奥日光とは? わかりやすく解説

おく‐にっこう〔‐ニツクワウ〕【奥日光】

読み方:おくにっこう

日光国立公園のうち、華厳滝(けごんのたき)より西の地域。中禅寺湖男体山(なんたいさん)・戦場ヶ原などがある。湯ノ湖から戦場ヶ原小田代原(おだしろがはら)にかけて広がる湿原水域は、平成17年2005ラムサール条約登録された。


奥日光

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/06 00:14 UTC 版)

戦場ヶ原に佇むホンシュウジカ
奥日光

奥日光(おくにっこう)は、栃木県日光市日光連山から金精峠付近にかけての秘境を指す俗称である。一般的には竜頭滝より上の日光連山の西麓から金精峠の東麓にかけた地域を指し、狭義にはこの地域の国有林地のうち「奥日光」の住所地を指す。また中禅寺湖畔を含める場合や、日光市に接する群馬県利根郡片品村の金精峠西麓を含めることもある。

概要

奥日光は、日光市街地の標高約600mに比してそれより600m以上高い地域で、夏でも冷涼で日光市街が梅雨空でも奥日光は晴れていることがあるなど、秘境として知られる。夏はオオジシギノビタキなどの繁殖地で、冬にはマガモヒドリガモキンクロハジロミコアイサなどの渡り鳥が訪れる。紅葉の名所でもあり[1]、人口は中宮祠と湯元を併せても900人程度[2]で、定住者は少ない。奈良時代に勝道上人が日光山を開いて以降、奥日光は日光山の社寺地であったが、明治以降、観光地として徐々に発展していった。現在の奥日光は日光市街地に比較し歓楽的色合いはほとんど無く、静寂な避暑地または温泉保養地となっている[3]

奥日光の温泉の源泉は日光湯元温泉にあり光徳温泉、中禅寺温泉など奥日光の温泉はこの源泉からの引き湯である。

なお、戦場ヶ原・赤沼〜小田代原〜千手ヶ浜間は、一般車輌の通行は制限されており、栃木県立日光自然博物館により低公害のハイブリッドバスが運行されている。

歴史

奥日光の歴史は、日光連山奈良時代後期あるいはそれ以前の古代から山岳信仰の対象となった頃に遡り、伝承によれば下野薬師寺の僧で鑑真和上の弟子如意僧都によって戒を受けて高僧となった勝道上人が修験道の霊場として日光に篭って日光山を開き、さらに奥地の秘境へと分け入って日光湯元温泉を発見して薬師瑠璃光如来を祀った(温泉寺)のが奥日光の起源とされている[4]

なお、「日光」は「二荒(男体)山」が由緒となる。すなわち、奈良時代後期に勝道上人によって開山され「二荒(ポタラク)山」として信仰を集め、平安時代に入り空海によって「二荒=にこう=日光」と改められて「日光」となった。伝説においても日光神橋は山菅蛇橋が由緒、また日光戦場ヶ原は日光神(大蛇)と赤城神(むかで)が雌雄を決して戦ったことに由来する。

令制国時代、奥日光は日光山の寺社地であった。

明治時代に入ると、夏季の奥日光の冷涼さが評価され、湘南地区と同じく外国人の保養地として中禅寺湖畔にはトーマス・グラバーの別荘など外国人別荘が建てられ、日本の夏季の一大社交場となって隆盛した。

戦時中には皇太子明仁親王が同級生とともに疎開してきている。

戦後、高規格の舗装道路が整備されると[5]、類稀な景勝地には国内観光客が訪れるようになり、外国人別荘はホテル公園として再生され、また観光牧場、温泉旅館などの観光施設、夏季の高層湿原を廻る遊歩道などが整備され、湯元には日光山輪王寺によって温泉寺の堂宇が建立された。

1951年(昭和26年)、勝道上人が発見したとされる日光湯元温泉の源泉が、12km下った中禅寺湖畔に立地する中禅寺温泉の各温泉施設に引き込まれ、温泉施設として人気を博することとなった。

1973年昭和48年)、日光湯元温泉は、現代の自動車社会の到来に伴う温泉ブームに乗って再建された。

1987年(昭和62年)、戦場ヶ原にほど近い光徳温泉の日光アストリアホテルが開業し、「日光湯元温泉」の源泉を引き込んで温泉施設の営業を始めた。

1989年平成元年)、JTBは雑誌「旅」1989年9月号の誌上において「奥日光」を日本の秘境100選のひとつとして栃木県から群馬県に亘る地域を選定した。

2005年(平成17年)11月8日、日本政府はウガンダカンパラで開催されたラムサール条約締約国会議を機に「奥日光の湿原」(湯ノ湖35.71ha、湯川5.3ha、戦場ヶ原174.68ha、小田代原44.72haの計260.41ha)をラムサール条約における野生の水鳥の生息地として特に国際的に重要な保護湿地として登録した[6][1]

気候

ケッペンの気候区分によると、奥日光は湿潤大陸性気候亜寒帯湿潤気候(Dfb)に属する。

平均気温は7.2℃である。平年値では猛暑日が0.0日、真夏日が0.1日、夏日が16.6日、真冬日が43.7日、冬日が147.3日となっている[7]。また、12月から3月にかけて日平均気温が氷点下となっている。

冬季は、近年でも-15℃以下の気温が観測され、2023年1月25日に-15.0℃を観測している。また、2023年1月25日に観測した日最高気温は-10.2℃である[8]

年平均降水量は2202.0mmである。また、年平均降雪量は227cmである。

年平均日照時間は1763.1時間である。

極値[9]

要素 観測値 観測年月日
日最高気温 30.8℃ 2018年8月5日
日最低気温 -18.7℃ 1984年3月15日
日光市中宮祠(奥日光 日光特別地域気象観測所、標高1292m)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 12.7
(54.9)
14.0
(57.2)
16.7
(62.1)
23.2
(73.8)
26.4
(79.5)
28.9
(84)
30.4
(86.7)
30.8
(87.4)
28.4
(83.1)
25.3
(77.5)
19.1
(66.4)
17.2
(63)
30.8
(87.4)
平均最高気温 °C°F −0.3
(31.5)
0.6
(33.1)
4.2
(39.6)
10.1
(50.2)
15.3
(59.5)
18.0
(64.4)
22.1
(71.8)
22.9
(73.2)
18.9
(66)
13.7
(56.7)
8.6
(47.5)
2.8
(37)
11.4
(52.5)
日平均気温 °C°F −3.9
(25)
−3.5
(25.7)
−0.3
(31.5)
5.1
(41.2)
10.3
(50.5)
14.0
(57.2)
18.2
(64.8)
18.8
(65.8)
15.2
(59.4)
9.6
(49.3)
4.4
(39.9)
−1.0
(30.2)
7.2
(45)
平均最低気温 °C°F −7.9
(17.8)
−7.8
(18)
−4.6
(23.7)
0.2
(32.4)
5.5
(41.9)
10.4
(50.7)
14.9
(58.8)
15.6
(60.1)
11.9
(53.4)
5.7
(42.3)
0.2
(32.4)
−4.9
(23.2)
3.3
(37.9)
最低気温記録 °C°F −16.5
(2.3)
−16.7
(1.9)
−18.7
(−1.7)
−11.0
(12.2)
−5.4
(22.3)
−0.4
(31.3)
3.7
(38.7)
6.0
(42.8)
−0.2
(31.6)
−3.9
(25)
−9.7
(14.5)
−14.7
(5.5)
−18.7
(−1.7)
降水量 mm (inch) 57.5
(2.264)
48.6
(1.913)
108.5
(4.272)
154.4
(6.079)
177.1
(6.972)
228.8
(9.008)
280.5
(11.043)
332.5
(13.091)
409.0
(16.102)
240.9
(9.484)
97.6
(3.843)
58.4
(2.299)
2,202
(86.693)
降雪量 cm (inch) 63
(24.8)
56
(22)
57
(22.4)
13
(5.1)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
0
(0)
3
(1.2)
33
(13)
227
(89.4)
平均降水日数 (≥0.5 mm) 8.2 8.5 11.1 12.4 13.0 16.3 18.1 17.7 16.2 12.8 7.6 7.9 149.8
平均降雪日数 24.7 21.2 20.8 8.4 1.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.8 8.3 21.1 108.1
湿度 66 65 67 69 75 87 88 89 88 83 73 69 76
平均月間日照時間 164.6 167.0 189.5 187.1 174.1 107.8 109.6 128.2 105.1 122.8 152.1 153.2 1,763.1
出典:気象庁(平均値:1991年 - 2020年、極値:1944年 - 現在)[10][11]


景勝地・観光地

奥日光三名瀑

ハイキングコース

  • 戦場ヶ原自然研究路コース(湯滝入口〜泉門池〜赤沼〜竜頭ノ滝)[12]
  • 小田代原探勝コース(赤沼〜石楠花橋〜小田代原〜泉門池〜光徳入口)[12]
  • 湯ノ湖一周コース(湖畔前〜湯滝上〜兎島湿原〜湯元温泉)[12]
  • 西ノ湖・千手ヶ浜・竜頭ノ滝探勝コース(西ノ湖入口〜千手ヶ浜〜赤岩〜竜頭ノ滝)[12]
  • 切込湖・刈込湖コース(湯元温泉〜切込湖・刈込湖〜涸沼〜光徳沼〜光徳入口)[12]
  • 中禅寺湖展望コース(明智平〜茶ノ木平〜半月山〜半月峠〜中禅寺温泉)[12]

熊の目撃情報

クマの目撃件数が全国的に増えている中で、奥日光をはじめ栃木県でもツキノワグマの目撃が増えている[13]

環境省の日光自然環境事務所は、奥日光を「クマの生息地そのもの」としており[13]、日光市でも市内全域がクマの生息地であるとしている[14]。クマに襲われないよう、細心の注意が必要であるとしており、小学6年生の修学旅行で戦場ヶ原などのハイキングコースを利用することも多いが、クマの目撃件数増加を受けて、コースを変更する学校も出てきている[13]

交通

アクセス

脚注

  1. ^ a b Oku-Nikko-shitsugen | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2005年11月8日). 2023年4月10日閲覧。
  2. ^ 平成14年度日光市住民基本台帳による。現日光市の人口の約0.1%程度
  3. ^ 奥日光湯元温泉旅館協同組合
  4. ^ 社団法人 日光観光協会オフィシャルサイト 湯元温泉
  5. ^ 一般国道120号線
  6. ^ 環境省 ラムサール条約 「奥日光の湿原」
  7. ^ 奥日光(日光)(平年値)
  8. ^ 奥日光(日光)(日ごとの値)
  9. ^ 気象庁(奥日光(日光)の観測史上1〜10位の値)
  10. ^ 平年値ダウンロード”. 気象庁. 2024年12月閲覧。 エラー: 閲覧日は年・月・日のすべてを記入してください。(説明
  11. ^ 観測史上1〜10位の値(年間を通じての値)”. 気象庁. 2024年12月閲覧。 エラー: 閲覧日は年・月・日のすべてを記入してください。(説明
  12. ^ a b c d e f 奥日光ハイキングガイドマップ 日光観光協会、2020年12月13日閲覧。
  13. ^ a b c 「栃木)ドングリ不作、増えるクマ目撃」(『朝日新聞デジタル』2014年10月4日)
  14. ^ クマの出没に注意しましょう! 日光市(2023年6月21日、2023年7月13日閲覧)

関連項目

外部リンク


座標: 北緯36度46分0秒 東経139度27分0秒 / 北緯36.76667度 東経139.45000度 / 36.76667; 139.45000




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