石炭船とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 交通 > 船舶 > > 石炭船の意味・解説 

石炭船

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/01/19 13:25 UTC 版)

石炭船(せきたんせん)とは、主に石炭を運搬する用途で使用される輸送用の船舶の種類。

概要

日本郵船運航の幅広浅喫水型石炭船「能代丸」(能代港にて揚貨中。2021年)

船種としてはばら積み貨物船(バルクキャリア、バルカー)の一種である[1]。石炭の比重は穀物の1.2倍程度で比較的軽い貨物であり、石炭船の構造は穀物専用船に近い[1]

19世紀後半以降、燃料・原料としての石炭の利用拡大につれ、船舶による燃料炭運搬・製鉄用石炭運搬が拡大し、石炭に適した船型の開発が進み、世界的に運用された。

19世紀後半の最初期はマストを備えた木造の帆船のものが多かったが、技術の進歩と共に動力化が進められて次第に蒸気船となり、ディーゼルエンジンの実用化・普及後はディーゼル船となった。

排水量数百トンの小型のものから数十万トンに及ぶ巨船まで存在する。構造が単純なため改造が施しやすく、この理由で第二次世界大戦中には軍艦(護衛空母など)に改造され軍籍に移籍したものもある。

1945年以前は1-2万重量トン級が主体であったが、1960年代から石炭・鉱石・穀物といったばら積み貨物を扱うバルクキャリアとして発展し、4万重量トン級ハンディマックス・6-7万重量トン級パナマックス級も建造されるようになった。

日本においては、1950年代の主力エネルギーは国内産の石炭であったが、1960年代から産業・発電燃料は石油に切り替わって行き、タンカーは1万重量トンから50万重量トンまで巨大化していった。一方製鉄所が4万-8万重量トンのバルクキャリアを用いて製鉄原料炭や鉄鉱石の大量輸入を行うようになった。1970年代には日本の臨海製鉄所の石炭輸入量は1億トンに達し、石炭や鉄鉱石を運ぶバルクキャリアも8万-16万重量トン級に拡大するようになり、荷役能率向上のため荷役は大型港湾設備を用い、6万重量トン以上のサイズではクレーン付きは稀になった。

1979年第二次オイルショック時代に原油価格が一時期1バレル40ドルに値上がりしたために、世界各国で発電・産業用燃料はあるいは石炭に回帰し、あるいは天然ガスに切り替わった。日本では石油が1バレル2ドル台だった1960年代に国内炭鉱は次々に閉山しておりコストも高かったので、石油がバレル40ドルになっても国内炭には回帰せずオーストラリアや米国、インドネシアなどの海外炭に切り替わっていった。そのため火力発電所用・一般産業用炭も毎年数千万トンが輸入されるようになった[2]

1980年代までは、日本の石炭輸入先は北米東岸や南米が多く、パナマ運河の通航が可能なパナマックスサイズ(幅32.2m・喫水13m)の6万-7万重量トン級の石炭船が多く用いられていた[3][4]。1990年代以降、日本の電力会社は石炭火力発電所の新設・拡大を進めたが、建設された発電所の多くは水深が比較的浅く海象条件も厳しい過疎地の海岸に立地していることが多く、反面、石炭の輸入先はオーストラリアやインドネシア、北米西岸、中国などのパナマ運河を通航する必要のない地域にシフトしたことから、運航条件に適した幅が広く(36-43m)喫水の浅い(12-13m)7万-9万重量トン級の船型が開発され、海象条件に合わせて係船装置の強化も図られた[3][4][5]。貨物艙(カーゴホールド)は、パナマックス船では7ホールドに分かれていることが多かったが、発電所向け専用船では5ホールド程度に大型・集約化した[4][5]。これらの仕様は日本の発電用炭輸送に最適化した「幅広浅喫水型石炭船」として、以後の日本の石炭船の中心となった[3][4][5]

炭鉱から河川を利用し無動力で下流域へ運搬する用途のものも同じく石炭船の名称で呼ばれる[注釈 1]

給炭艦

給炭艦ジュピター(USS Jupiter, AC-3)から改造された航空母艦USS ラングレー (CV-1)

軍用のものは補給艦・給炭艦に分類され、輸送能力と同時に洋上で他艦に石炭補給する能力を有していた。

脚注

注釈

  1. ^ 直方市石炭記念館 “筑豊炭田について[6]”「3. 福岡藩による筑豊炭田の開発」内、石炭の輸送の項目に石炭船の記述有り。

出典

  1. ^ a b 瀧澤宗人『交通ブックス206 船舶を変えた先端技術』 成山堂書店、1995年、ISBN 4-425-77051-X、pp.10-15
  2. ^ 石炭船“HANABUSA”竣工 | プレスリリース商船三井、2007年2月1日。オリジナルの2007年12月25日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20071225162203/http://www.mol.co.jp/pr-j/2007/j-pr-2684.html2008年4月19日閲覧 
  3. ^ a b c 1995年12月21日付日本経済新聞「海運5社 石炭専用船を拡充 火力向け、25隻程度」
  4. ^ a b c d 川崎汽船株式会社『当社電力炭輸送船隊「コロナシリーズ」の歩み』(2026年1月18日閲覧)
  5. ^ a b c 世界の艦船』1998年10月号(No.543)、海人社、p.123
  6. ^ 筑豊炭田について”. 直方市石炭記念館. 2008年4月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年4月19日閲覧。

関連項目

外部リンク


「石炭船」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



石炭船と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「石炭船」の関連用語

石炭船のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



石炭船のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
商船三井商船三井
Copyright ©2026 Mitsui O.S.K. Lines All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの石炭船 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2026 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2026 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2026 GRAS Group, Inc.RSS