2014年3月、寒風が吹きこむパブの中庭で、志を同じくする者たちが“誓い”を立てた。ロンドン郊外のハマースミス地区。英国の入国管理事情を視察に来た日本の弁護士グループは、寒さに身をすぼめながらグラスを突き合わせた。
基本的人権を無視した日本の入管制度に、弁護士として真っ向から戦いを挑む―。凍てつく夜の熱い決意は「ハマースミスの誓い」と名付けられた。その場でつくられた誓約書にサインした10名の弁護士は、日本と大きく違う英国の入管行政に衝撃を受けていた。収容施設で、被収容者は自由に動き回っていた。ジムや図書室も完備され、インターネットの利用も可能だ。権限と独立性を持つ視察委員会が、施設の運営状況に問題がないか、厳しいチェックを繰り返してもいる。
「そこには日本の収容施設では目にすることのできない人権が生きていた」
“誓い”の音頭を取った児玉晃一弁護士はそう振り返る。日本の収容施設では、人権は施設の門前で立ち止まる。刑務所と見まがうばかりの閉鎖性、上限の定めがない無期限収容が特徴だ。だからこそこれまで、国連の恣意的拘禁作業部会をはじめ、さまざまな国際機関が日本の入管施設運営に懸念を寄せてきた。
今年3月、名古屋入管の収容施設に収容されていたスリランカ人女性ラスナヤケ・リヤナゲ・ウィシュマ・サンダマリさん(33)が亡くなった。面会を重ねた支援者によれば、彼女は年初から体調を崩し、誰の目にも衰弱は明らかだった。入管側に何度も外部の病院に移すよう求めたが、認められることはなかった。
ウィシュマさんの死亡後、実は病状が即入院すべきレベルで、一時...
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