Qロケットとは? わかりやすく解説

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Qロケット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/01/03 13:38 UTC 版)

Qロケット
Qロケットの風洞試験モデル
(岐阜かかみがはら航空宇宙博物館展示品)
基本データ
開発者 宇宙開発事業団
使用期間 開発中止
射場 種子島宇宙センター
打ち上げ数 0
物理的特徴
段数 4段
全長 28m
直径 1.62m
軌道投入能力
低軌道 質量85kg
(高度1,000km円軌道)
静止軌道 質量30kg
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Qロケットは、かつて日本で開発していた4段式の衛星打ち上げ用ロケットである。

科学技術庁宇宙開発推進本部とその後継組織である宇宙開発事業団(NASDA)で開発が進められていたが、1970年昭和45年)に計画が中止された。

計画

Qロケットは科学技術庁を開発主体として実用衛星を打ち上げるためのロケットとして計画された。ラムダロケットとは異なり1・2段を含め全段に誘導制御を持たせる設計で、1966年(昭和41年)ごろには国内企業における要素技術の開発に着手していた[1][2]

1969年(昭和44年)10月、国内で初めて策定された宇宙開発計画(昭和44年度)の中でQロケットの開発が明記され[3]1972年(昭和47年)に電離層観測衛星(後にロケットの打ち上げ能力の向上に従って計画修正されうめとして実現)の打ち上げを目指していた。また、Qロケットの性能確認衛星として第1号基礎実験衛星(後のきく1号)を電離層観測衛星に先立って1971年(昭和46年)に打ち上げる計画があり、衛星技術開発を目的とした第2号・第3号基礎実験衛星もQロケットを使用する方針があった[3][4]

しかし、1970年(昭和45年)10月の宇宙開発計画(昭和45年度)において、Qロケットの発展型である4段式Nロケットの計画と共に開発中止が明記された。その理由として、開発計画を検討した結果「解決すべき問題が相当あり、規定計画の期間内になしとげることが困難」であることと、「気象衛星などの数百kgの大型衛星を従来予想されていたよりずっと早い時期に打上げたいとする要望が関係機関より出された」ことが挙げられており、既にQロケットの開発が進んでいたことを踏まえてもなお、「中止する方が長期的に最も効果的、経済的である」と判断された[5][6][7][8]。この宇宙開発委員会の決定では委員のほとんど全員が賛成した[9]

Qロケット開発計画中止により、搭載する予定だった電離層観測衛星と、4段式Nロケットで打ち上げる計画だった実験用静止通信衛星(後のあやめ)の計画は3年延期された[5]

開発中止を取り巻く情勢

1969年7月31日、日米間で「宇宙開発に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協力に関する交換公文」が交わされ、通信衛星やロケットに関するアメリカの保有する秘密でない技術について日本に供与可能なものとなった。この中で、QロケットとNロケットを静止軌道に乗せるための技術が含まれることが明記された[10]。交換公文を受けて、アメリカ政府が組織した技術供与を検討するためのグループが日本の技術を審査し、Qロケットの計画では予定通りに進めることは難しい認識が示されたとされる[11]

自主技術を前提としていたQロケットおよび4段式Nロケットは、アメリカの技術供与を見込んで見直され、3段式に改められたNロケット(後のN-Iロケット)計画が開始されることになる[12][13]

機体

構成は第1段・第2段が固体、第3段が液体、第4段が固体の4段式ロケット[12]

諸元

  • 発射時全重量:約58t
  • 全長:28m
  • 直径:1.62m
  • 誘導方式:電波指令誘導方式

軌道投入能力

  • 軌道傾斜角70度、高度1,000kmの円軌道にペイロード重量85kg[13]

その他

  • Qロケットに必要な技術開発のために、誘導制御技術の開発にはJCRロケット(2段式固体ロケット)が、液体ロケット技術の開発はLS-Cロケット(第1段固体、第2段液体ロケット)が使用された。これらはQロケットの開発中止後も新Nロケット計画のために打上げ実験が続けられた[12]
  • Qロケットの第3段エンジンとして開発されていた液体エンジンは、改良されLE-3としてN-Iロケットの第2段エンジンに使用された[12]

脚注

注釈

出典

  1. ^ 日産自動車株式会社社史編纂委員会 編『日産自動車史 : 1964-1973』日産自動車、1975年、214-216頁。doi:10.11501/11956191https://dl.ndl.go.jp/pid/11956191/1/131 
  2. ^ 三菱重工業株式会社社史編さん委員会 編『海に陸にそして宇宙へ : 続三菱重工業社史 1964-1989〔本編〕』三菱重工業、1990年4月、104-105頁。doi:10.11501/13090928https://dl.ndl.go.jp/pid/13090928/1/86 
  3. ^ a b 昭和44年第24回宇宙開発委員会定例会議 宇宙開発計画(昭和44年度決定)(案)|宇宙開発委員会”. 文部科学省. pp. 13,24,28-33,41,49,51-53 (1969年10月1日). 2026年1月2日閲覧。
  4. ^ ロケット産業の動向調査 : 今後10年間の見透し』日本ロケット開発協議会、1968年、173,175-176,280頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12672647/1/91 
  5. ^ a b 昭和45年 第13回宇宙開発委員会定例会議 宇宙開発計画(昭和45年度決定)|宇宙開発委員会”. 文部科学省. pp. 2,12-18 (1970年10月21日). 2026年1月2日閲覧。
  6. ^ 八藤東禧『宇宙開発政策形成の軌跡』国際通信文化協会、1983年9月、138-139頁。doi:10.11501/12660508https://dl.ndl.go.jp/pid/12660508/1/80 
  7. ^ 島秀雄『新幹線そして宇宙開発 : 技術者60余年の記録』レールウェー・システム・リサーチ、1987年2月、110頁。doi:10.11501/12652918https://dl.ndl.go.jp/pid/12652918/1/61 
  8. ^ 未来工学研究所 編『大規模研究開発における効果的マネージメント』総合研究開発機構、1980年5月、156-159,168頁。doi:10.11501/12591511https://dl.ndl.go.jp/pid/12591511/1/84 
  9. ^ 網島毅『波濤 : 電波とともに五十年』電気通信振興会、1992年2月、470-474頁。doi:10.11501/13303287https://dl.ndl.go.jp/pid/13303287/1/252 
  10. ^ 宇宙開発に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協力に関する交換公文”. 外務省 (1969年7月31日). 2026年1月3日閲覧。
  11. ^ 建部英一, 堤佳辰『宇宙開発産業』日本経済新聞社、1971年、153-154頁。doi:10.11501/12048376https://dl.ndl.go.jp/pid/12048376/1/81 
  12. ^ a b c d 我が国の宇宙開発のあゆみ編集委員会 編『我が国の宇宙開発のあゆみ』宇宙開発委員会、1978年8月、93-95頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12655250/1/65 
  13. ^ a b 宇宙開発事業団 編『事業報告書 昭和44年10月~昭和48年9月』宇宙開発事業団、1974年6月、47,63,104頁https://dl.ndl.go.jp/pid/12673374/1/50?keyword=Q%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88 

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