつは本物だぜと、ぺえじを捲りながら、分もわきまえず作者の才に驚き。 一度など目頭が熱くなりかけ、「やばい」と天を仰ぎ、目を見開いて目ん玉乾かし…

汚れっちまった悲しみに 〜「朝の歌 中原中也傳」大岡昇平

初めて足を踏み入れた小さな町の図書館でした。左にカウンターがあり、奥に広がる閲覧室の手前、テーブルにリサイクル本が並んでいることに気づきました。リサイクル本は、在庫処分の廃棄本。「ほしい本があれば自由にお持ち帰りください」という趣旨です。 …