YM2203とは? わかりやすく解説

YM2203

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/19 01:45 UTC 版)

YM2203

YM2203(FM Operator Type-N、OPN)は日本楽器製造(現:ヤマハ)が開発し、1984年6月から販売が開始されたFM音源チップである。パソコン用途を目的に製造された[1][2]

概要

YM2203のアルゴリズム

4オペレータ、同時発音数3音(3チャンネル)のFM音源に加え、AY-3-8910(PSG)相当のSSG(Software-controlled Sound Generator[注 1])音源と入出力を備え、プログラマブルタイマー英語版を2系統内蔵する。マスタークロックは0.7~4.2MHz

1980年代から1990年代にかけて、日本パーソナルコンピュータで多くの採用例が見られたFM音源である。

オペレータ(正弦波発信器)は1チャンネルにつき4つで、オペレータの組み合わせ(接続方法)は8種類の中から選択できる。これを「アルゴリズム」と呼ぶ。「キャリア」(被変調オペレータ)と称される最終的な発振器を他の3つの「モジュレータ」(変調オペレータ)で変調させるのが基本的な接続方式であるが、モジュレータを減らしてキャリアを増やし、変調は少ないが厚みのある音色を作ることもできる[注 2]

FM音源のCh3(チャンネル3)は「効果音モード」並びに「CSM(複合正弦波合成モード/音声合成モード)」に設定可能になっている[4]。「効果音モード」では、Ch3の全てのオペレータに異なった周波数を与える事が可能で、よりバリエーションに富んだ音作りができ、オペレータ毎の発音・消音制御と組み合わせることで正弦波だけになるものの、出力チャンネルが増えているように聞かせる方法もあり、一部の音源ドライバではMMLでもこれをサポートしている。「音声合成モード」は、効果音モード同様、オペレータに各々出力する周波数を与えられるほか、Timer-Aのオーバーフローをトリガに、Ch3のオペレータを全てオンにする機能を有している[5]。音声合成モードで利用するデータはサイン波への分解が必要であり、そのデータの計算もチップが現役だった時代には時間と労力がかかったことなどからあまり活用されることはなかったが、ゲームアーツのゲームではメーカーロゴ、ゲーム内の音声出力などに利用されている。

SSG音源部はAY-3-8910とレジスタ互換で同等の機能を持つピンが出ていることもあり、同社他系列のFM音源チップと比較して40PinのDIPパッケージと、大きな形状となっている。同じパッケージ内にありながら、SSG部分はリード/ライト共に可能であるがFM音源部はライトオンリーであり、データの送信時にはウェイトを要するため[注 3]、共通のルーチンで処理する場合はFM音源部に合わせたタイミングで制御する必要があった。

音声はモノラル。FM音源部についてはデジタル出力で、D/Aコンバータとして主にYM3014を組み合わせる。SSG音源部はアナログチャンネルA,B,C毎に独立してアナログ出力されるため、別途ミキシングが必要となる[5]。このため、同じチップを搭載した機種であっても、SSG部とFM音源部の音量バランス、音質は異なり、音源がオプションで用意される機種のサードパーティー製ボードなどでは、純正のボードとの音量バランスが異なるなどの非互換性も発生した[要出典]

搭載されたパーソナルコンピュータ

PC-9801-26K サウンドボード

PSG由来の汎用I/Oポートは、内蔵機器のI/O以外にD-Sub 9pinの俗に「アタリ規格」と呼ばれるジョイスティックインタフェースが接続される実装が多く見られ[注 4]、PC-9800シリーズなど、音源ボード自体にコネクタが設けられることもあった。

使用されたアーケードゲーム

大手アーケードゲームメーカーでは過渡的に採用されたり、アーケードゲーム基板の規模等によって使い分けられたり[注 5]、あるいはほとんど採用されず専らYM2151(OPM)が採用されたりしていたが、YM2151に比べて安価だったことも一因となって、比較的零細なメーカーでの採用例が多い。

また、日本物産は『テラクレスタ』がヒットした際、当初使用していたYM3526(OPL)の入手難から代替としてYM2203を使用した事があり、この影響で基板のバージョンによってBGMの雰囲気が全く異なるものになっている。

主な使用例としては以下の通り。

関連項目

脚注

注釈

  1. ^ 『PC-8801FA/MA プログラマーズガイド』249頁では「Synthesized Sound Generator」と表記。
  2. ^ アルゴリズム4,5,6,7がそれに対応している[3]
  3. ^ マスタークロックに対してアドレス指定後は17クロック、データ送信後は83クロックのウエイトが必要。4MHz動作の場合、それぞれ4.25μ秒、20.75μ秒である[6]
  4. ^ PC-8800シリーズ、FM-7シリーズ以降の一部インタフェース等
  5. ^ たとえば、タイトーの『バブルボブル』の場合、最終面であるすーぱーどらんく戦のみYM2203が用いられており、同社サウンドチームZUNTATAの石川勝久はなぜそうなったのかわからないと2024年のインタビューの中で話している[7]

出典

  1. ^ 「パソコンも楽器に」『日経産業新聞』1984年10月31日、8面。
  2. ^ 「FM音源LSI開発」『電波新聞』1984年10月31日、7版、2面。
  3. ^ PC-9801シリーズ マシン語サウンドプログラミング 1984, p. 29.
  4. ^ 『ゲーム・ミュージック・プログラム大全集III』電波新聞社〈マイコンBASIC Magazine DELUXE〉、1993年。 
  5. ^ a b 「YM2203 - FM Operator Type-N(OPN) データシート」
  6. ^ PC-9801シリーズ マシン語サウンドプログラミング 1984, p. 36.
  7. ^ 『タイトーマイルストーン3』開発夜話。FM音源サウンドに聴き入り、筋肉と暴力の祭典『ラスタン』3部作で空耳を堪能。「西にあるステーキハウス」って何?”. ファミ通.com (2024年7月16日). 2024年12月17日閲覧。
  8. ^ 早苗月 ハンバーグ食べ男 (2015年12月26日). “「ダライアスバースト クロニクルセイバーズ」開発者&関係者にインタビュー。新規に追加されるCSモードや新曲「Freedom」誕生の経緯を聞く”. www.4gamer.net. Aetas. 2020年9月25日閲覧。

参考文献


YM2203(OPN)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/27 01:35 UTC 版)

内蔵音源」の記事における「YM2203(OPN)」の解説

ヤマハFM音源は、少なメモリ使用量多彩な音色表現できるため、1980年代から1990年代にかけてのパソコンなどで広く用いられた。FM音源3音、PSG3音をモノラル出力可能である。多くシェア占めたPC-8801 mk2 SR音源として用いられPC-8800シリーズでは中期以降発売されるゲームがほとんどSR以降対応であった為、標準的な内蔵音源として認識されている。PC-9801では1985年、PC-9801-26として拡張ボード発売基本的にオプション扱いで、本体仕様として搭載している機種一部のみであり、サードパーティーからも互換および上位互換ボード数多く発売された。ホビー用途でも、PC-8800シリーズ立場引き継ぐにつけ、事実上の標準内蔵音源となっていき、PC-9801DXシリーズ以降では標準機能内蔵純正ボードの名前の末尾から「26音源」「26K音源」と呼ばれたサウンドBIOSボード上に存在しているがその機能精度の低さメモリ上の位置などの問題から、利用するアプリケーションはさほど多くなかったものの、搭載していないサードパーティー製ボードでは鳴らないという状況見られる他、OPN出力SSGFM音源部分外部MIXされるため、その音量バランス製品によってばらつきがあった。長く使われ音源であるため、曲データ作成者技術的成熟した

※この「YM2203(OPN)」の解説は、「内蔵音源」の解説の一部です。
「YM2203(OPN)」を含む「内蔵音源」の記事については、「内蔵音源」の概要を参照ください。

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