クロム中毒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/01/07 08:16 UTC 版)
| クロム中毒 | |
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| クロム | |
| 概要 | |
| 診療科 | 毒性学、皮膚科学、呼吸器外科学 |
| 症状 | 鼻中隔穿孔、肺癌、皮膚炎(クロム潰瘍)、潰瘍、腎障害、肝障害 |
| 継続期間 | 長期的な経過をたどることが多い |
| 原因 | 六価クロム化合物のばく露 |
| 診断法 | 血中・尿中クロム濃度測定、胸部X線、皮膚パッチテスト |
| 治療 | 除去、対症療法、皮膚の洗浄、キレート剤(限定的) |
| 分類および外部参照情報 | |
| ICD-10 | T56.2 |
| ICD-9-CM | 985.3 |
| DiseasesDB | 29193 |
| MeSH | D002859 |
クロム中毒(クロムちゅうどく、chromium poisoning)は、主に毒性の強い六価クロムの曝露によって引き起こされる健康障害である。重症化すると死に至ることもある[1][2]。
主な原因
- 職業性曝露
- 誤飲
症状
急性中毒
- 吸入
- 経口
- 皮膚接触
- 全身
慢性中毒
- 呼吸器
- 皮膚
- クロム潰瘍
- その他
- 肝障害
- 腎障害
- 造血障害
- 中枢神経障害
発症機序
六価クロムは、細胞膜にある陰イオンチャネル(硫酸イオンなどと共通の経路)を介して容易に細胞内に侵入する(三価クロムは細胞膜をほとんど通過できない)。
細胞内に取り込まれた六価クロムは、アスコルビン酸やグルタチオンなどの還元剤によって三価クロムへと還元される。この過程で以下の反応が起こり、生体に損傷を与える。
- 活性酸素種の生成
- DNAへの結合
- 酵素活性の阻害
- 生体内の重要な酵素のチオール基(-SH基)と結合し、その働きを失わせる。
診断
クロム中毒の診断は、主に曝露歴の確認と、以下の検査結果に基づいて行われる。
- 血液・尿中検査
- 血液中や尿中のクロム濃度を測定する。特に尿中クロム濃度は、最近の曝露状況を反映する指標として用いられる。
- 臨床症状の確認
- 鼻中隔穿孔の有無、皮膚の潰瘍、呼吸器症状などの身体的所見を確認する。
- レントゲン検査
- 慢性的な吸入ばく露が疑われる場合、胸部X線撮影により肺の状態を確認する。
治療
ばく露の遮断が最優先される。特効薬(拮抗剤)は確立されていないため、対症療法が中心となる。
- 除染
- 皮膚に付着した場合は、大量の流水と石鹸で十分に洗浄する。経口摂取の場合は、速やかに胃洗浄などの処置が検討される。
- 呼吸管理
- 吸入による急性中毒で呼吸困難がある場合は、酸素吸入などの呼吸管理を行う。
- 皮膚症状
- クロム潰瘍に対しては、軟膏による保護や二次感染の防止が行われる。
- キレート療法
- エデト酸カルシウム二ナトリウム(Ca-EDTA)などのキレート剤の投与が検討されることもあるが、その効果については限定的とされる。
その他
三価クロムの中毒は毒性が低いため、非常に稀である。
関連項目
脚注
- ^ “厚労省”. 2025年12月20日閲覧。
- ^ “三和メッキ工業株式会社”. 2025年12月20日閲覧。
クロム中毒と同じ種類の言葉
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