芋俵
芋俵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/12/21 13:28 UTC 版)
『芋俵』(いもだわら)は、古典落語の演目。別題として『芋どろ』(いもどろ)、『芋屁』(いもへ)、『人俵』(ひとびょう)[1]。ただし『人俵』には同演題の別演目がある[1][2][3]。上方落語では『芋屁』の演題が用いられる[1][4][注釈 1]。
泥棒の一味が1人を俵に詰め、盗みに入る家に置いて俵に入った者に手引きをさせようとしたところ、家の者が俵を探って中にいた泥棒が屁を放つという内容。
狂言の『柑子俵』がストーリーの起源になっており(柑子商人との約束を破った者が子どもを詰めた俵を商人に 渡し、商人が声に気付いて俵を開くと出てきた子どもが商人を脅す内容)、落ち(サゲ)の放屁の箇所は安永2年(1776年)刊の噺本『聞上手』に収録された「芋屁」(芋売りが芋の値段を負けて売るところを見た別の人間がそこで放屁して芋売りが「商いの邪魔をなされますな」と言う内容)にその形が見える[5][注釈 2]。また、人を忍ばせたものを人家に預けて盗みの手引きを企てる要素は、元禄5年(1692年)の『噺かのこ』第5巻「盗人智略の事」にある(大晦日に泥棒が一味を入れた長持ちを商家に預けたが、夜中に人が入っているのに気付いた下女が夜も寝ずに待ち、夜明けになって店の者に捕らえさせたという内容)[5]。
あらすじ
※以下、東大落語会編『落語事典 増補』掲載の内容に準拠する[1]。
3人組の泥棒が、戸締まりの厳しい家に盗みに入るための計略を立てる。それは1人が忍び込んだ芋俵を残る2人がその家の前まで運び、家の者に「少しの間置かせてくれ」と頼んで夜まで取りに行かなければ家の者が俵を屋内に移動させるから、そのあとに俵から出て中から鍵を外し、仲間を招き入れるというものだった。家に俵は置かせてくれたが、屋内に入れる際に泥棒の頭のある側を下にして置いてしまう。夜になり、女中と小僧が空腹を癒やすためにこっそり芋を食べようとして、小僧が俵の上から手を入れてまさぐると泥棒の股間をなでる形になる。泥棒がくすぐったさを我慢していると思わず放屁してしまう。すると小僧は「おや、気の早いお芋だ」。
バリエーション
5代目柳家小さんの口演では、最初は泥棒は2人組で、2人だと1人の入った芋俵を担いでいけないと気付き、知り合い(松公という名前)を引き入れるという形になっている[7]。5代目小さんは師匠の4代目柳家小さんから伝えられたが、5代目によると4代目の口演は「クスグリをしつこくやらない」ため「サゲ(落ち)ぎわがよかった」といい、人形町末廣で演じた際には落ちの「気の早いお芋だ」を言った直後は拍手も起きず、高座を降りた4代目が楽屋で足袋の履き替えをしているころになって「じわじわじわじわ笑ってくる」ものだったという[3]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d 東大落語会 1973, p. 69.
- ^ 東大落語会 1973, pp. 382–383.
- ^ a b 柳家小さん集上 1966, pp. 352–353, 五代目柳家小さん聞書 第一部解説編(上)「芋俵」.
- ^ a b 前田勇 1966, p. 125.
- ^ a b 武藤禎夫 2007, pp. 53–54.
- ^ 宇井無愁 1976, pp. 86–87.
- ^ 柳家小さん集上 1966, pp. 219–234, 芋俵.
参考文献
- >> 「芋俵」を含む用語の索引
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