小栗流とは? わかりやすく解説

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小栗流

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/12/25 10:04 UTC 版)

小栗流和
おぐりりゅうやわら
小栗流和の固技「ひしぎの固」
発生国 日本
発生年 1616年江戸時代
創始者 小栗仁右衛門正信
派生流派 鞠身流、水野流
主要技術 剣術手裏剣棒術
抜刀術槍術眉尖術
水練騎射
伝承地 土佐藩
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小栗流(おぐりりゅう)は、小栗仁右衛門正信が開いた日本武術の一流派。

歴史

徳川家旗本であった小栗仁右衛門正信は柳生石舟斎から新陰流剣術を学んでいた。

1615年(慶長20年)の大坂の陣で組討により首級を挙げた経験から、長崎奉行に赴任中に新陰流同門の駿河鷲之助と組討の研究を行った。1616年(元和2年)柳生家から免許を得て小栗流和を開いた。小栗流は柔術ではなく和(やわら)と表記するが、他に甲冑傳や武者取とも称していた。1613年(元和3年)に将軍家の許可を得て広く門弟を招き、1623年(元和9年)には土佐藩主山内忠豊に招かれて小栗流を伝えた。小栗仁右衛門の門人は約3600人いた。

小栗流を土佐に伝えた朝比奈可長は幼くして父を失い土佐藩士の伯父である朝比奈右京亮により養育された。武術修行のために江戸へ上り小栗仁右衛門の高弟で水野流を開いていた水野自適斎に就いて和を学んだ。その後、土佐に帰国して1646年(正保3年)参勤により江戸に出て主命により小栗仁右衛門の門人となった。1649年(慶安2年)小栗流和の伝書を受け、1653年(承応2年)には小栗流和の一子相伝を授かった。以降は土佐藩主山内忠豊に和術師範役として仕えた。

土佐藩に伝えられた後は同地で栄え、土佐藩の柔術は幕末まで小栗流の勢力が大きかった。坂本龍馬も幼少から小栗流を学び免許を受けている。


内容

小栗流の表芸は和(柔術)であるが、幕末の日根野弁治吉善の系統では剣術を表芸としていた。

本来は流祖が編み出した組討に剣術ほかを加えた流派と伝えられ、また和の極意を最も重要な秘伝とするなど柔術を流儀の核心とする内容の流派である。

創始時には、剣術と和以外に、抜刀術槍術眉尖術(薙刀術)、水練、騎射などを含んでいた。

和について

和は組合のみではなく万物の柔弱・剛強・遅速・転変の理を動静に従って教える。他の芸に表裏があるが小栗流和では事という。

「小栗流和兵法事目録」では為形と書かれており、平常は組合と言われていた[1]

組合は取胸・折指・取手・纒頭・取帯の5種類各9手で45手を教えていた。


事之數 45
取胸 事3、移3、乱3
折指 事3、移3、乱3
取手 事3、移3、乱3
纒頭 事3、移3、乱3
取帯 事3、移3、乱3


組物の図について

組物とは「小栗流和三十三箇条切紙目録」で伝えられる固技のことである。

29の図が書かれた絵伝書が有名である。


土佐山田町教育委員会が編纂した『土佐山田町史料 第一巻』に紹介されている伝書の解説は下記の通りである。

組物には色々な図があるが、なかなか図のように捕らえられるものではないから図の中で捕えやすくてよく極まる手を四つか五つ普段から稽古して覚えておくべきである。向こうから、脇から、後ろから取り掛かることを工夫しておくと自分自身の用心にもなり迂闊に人に捕らえられることはない[1]

組合は 猶組物の心あれ 捕へ置きつつ 散らさざらめや
組合は 人を堅むる道のみか 我身の為の うけ身成けり

組物の名前は下記の通りである。

  1. ひつしのかため
  2. 立合くくりのかため
  3. よりそいのかため(二図)
  4. ひつしのかため
  5. 搦捕のかため
  6. はしりふね
  7. むこうつめのかため
  8. 追懸捕のかため 不動のからしはり
  9. かれきのかため(二図)
  10. 立合搦のかため
  11. すくみ取かため
  12. たちそりのかため
  13. 鴫の羽返し
  14. いそりのかため
  15. せんこしのかため
  16. はさみ取とかれきたおし(二図)
  17. 奏者取かため
  18. 切捕のかため
  19. 千人詰のかため
  20. ひしぎのかため
  21. 捕手のかためにも屏風返のかためにも何のかためにも成
  22. とりてのかため
  23. 捕手のかため追懸とりのかため
  24. つくりもの
  25. 造物
  26. 作物


日根野弁治が伝えた内容

坂本龍馬が日根野弁治吉善から学んだ内容は下記の通りである。 伝書は「小栗流和兵法事目録」「小栗流和兵法十二箇条」「小栗流和兵法三箇条」の三巻である。他の系統と比べて剣術を表芸としている。

「小栗流和兵法事目録」では柔術剣術の他に小太刀・二刀・棒・鎌・鑓や薙刀に対する勝口などが伝えられた。

日根野弁治吉善の「小栗流和兵法事目録」は太刀から始まり最後に和(柔術)が記されているが、数代前の足達甚三郎が伝えた小栗流では和(柔術)の45手が最初に書かれている。

また日根野弁治吉善の「小栗流和十二箇条」は、それ以前に伝わっていた「小栗流和三十三ヶ条切紙目録」から最も肝要な箇所を選んで12ヶ条にしたものであるとしている。33ヶ条では和(柔術)の固技である組物が1番目であったが、日根野弁治吉善の12箇条では削除されて本来12番目にある太刀合之心持が最初に記されている。


小栗流和兵法事目録
身鞠 風和 理気貫通
太刀
天刀、地刀、抜切刀
右曲佐曲
無一剣之大事
小太刀
附入、分割、一味、魚鱗、清眼、絶妙刀
未発之大事
二刀之位 五ヶ勝口心待之大事
小太刀勝口之位 五ヶ心待之大事
太刀勝口之位 十ヶ心待之大事
居合
五方(向詰、右詰、左詰、後詰、四方切)
出合、當、附込、附退、抜討、請流、介錯、見附介錯、請込、抜討
棒太刀合
小返、左右拂、棒縛、追込、上下拂
棒合
上下返、脚砕、附込、請込、詰巻
鎌事心持三ッ
鑓薙刀事勝口心待
為形 上中下
取胸 (移、乱)
折指 (移、乱)
取手 (移、乱)
纒頭 (移、乱)
取帯 (移、乱)
小栗流和十二箇条
太刀合之心持
當り骨防
遠近水月之心持
身之曲尺 付 大曲尺
無刀捕之心持
括様之事 付 下緒之事
間之剣
矢心之心持
組討之心持
甲之心持 付 冑着様之事
指添之心持
和二十五箇条
彌和羅先 付 仕形
天者父、地者母
上、中、下
上手之事
折抜
引人之事
仕形之事
先之勝
諸作之勝、諸作之負
諸作ニ移気之事、気ニ移諸作之事
諸作ニ放事
心之勝、心之負
知我事
気之事
残心之事
陰之事、陽之事
鏡之事
風和之事
小栗流和兵法三箇条
十二気
手裏剣 持撃離
盲目弛

系譜

例として一部の系譜を以下に示す。 実際にはこの他にも多くの伝系が存在した。

  • 小栗仁右衛門正信
    • 細井佐次右衛門勝茂
    • 大森信濃守頼直
    • 水野自適斎(水野流を開く)
    • 朝比奈丹左衛門可長
      • 朝比奈藤三郎長之
      • 朝比奈千之進
      • 朝比奈知庵
      • 渡辺清大夫利重
        • 渡辺小兵衛利輝
        • 足達茂兵衛正藹
          • 足達甚三郎正靖(林六太夫守政の実子)
            • 足達市平達溥
              • 足達長十郎達男
                • 足達駒之丞達長
                  • 足達傳蔵達善
                    • 足達武之助正達
              • 西尾忠平
              • 宮﨑九内正任
                • 宮﨑九兵衛
                  • 池野七之進
            • 日根野弁次吉賢
          • 平尾伴九郎久喜
            • 平尾伴五郎成美
              • 平尾小源太弘茂
                • 平尾作内喜繁
            • 藤田彦四郎
      • 林六太夫守政無双直伝英信流居合九代師範)
        • 楠瀬六右衛門貞次
      • 国澤武左衛門
      • 国澤弥三郎
      • 松島太右衛門
      • 渡辺勘十郎成勝
        • 渡辺新右衛門正勝
          • 渡辺勘十郎時勝
    • 山鹿甚五左衛門高興(山鹿素行)

脚注

  1. ^ a b 土佐山田町教育委員会 編『土佐山田町史料 第一巻』土佐山田町教育委員会、1978年

参考文献

外部リンク

関連項目




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