【X-29】(えっくすにじゅうきゅう)
ATD(Advanced Technology Demonstrator).
NASAが行なっている航空機の研究開発の一つ、前進翼における先導技術実験のために作られた実験機。
操縦系統にはデジタルフライバイワイヤー(DFBR)を採用し、スーパー・クリティカル型の前退主翼とクローズカップルド・カナード、主翼後縁のストレーキ
・フラップの三舵操縦により、高い機動性と安定性を誇る。
特に、失速特性や高AOAでのロールレートに優れていることが実証された。
経費削減の為に機体は既存の機体(F-5(胴体)、F-16(降着装置)、F/A-18(エンジン)、A-6(油圧系))の部品を流用して製造された。
現在は試験プログラムを終えて退役しており、国立アメリカ空軍博物館(1号機)・ドライデン飛行研究センター(2号機)・国立航空宇宙博物館(フルスケールモデル)に展示されている。
スペックデータ
X-29 (航空機)
(X-29 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/01/24 10:14 UTC 版)
X-29は、グラマン社によって製作された実験機。前進翼をはじめとする多くの新技術を実証した。
概要
X-29Aは、1970年代に入って急速に進歩してきた複合素材を、軍用機に適用する実証もかねて計画された前進翼機で、DAPRAとアメリカ空軍の要求仕様により、1981年12月22日に主契約社に選ばれ2機の製作が発注された。
経費節約と製作期間短縮のため、できるだけ既存の機体を利用することになった。F-5Aをベースに改造され、F-16Aの操縦システム(フライ・バイ・ワイヤ、サーボ駆動システム)を組み込んだ。主脚はF-16Aから流用/前脚はF-5Aのまま、タイヤは主脚/前脚を小型のものに換装した。
主翼は、前進角33.7°(前縁前進角は29.3°)の薄翼(翼厚比は付け根部で6.2%、翼端部で4.9%)で、取り付け角は付け根部付近でー6°、翼端部付近で+0.8°の捩り上げが付けられた。
主翼の内部構造材は、ダイバージェンス[1]に対抗するためアルミ合金とチタンを使用し、外板にはグラファイト・エポキシ樹脂板を導入した。
主翼を薄くしたため、前/後縁フラップなどのアクチュエーターは下面のフェアリングに収納された。
トリム操作のための全遊動式カナードをエアインテイクの側面に設置、離着陸時に機首上げの力を発生して、全体として大きな揚力を得ることができた。
胴体後部の大きなストレーキは高迎え角時に機首下げモーメントを発生し、機首の小さなストレーキは高迎え角時の方向安定性を向上させた。
風洞テストの結果、X-29Aは、±80°の高迎え角でも操縦性を回復できると見込まれた。
実験性の高いデザインを採用した結果、「史上最も空力的に不安定な航空機となった。デジタル式のフライトコンピューターなしでは飛行できなかった。毎秒40回も飛行経路を修正していた」。NASAアームストロング飛行研究センターの歴史研究責任者、クリスチャン・ゲルザー氏は振り返る[2]。
1号機
- 1984年12月14日、グラマン社テストパイロット、"チャック"シーウェルの操縦で初飛行。以降、メーカーによる性能確認テスト「フェーズ1」のため4回飛行。
- 1985年3月12日、空軍/DARPA/NASAによる大迎え角テストを含む「フェーズ2」を開始。
- 1985年12月13日、前進翼機として初めて音速を超え、水平飛行でマッハ1.03を記録。一連の飛行テストで遷音速域での抗力は、後退翼機に比べ20%減少することを確認。
- 1992年、テスト終了。全飛行回数は、各地の航空ショー展示のための12回の飛行を含めた計254回。
- 2004年現在、国立アメリカ空軍博物館に展示。
2号機
- 1989年5月23日、NASAのスティーブン・イシュメルの操縦で初飛行(53分)。高迎え角テストによる失速対策のため尾部にスピン(きりもみ降下)回復用パラシュートを装備。1号機では21°に制限されていた迎え角を最大67°まで上げるテストを実施、45°以下での良好な操縦性を確認。
- 1992年、高圧窒素タンク搭載。機首上面の2個のジェットノズルから窒素ガスを噴射することで、高迎え角時の機首の向きを制御するボルテックス・フロー(Vortex Flow/渦流)制御テストを60回実施。
- 1992年、テスト終了。全飛行回数は計120回。
- 2009年現在、ドライデン飛行研究センターに展示。
その他
- 2009年現在、フルスケールモデルが国立航空宇宙博物館に展示。
仕様(X-29A)
諸元
- 乗員: 1 名
- 全長: 14.66 m
- 全幅: 8.29 m
- 全高: 4.34 m
- 自重: 6,170 kg
- 全備重量: 7,850 kg
- 翼面積: 17.54 m2
- エンジン: ゼネラル・エレクトリック F404-GE-400 軸流式ターボファン 推力7,258kg
- 燃料: 1,800 kg
性能
- 最大速度: マッハ1.6
- 最高高度: 16,760 m
X-29が実証した技術
- 前進翼
- 渦流制御器
- Vortex Flow Controller(VFC)こと渦流制御器は、機体表面に微量のガスを噴射し、機体表面に気流の渦を発生させ、気流の渦でできた負圧により、機首の動き(機首角度)を制御する装置である。野球のボールを投げたときのマグヌス効果をイメージすると良い。これにより、尾翼の存在がほぼ不要になり、大迎角飛行でも機敏な姿勢制御が可能になる。
登場作品
- 漫画・アニメ
- ゲーム
- エースコンバットシリーズ - エースコンバット2、5、ZERO、X、X2、3Dでプレイヤー機として使用可能。
- サイドワインダーシリーズ - 「サイドワインダー2」でプレイヤー機として使用可能。「サイドワインダーⅤ」では本機をモデルにした架空機「X-29Z」をプレイヤー機として使用可能。
- F29 RETALIATOR - 近未来での活躍を期待されている戦闘機 ロッキードYF-22A と グラマンX-29 のフライトシム。「YF-29」として登場する。
関連項目
脚注
参考文献
- 『世界の傑作機 No.67 X-プレーンズ』文林堂、1997年。ISBN 9784893190642。
- 『Xの時代―未知の領域に踏み込んだ実験機全機紹介』文林堂〈世界の傑作機スペシャル・エディションVol.3〉。 ISBN 9784893191175。
- “グラマンX29――前進翼を装備したあり得ない戦闘機”. CNN (2019年11月4日). 2026年1月18日閲覧。
外部リンク
- ビデオ
- X-29 Aircraft with Forward Swept Wings military.com
X-29
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 07:36 UTC 版)
※この「X-29」の解説は、「F-5 (戦闘機)」の解説の一部です。
「X-29」を含む「F-5 (戦闘機)」の記事については、「F-5 (戦闘機)」の概要を参照ください。
「X-29」に関係したコラム
-
株式の投資基準とされるPERとは、株価収益率のことです。PERは、次の計算式で求めることができます。PER=株価÷EPSEPSは、1株当たりの利益額のことで、「当期純利益÷発行済み株式数」で計算されま...
-
株式の投資基準とされるEPSとは、1株あたりの利益額のことです。EPSは、次の計算式で求めることができます。EPS=当期純利益÷発行済み株式数例えば、当期純利益が100億円で発行済み株式数が1億株の企...
FXのチャート分析ソフトMT4で10分足や2時間足などを表示するには
FX(外国為替証拠金取引)のチャート分析ソフトMT4(Meta Trader 4)では、次の時間足の表示ができます。ティック1分足5分足15分足30分足1時間足4時間足日足週足MT4では、10分足や1...
- X-29のページへのリンク