密輸入とは? わかりやすく解説

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みつ‐ゆにゅう〔‐ユニフ〕【密輸入】

読み方:みつゆにゅう

[名](スル)法を犯してひそかに輸入すること。


密輸

(密輸入 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/12/16 10:22 UTC 版)

本に埋め込まれたタバコ
コンクリートブロックに埋め込まれたタバコ
コカイン袋を飲み込んだ運び屋のレントゲン写真
麻薬密輸漁船の臨検

密輸(みつゆ)または密貿易(みつぼうえき)[1]とは、正規の手続きを経ず、物品の輸出入(貿易)を行うことである。

概要

密輸を行う目的としては、

が挙げられる。多くの場合、暴力団マフィアなどの犯罪組織が関わっており、それらの組織の資金源となっている[7][8]

歴史

日本

古代以前、弥生時代前期(石器時代金属器時代の中間)、中国大陸からカイコ種やクワの種が伝来するが、支那は養蚕法やカイコやクワの種の国外持ち出しを厳しく禁じていたことが文献記述にあり(後述書 p.12。「養蚕業」も参照)、これも密輸だったといえるが、京都工芸繊維大学名誉教授の布目順郎によれば(カイコ種の遺伝子調査結果の上で)、「国禁を犯して日本に伝えたのは漢民族ではなく、華中地方にいて漢民族と対立していた戦国族の末裔やミャオ族といった少数民族の人達であったのではないか」と推測している[9]

中世期、室町時代に流入した宋銭によって、一時期、貨幣経済が安定するが(銭貨も参照)、側は銭の輸出を禁じていたため、基本的には民間商人による密貿易で成立していた[10]。この日宋貿易で輸入された銭の総量は2億にものぼる[11]。すなわち、中国銭自体が密輸品であり、その密輸品で中世日本経済が成立していたといえる。

近世期、江戸時代になり、江戸幕府朝鮮オランダとのみ公式な交易関係を定め、鎖国によって、外国からの帰国を禁じることとなるが、諸では密貿易を幕末まで続けていた。例として、加賀藩では銭屋五兵衛という商人が藩ぐるみでロシア帝国と交易し(後述書)、のちに投獄された。浜田藩では回船問屋会津屋八右衛門の提案で、朝鮮半島スマトラ島ジャワ島にまで密貿易した(竹島事件)。長州藩薩摩藩佐賀藩では密貿易の収入で財政を立て直し、幕末においては倒幕のための軍費として用いられることになる[12]

このように古代・中近世を通して、前近代では経済や歴史を動かす原動力として密貿易が関わっていた面もあり、負の側面ばかりではない。

中国

清代、1796年アヘン密輸を取り締まるようになった。その甲斐なくアヘンは蔓延して社会危機を起こし、大英帝国との阿片戦争へとつながっていく。清は阿片戦争による大敗によって、大国としての地位を失うことになる。

現代では外国人麻薬密輸者の死刑判決が問題になっている(2010年中国における日本人死刑執行問題)。日本法に定められた刑の上限では、麻薬密輸は無期懲役であることにより起きた摩擦)。

ロシア

ソビエト連邦時代に起きたベレンコ中尉亡命事件において、ベレンコ中尉がアメリカ亡命のために乗って来た戦闘機MiG-25自体が正規の手続きを得たものではなく、盗難自動車と同様、乗り物の密輸である(この場合、報酬は亡命である)。冷戦下のアメリカにとってはソ連の軍事機密の一端を知る機会を得たとはいえ、調査した上で最終的には返却している。

朝鮮民主主義人民共和国

2013年7月15日、パナマ政府が北朝鮮船籍の貨物を調べた際、申告の無い武器・兵器の部品(MiG-25など)が密輸されていることが判明し、のちにキューバ政府が老朽化したMiGの修理を依頼していたことが判明している(詳細は「2013年#できごと」の7月15日を参照)。

2023年には、北朝鮮が日本産と米国産の煙草ブランドを偽造密輸し、多額の利益を得ていた事が発覚している。北朝鮮はイギリス大手煙草会社ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(以下BAT)とその子会社とビジネス(密輸)をし、アメリカ合衆国司法省罰金支払いを求め、これにBATが合意している(日本円にして罰金840億円を支払った)[13]。アメリカ合衆国の報告書によれば、2007年にBATは北朝鮮に対する事業を切り離し、ビジネスから手を引くと声明を発表していたが、その後も仮の会社を使って4億1500万ドルの取り引きを行っていた(前同記事)。

密輸の方法・および著名人

  • 運び屋 (密輸)英語版
  • 影の船団英語版(シャドウフリート) ‐ 国家規模で規制された物資を密輸する船につけられる名前[14][15]
  • 伝書鳩[16]
著名人
  • ルイ・マンドランフランス語版 - 18世紀に塩・タバコなどを密輸して安く流通させ民衆からの支持を受けていた[17]「フランスのロビンフット」の異名を持つ密輸業者[18][19]
  • クニグネシャイ英語版 ‐ リトアニア語書籍密輸商の総称。ロシア帝国時代のリトアニア語出版禁止令英語版を回避するために国外で印刷された書籍を密輸し、リトアニア語を存続させた。
  • ヤン・フェン・グラン中国語版 - 象牙の密輸を行っていた「象牙女王」の異名をもつ中国人[20]

主な密輸品

アメリカの国境でアメリカ合衆国税関・国境警備局によって、逮捕された希少な鳥を密輸しようとした犯人の手口。

密輸が問題となる主な貨物は以下のとおり。

輸入禁制品・規制品

密輸出される物品

シラスウナギの密輸

2007年に台湾でシラスウナギが輸出禁止になると、香港から日本への輸入が増加した。香港ではシラスウナギ漁の実態が無く、台湾からの密輸されている可能性が高いと指摘されている。2018年12月と19年1月に香港から日本へ約6トンシラスウナギが輸入されている。これは、同じ期間に日本の養殖池に入れられた稚魚の約8割を占めていることが明らかになっている[38][39]

その他

建築ラッシュが続いている国では、建築資材の不足、特に金属不足と価格高騰が起きる。そこに目を付けた金属泥棒が他国から銅線などを奪い、密輸につながる。

対策

日本では2005年から試験的に事前旅客情報システムを導入。2007年から義務化された。出発空港において搭乗者の情報を到着空港に送り、特に組織ぐるみの密輸対策を強化している[40][41]

密輸が危惧されるもの

ソビエト連邦の崩壊に伴い、テロリストへの核燃料流出が懸念され、2002年にはアメリカがソ連式原子炉に用いられた濃縮ウランの追跡を行った(「核テロリズム」参照)。こうした事態を未然に防ぐための国際条約としては、核拡散防止条約がある。今後は条約から脱退した朝鮮民主主義人民共和国が崩壊した場合にも同様の懸念が生じる。

展示

  • 横浜税関資料展示室では、横浜税関が摘発した密輸の手口を再現して展示している[42]
  • スイス連邦税関博物館ドイツ語版(密輸博物館) ‐ スイス連邦とイタリアとの国境の町ガンドリア英語版に所在する博物館で、摘発された密輸品の展示が行われている[43]
  • ドイツ税関博物館ドイツ語版 ‐ ハンブルクに所在し、ドイツの税関で摘発された密輸品と手口が展示されている[44]

脚注

  1. ^ 稲垣尚友:トカラが「外国」だったころ◇戦後の米軍政下を懸命に生きる島民の姿、聞き書きでたどる◇日本経済新聞』朝刊2021年10月28日(文化面)同日閲覧
  2. ^ 北朝鮮タンクローリー不正輸出事件で社長逮捕  (1/2ページ)」『MSN産経ニュース産業経済新聞社、2009年5月19日。オリジナルの2009年5月22日時点におけるアーカイブ。2009年5月19日閲覧。
  3. ^ 北朝鮮タンクローリー不正輸出事件で社長逮捕  (2/2ページ)」『MSN産経ニュース』産業経済新聞社、2009年5月19日。オリジナルの2009年5月22日時点におけるアーカイブ。2009年5月19日閲覧。
  4. ^ 豚肉関税、130億円脱税容疑 愛媛の業者、強制捜査へ」『朝日新聞朝日新聞社、2006年11月16日。オリジナルの2006年11月23日時点におけるアーカイブ。2025年12月2日閲覧。
  5. ^ 中国産ウナギ産地偽装事件で5人を起訴 神戸地検」『MSN産経ニュース』産業経済新聞社、2008年12月5日。オリジナルの2009年2月16日時点におけるアーカイブ。2025年12月16日閲覧。
  6. ^ 中国産ウナギの産地偽装事件で3社を書類送検」『MSN産経ニュース』産業経済新聞社、2008年12月11日。オリジナルの2009年1月11日時点におけるアーカイブ。2025年12月16日閲覧。
  7. ^ 日中韓ロ米加が海上訓練、不法入国・密輸防止が狙い」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年5月26日。オリジナルの2006年5月26日時点におけるアーカイブ。2025年12月2日閲覧。
  8. ^ 【主張】覚醒剤密輸 官民で海岸を警戒しよう」『MSN産経ニュース』産業経済新聞社、2009年2月10日。オリジナルの2009年2月11日時点におけるアーカイブ。2025年12月16日閲覧。
  9. ^ 柏原精一『図説・邪馬台国物産帳』(河出書房新社 1993年)p.12
  10. ^ 五味文彦『日本の中世』(財団法人放送大学教育振興会 第2刷1999年(1刷1998年))p.156
  11. ^ 五味文彦 『日本の中世』p.88
  12. ^ 水戸計『江戸の大誤解』(彩図社 2016年)p.142
  13. ^ 朝日新聞2023年4月27日(木曜)付。記事執筆・ワシントン=合田禄。
  14. ^ ロシアの「影の船団」関与、バルト海でまた海底ケーブル損傷…クック諸島船籍のタンカーを捜査”. 読売新聞オンライン (2024年12月27日). 2024年12月28日閲覧。
  15. ^ Hirtenstein, Joe Wallace, Costas Paris and Anna. “ロシア、原油輸出で頼る「影の船団」タンカー群”. WSJ Japan. 2024年12月28日閲覧。
  16. ^ Pigeon 'caught with backpack of drugs'” (英語). BBC News (2017年5月25日). 2024年9月23日閲覧。
  17. ^ マンドランhttps://kotobank.jp/word/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%B3  エラー: {{Cite Kotobank}}の使用で|access-date=が指定されていません。
  18. ^ Julius Ralph Ruff (4 October 2001). Violence in Early Modern Europe 1500–1800. Cambridge University Press (2001). ISBN 9780521598941. https://books.google.com/books?id=Q5SAfnqQ93sC&q=mandrin+%22robin+hood%22&pg=PA12 2012年1月27日閲覧。 
  19. ^ Daniel Roche (1998). France in the Enlightenment. Arthur Goldhammer (trans.). Harvard University Press (1998). ISBN 9780674317475. https://books.google.com/books?id=jGXRB4mf3AcC&q=mandrin+%22robin+hood%22&pg=PA351 2012年1月27日閲覧。 
  20. ^ 中国人の「象牙の女王」逮捕、706本密輸か タンザニア”. CNN.co.jp. 2024年9月23日閲覧。
  21. ^ 成田空港警備員覚せい剤密輸 暗証番号で無人通路利用」『東京新聞中日新聞東京本社、2002年11月27日。オリジナルの2002年12月1日時点におけるアーカイブ。2025年12月2日閲覧。
  22. ^ 合成麻薬6万錠を家具に隠し密輸…船便での過去最大量」『読売新聞読売新聞社、2004年9月24日。オリジナルの2004年9月26日時点におけるアーカイブ。2025年12月2日閲覧。
  23. ^ 南アから大麻草8キロ密輸 レソトの女を逮捕」『MSN産経ニュース』産業経済新聞社、2007年12月20日。オリジナルの2007年12月25日時点におけるアーカイブ。2025年12月16日閲覧。
  24. ^ 女子大生が拳銃密輸 タイから『自殺用に』」『東京新聞』中日新聞東京本社、2004年8月26日。オリジナルの2004年8月26日時点におけるアーカイブ。2025年12月2日閲覧。
  25. ^ 国を守った「伝説の戦闘機」が“チェコ製”って? メッサーシュミットそっくり珍機 イスラエルが重用したワケ - (2)”. 乗りものニュース (2023年12月18日). 2025年5月31日閲覧。
  26. ^ 旧1万円の偽札、ベトナムから輸入した疑い 男女2人を逮捕」『朝日新聞』朝日新聞社、2021年11月4日。オリジナルの2021年11月6日時点におけるアーカイブ。2025年12月16日閲覧。
  27. ^ 盗品不正輸出でベトナム航空副機長再逮捕 主犯格の女に逮捕状」『MSN産経ニュース』産業経済新聞社、2009年1月21日。オリジナルの2009年1月25日時点におけるアーカイブ。2025年12月16日閲覧。
  28. ^ ワンピース「魔改造フィギュア」で逮捕 不正販売容疑」『朝日新聞』朝日新聞社、2012年5月31日。オリジナルの2012年6月2日時点におけるアーカイブ。2025年12月16日閲覧。
  29. ^ Operation Atacama: The $1m cactus heist that led to a smuggler's downfall” (英語). www.bbc.com (2025年3月10日). 2025年4月14日閲覧。
  30. ^ Kaminski, Isabella (2025年3月10日). “A cacti-smuggling case with a prickly end: the novel way courts are making poachers pay” (英語). The Guardian. 2025年4月14日閲覧。
  31. ^ Ant smugglers caught with hundreds of prized insects in Kenya” (英語). www.bbc.com (2025年4月14日). 2025年4月15日閲覧。
  32. ^ リュックに隠しカメ12匹密輸未遂容疑 成田空港」『朝日新聞』朝日新聞社、2004年9月18日。オリジナルの2004年9月19日時点におけるアーカイブ。2025年12月2日閲覧。
  33. ^ 希少カメを密売容疑の輸入業者ら逮捕」『朝日新聞』朝日新聞社、2004年11月10日。オリジナルの2004年11月12日時点におけるアーカイブ。2025年12月2日閲覧。
  34. ^ 「ハイエース」は盗みやすい? 中東で需要」『MSN産経ニュース』産業経済新聞社、2007年11月30日。オリジナルの2007年12月2日時点におけるアーカイブ。2025年12月16日閲覧。
  35. ^ 北ミサイル開発 頭脳と物資、流出危機 発射半年前に科学者訪朝 (1/2ページ)」『MSN産経ニュース』産業経済新聞社、2009年5月19日。オリジナルの2009年5月22日時点におけるアーカイブ。2025年12月2日閲覧。
  36. ^ 北ミサイル開発 頭脳と物資、流出危機 発射半年前に科学者訪朝 (2/2ページ)」『MSN産経ニュース』産業経済新聞社、2009年5月19日。オリジナルの2009年5月21日時点におけるアーカイブ。2025年12月2日閲覧。
  37. ^ 毎日新聞』2009年6月9日 大阪朝刊 社会面24頁「不正輸出:北朝鮮に経済制裁品を輸出 ベンツやピアノ、容疑の社長再逮捕へ」(毎日新聞大阪本社
  38. ^ “出所不明の香港ウナギ6トン 日本輸入、養殖稚魚の8割 ワシントン条約で批判も”. 日本経済新聞. (2019年3月25日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4285615025032019CR0000/ 2019年3月26日閲覧。 
  39. ^ ウナギ稚魚「香港産」8割 漁実態なく 不法ルートで日本へ?」『東京新聞』中日新聞東京本社、2019年3月25日。オリジナルの2019年3月26日時点におけるアーカイブ。2019年3月26日閲覧。
  40. ^ 平成19年度観光白書 第3章 国際観光の振興”. 国土交通省. 2025年12月16日閲覧。
  41. ^ 共犯の疑いで台湾人逮捕 牛肉密輸出で北海道警」『MSN産経ニュース』産業経済新聞社、2008年12月15日。オリジナルの2009年2月10日時点におけるアーカイブ。2025年12月16日閲覧。
  42. ^ Web資料展示室「クイーンのひろば」 : 横浜税関 Yokohama Customs”. www.customs.go.jp. 2025年5月31日閲覧。
  43. ^ 日本放送協会. “アルプスが見える街Ⅲ ルガーノ/ スイス - 世界ふれあい街歩き”. 世界ふれあい街歩き - NHK. 2025年5月31日閲覧。
  44. ^ NDR. “Deutsches Zollmuseum Hamburg: Den Schmugglern auf der Spur” (ドイツ語). www.ndr.de(北ドイツ放送. 2025年5月31日閲覧。

関連項目


密輸入

出典:『Wiktionary』 (2021/08/20 23:57 UTC 版)

名詞

みつゆにゅう

  1. 犯してひそかに物品輸入すること。

動詞

活用

サ行変格活用
密輸入-する

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