ネナシカズラ属
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/30 01:55 UTC 版)
| ネナシカズラ属 (クロンキスト体系) |
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クシロネナシカズラ
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| 分類 | |||||||||||||||||||||
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| 種 | |||||||||||||||||||||
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ネナシカズラ属(ネナシカズラぞく、Cuscuta)はつる性の寄生植物からなる属。クロンキスト体系では単独でネナシカズラ科 (Cuscutaceae) としているが、ヒルガオ科に含めることも多い(分子遺伝学的にもヒルガオ科の系統に属すとされるので、APG植物分類体系でもヒルガオ科とする)。
多くの種は全寄生植物で葉緑素がなく、その代わり黄色、橙色、赤などに着色する[1]。つるが分岐しながら伸びて寄主植物や地面を覆い、「ラーメン」・「網」あるいは「太い髪の毛」のように見えたりする。
種類・分布
100ないし170種を含み、世界の温帯から熱帯に広く分布し、特に熱帯に多くの種類がある[1]。
- 日本国内の種
- ネナシカズラ(C. japonica:日本全土、東アジアに分布)
- マメダオシ(C. australis:日本全国からオーストラリアまで)
- ハマネナシカズラ(C. chinensis:南日本からオーストラリアまでの海岸)、環境省レッドデータブックにも絶滅危惧IA類(CR)
- クシロネナシカズラ(C. europaea:北海道からユーラシア、北アフリカまで)、環境省レッドデータブックにも絶滅危惧IA類(CR)
- アメリカネナシカズラ(C. pentagona)が帰化植物として見られる、この種は害草として問題になっている。
本属の植物はクスノキ科のスナヅル属に外部形態がよく似ている。しかしながら、両属の細部構造や系統は異なっており、収斂進化の一例とされている。日本にも分布するスナヅル属のスナヅルは熱帯から亜熱帯の海岸域で普通に見られる。
塩性湿地ではキーストーン種であり、耐塩性が高いカブダチアッケシソウが優位になりやすい場所でカブダチアッケシソウに寄生するため、他の種が入り込む余地を作る[2]。
性質
種子は地中・地表で発芽し、初めは根がある。小さな巻きひげのように動き、発芽後数日以内に寄主植物にたどり着けないと枯れる。特定の寄主植物が放つ揮発性物質をかぎ分け、寄主植物にたどり着くと寄生根(吸器)を貼り付けて、寄主植物から茎の維管束から水分と栄養分を奪って成長する[1][3]。ネナシカズラという名の通りに元の根は枯れるが、残存組織が残り水分吸収やアーバスキュラー菌根との共生関係が確認される[4][2]。
アメリカネカシカズラについては、揮発性物質("におい")で寄主を選ぶという研究報告がされ、特定の揮発性有機化合物を放つトマトと小麦ではトマトへ誘導され、小麦由来の揮発性有機化合物には忌避する傾向が見られた[5]。
葉はあるが鱗片状でごく小さい。葉緑素を持ちわずかに光合成するもの(C. reflexaなど)もあるが、全く葉緑素を持たないものが多い[6]。花は花冠はある(つぼ状、5裂)が小型で、花序をつくるが茎と同じような色であまり目立たない。果実は蒴果、種子は小さく多数あり、数年以上生存する。
寄主植物の範囲は広く、同時に複数の寄主に寄生することもある。熱帯では多年生で、高く伸びて樹木を覆うこともあり、また作物に多大な被害を及ぼすことも多い。温帯では一年草でそれほど大きくはならないが、マメダオシという種名のように作物を害することもある。被害の程度は寄生種および寄主の種類による。また寄主がウイルスに感染した場合にはそれに対する抵抗性を低下させ、さらに複数の寄主に寄生している場合にはウイルスを媒介することにもなる。
用途
ネナシカズラの種子は菟絲子(としし、菟糸子とも)といって漢方では補陽・固精・明目・止瀉・強壮の効能があり、一般には滋養強壮剤として腎陰虚や腎陽虚などに用いられる。なお、ハマネナシカズラやマメダオシからも同様の薬が作られる。
ネナシカズラを搾って汁を出し、イボの患部に塗って治すという伝統風習が長野県阿智・喬木地域にある[7]。
中央アジアや北アフリカに分布する Cuscuta pedicellata は、エジプトでは肥満対策の薬とされ、単離された化合物に肥満対策の有効成分があることが示唆されている[1][8]。
ギャラリー
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道端に繁茂したネナシカズラ
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同上・一部を拡大
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同じく花序
脚注
- ^ a b c d “Dodders - Cuscuta | Kew” (英語). www.kew.org. 2025年11月30日閲覧。
- ^ a b “What is Cuscuta?” (英語). Laurier Herbarium. 2025年11月30日閲覧。
- ^ “匂いを嗅ぐ植物|日経サイエンス”. 日経サイエンス一般読者向けの月刊科学雑誌「日経サイエンス」のサイトです。. 2025年11月30日閲覧。
- ^ Sherman, Timothy D.; Bowling, Andrew J.; Barger, T. Wayne; Vaughn, Kevin C. (2008-10). “The Vestigial Root of Dodder (Cuscuta pentagona) Seedlings”. International Journal of Plant Sciences 169 (8): 998–1012. doi:10.1086/590442. ISSN 1058-5893.
- ^ Runyon, Justin B.; Mescher, Mark C.; De Moraes, Consuelo M. (2006-09-29). “Volatile Chemical Cues Guide Host Location and Host Selection by Parasitic Plants” (英語). Science 313 (5795): 1964–1967. doi:10.1126/science.1131371. ISSN 0036-8075.
- ^ Machado, M.A.; Zetsche, K. (1990-04). “A structural, functional and molecular analysis of plastids of the holoparasites Cuscuta reflexa and Cuscuta europaea” (英語). Planta 181 (1). doi:10.1007/BF00202329. ISSN 0032-0935.
- ^ 『信州の民間薬』全212頁中85頁医療タイムス社昭和46年12月10日発行信濃生薬研究会林兼道編集
- ^ Mehanna, Eman T.; El-sayed, Norhan M.; Ibrahim, Amany K.; Ahmed, Safwat A.; Abo-Elmatty, Dina M. (2018-12). “Isolated compounds from Cuscuta pedicellata ameliorate oxidative stress and upregulate expression of some energy regulatory genes in high fat diet induced obesity in rats” (英語). Biomedicine & Pharmacotherapy 108: 1253–1258. doi:10.1016/j.biopha.2018.09.126.
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