雛鍔
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/12/28 15:05 UTC 版)
『雛鍔[1]』または『ひな鍔[2]』(ひなつば)は古典落語の演目。上方落語では『お太刀の鍔』(おたちのつば)という題で演じられる[1][2]。
硬貨が何かを知らない若殿様を見た植木屋が自分の息子にその真似をさせようとする内容。
武藤禎夫は、本演目の「原形をなしている」可能性がある「銭を知らない評判を真似して失敗する滑稽」の出る軽口咄」として、享保18年(1733年)に出版された笑話本『軽口独機嫌』の一編「全盛の太夫さま」(主人公は遊女で、同僚が百文のつなぎ銭(穴あき一文銭を百枚、麻縄に通したもの)を蛇と思い込んで驚き、梯子から落ちたのをまねして失敗する内容)を挙げている[3]。東大落語会編『落語事典 増補』では、安永2年(1773年)の『飛談語』所収「小粒」(遊女に小粒(豆板銀)を与えたところ「これは薬か」と返答し、所用のため部屋を出た男が財布を忘れたことに気付いて戻ると、遊女は腹ばいで小粒を4つずつ分けていた、という内容)などにヒントを得て作られたのではないかとする[1]。
あらすじ
植木屋が出入りしている大名屋敷で、まだ元服前の若殿が庭の泉水のほとりで天保通宝を拾い上げて、それが雛人形の刀の鍔ではないかと話し、お付きの三太夫から「不浄なもの」と言われてその場に投げ捨てるのを目にする。その姿に感じ入った植木屋は帰宅後、若殿と同じ年頃で小遣いをねだってばかりいる自分の子どもに何とか真似をさせようとするが、子どもは植木屋が落とした金をくすねて持ち去った。
子どもは近所のご隠居の前で、お金を手にして熊五郎から聞いた若殿の言葉をそのまま口真似し、隠居を感心させてしまう。居合わせた植木屋は真相を話そうとするが、かえって相手を喜ばせる。隠居は子どもに好きなものを買ってやろうと持ちかけ、植木屋が子どもに「不浄な銭を捨てろ」というと子どもは「やだい、これで焼き芋を買って食べるんだ」。
バリエーション
武藤禎夫『定本 落語三百題』掲載のあらすじでは、植木屋の息子が金をくすねる場面はなく、父親の話だけを聞いて偶然銭を拾ってくる設定である[3]。
上方版
上方落語の『お太刀の鍔』では、金を知らない子供が大富豪・鴻池の「ぼんち」という設定で、主人公は大工である[2]。
脚注
参考文献
雛鍔と同じ種類の言葉
固有名詞の分類
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