きょういく‐ひょうか〔ケウイクヒヤウカ〕【教育評価】
教育評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/08 03:01 UTC 版)
教育評価(きょういくひょうか、英: Educational evaluation)は、教育活動の改善を目的とし、教育目標への到達の状況、教育効果の測定を行うものである。1930年代にアメリカ合衆国のラルフ・タイラーらが提唱した概念であり、カリキュラム評価、授業評価、学校評価と分岐・発展していった。
概念の形成と変遷
近代以前の伝統的な学校教育の中では、口頭試問や論文体試験による評価が中心となっていた[1][2]。この評価手法は、評価者である教師の主観に依るところが大きく、その妥当性・客観性への批判から20世紀初頭に教育測定運動が興り、多肢選択法などを用いた客観テストが開発される[1][2]。客観テストが学力検査の手法として急速に普及していくが、同時にその結果のみをもとにした評価の信頼性や限界を指摘する主張も現れ、1930年代に入ると、ラルフ・タイラーを中心に教育評価の概念形成が進んでいく[2][3]。
タイラーらは、評価の目的は教育改善のためにあり評価結果は教育目標への到達のために用いるべきと主張し、「教育評価(Evaluation)」の概念を整理していった[2][3]。この中で、客観テストによる学力検査は、児童・生徒の順位付け・序列化のために行うものではなく、教育効果の測定と改善点の把握のために行うものと位置付けられていく[3][4]。日本にも1940年代後半にタイラーらによる教育評価概念が移入し、教師が自らの教育方法の反省・改善のために行うものとして受容され、学習指導要領に組み込まれていく[2]。
教育評価の概念が発達し、学校教育の中に浸透していく中で、教育評価の領域や対象についても、児童・生徒の学力評価のみならず、授業内容の改善を目的とした授業評価、単元の配置や教科編成を対象とするカリキュラム評価、学校の活動全体を対象とする学校評価と拡張、分岐していく[3][4]。また、評価の方法や結果のフィードバック手法についても研究が進み、日本では、1960年代後半から1970年代初頭の通信簿論争を経て、ベンジャミン・ブルームらの研究成果の学校現場への移入が進み、学力評価の相対評価から絶対評価への転換、到達度評価の導入が図られていく[2]。
一方で、「教育評価(Evaluation)」の概念が普及していくに従って当初の理念や語義が薄れてしまった面もあり、原義どおりの教育評価を目的とした取組についても、PISAの国別順位のみに着目して報道されることがあり、これらの順位の上昇を目的に活動する学校も現れる[3][5]。これを懸念あるいは教育評価の語に付いたイメージを嫌い、一部の領域では「アセスメント(Assessment)」の語が使われる[3]。単純な言い換えのほか、評価の材料となる情報の収集過程をアセスメント、その情報から教育目標への到達度を把握し改善を試みていく段階から教育評価と使い分けることがある[3]。
教育評価の方法
教育評価の主な対象領域として、学習者の学力評価、教材や授業形態などの授業評価、授業・単元・教科などのカリキュラム評価、教員の配置や学校経営全体を評価する学校評価がある[3][4]。これらの評価、評価材料の解釈手法として、目標準拠評価(絶対評価)、集団準拠評価(相対評価)がある[4]。
教育内容・教育プログラムを調整できる立場にいる教師や学校が評価の主体(評価者)となることが多いが、そのほかにも、児童・生徒といった学習者やその保護者、教育行政当局が評価主体となり得る[3][4]。日本の学校教育を例として各主体の評価活動を整理すると次のようになる[3][4]。
- 教師は、教育の実践過程で学習者の実態を把握・評価し、評価結果をもとに教育効果を高めていくために授業の改善を図る。また、学習者の実態は教師に対する評価にもつながっていく。学校の管理・運営側に立つ校長や教頭は、学校の組織・活動全般にわたって実態を把握・評価し、その改善を図る。
- 学習者は、自らの学習状況を評価や学習者間の相互評価を通じて学習の改善を図る。この改善プロセスを実行できるか、自己教育力や自己評価能力の醸成具合は、教師や学校側の評価にもつながる。また、教育を受ける側の立場として、教師や学校の評価主体ともなる。
- 保護者や地域住民は、学校に対し評価の材料となる情報の開示・提供を求め、学校の教育実施体制や授業内容などの評価を行う。授業参観や保護者面談は教育評価の機会としての側面も持つ。地域に開かれた学校という視点からの評価もあり、2000年から学校評議員制度が始まっている。
- 文部科学省や教育委員会などの教育行政当局は、管轄する学校の教育状況を把握し、その改善のための政策・施策を実行していく。評価のための情報収集として、全国や地区レベルでの学力検査、学習指導要領の実施状況調査などが行われる。
出典
- ^ a b 梶田叡一『教育心理学への招待』ミネルヴァ書房、1995年、158-159頁。ISBN 978-4-623-02531-2。
- ^ a b c d e f 田中耕治 編『よくわかる教育評価 第3版』ミネルヴァ書房、2021年、230-239頁。 ISBN 978-4-623-09164-5。
- ^ a b c d e f g h i j 『教育評価重要用語事典』明治図書出版、2021年、10-17頁。 ISBN 978-4-18-604231-3。
- ^ a b c d e f 『教育評価事典』図書文化社、2006年、18-25頁。 ISBN 978-4-8100-6471-1。
- ^ 平沢茂 編『教育の方法と技術 4訂版』図書文化社、2023年、158-165頁。 ISBN 978-4-8100-3778-4。
関連項目
教育評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/13 23:21 UTC 版)
自律的学習に関する知識因子につて、数多くの研究調査が実施された。 自律的学習に関連する目立った特徴(機略に富むこと、自発力、粘り強さ)が高校生に不可欠である。現在、アメリカの学校制度が学力達成度による上るはしごのようである。学習者がはしごを上るとともに、オートノミーの重要性も増加する。重要性は幼稚園から高校3年に直線的に増加せず、むしろ中学から高校への移行で激増をみせる。学習者オートノミーの方法を教われた学生が高校で成功する可能性が比較的に高いと示唆する研究調査がある。なお、学力達成度だけでなく、自律的学習の発達に基づいても昇進させた学生の学業成績が高い。 学習者オートノミーの評価手段が学生の高校への進学覚悟を断定することがある。その目的を占める若年者に適切な手段がある。 その手段は更なる学習者オートノミーにふさわしい学生を評価することに向いている。「更なる学習者オートノミーにふさわしい」ということは高校生が必要な特徴である。
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