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一富士(いちふじ)/伏見(名古屋市)

伏見駅から歩いてすぐの場所にある「一富士(いちふじ)」。大正十二年(1923年)創業の、1世紀を超える歴史を誇る老舗であり、鰻を中心に夏には長良川で獲れた鮎、冬には天然のとらふぐといった季節ごとの味覚を提供しています。
念のために予約をしてからディナータイムにお邪魔したのですが、1階ダイニングは半分の入り。やはり鰻は昼のイメージが強いのかもしれません。ちなみに2階には完全個室が完備されており、宴会が可能な大部屋から少人数用の部屋まで複数用意されているようです。
酒は安く、ビールがジョッキで600円、瓶で700円だったかな。ハイボールや日本酒の値付けも良心的で、気前よく飲み進めることができます。
「特上」の鰻メニューを追加すると「う巻」も付いてきます。ふっくらと焼き上げられた出汁巻き卵の中に鰻の蒲焼を巻き込まれており、卵の優しい甘さと鰻の濃厚な旨味がよく合う。単品でお代わりしたいくらいだ。
うざく。香ばしく焼き上げた鰻の蒲焼を細切りにし、シャキシャキとした食感のキュウリの酢の物と和えました。キュウリの瑞々しさと鰻の香ばしさのコントラストが楽しく、食欲をそそる前菜として最適です。
きもてり。鰻の肝タレで照り焼きにしており、独特のほろ苦さと濃厚なコクが特長的です。甘辛いタレがその苦味を和らげ、心地よい調和をもたらしています。日本酒との相性は格別だ。
鰻が焼きあがりました。私は6千円の「特上櫃まぶし」を注文。まず一膳目は、香ばしく焼き上げられた鰻とご飯をそのまま味わい、鰻本来の旨味とタレの風味を楽しみます。二膳目は、ネギやわさび、海苔といった薬味を加えることで、さっぱりとした異なる味わいに変化します。そして三膳目は、温かいお出汁をかけてお茶漬け風に。鰻の脂が出汁に溶け込み、まろやかで優しい味わいが口に広がります。
「肝吸い」も自動的に付帯します。透き通ったお出汁は鰹と昆布の旨味が丁寧に引き出されており、繊細ながらも深みのある風味が口の中に広がります。主役である鰻の肝は臭味がなく、肝が持つほろ苦さが、お出汁の上品な味わいに絶妙なアクセントを加え、全体の味を引き締めています。
鰻は関西風の地焼きであり、蒸しの工程を挟まずに強火の炭火で一気に焼き上げているため表面はカリっと、中はふっくら。鰻の脂の旨味を閉じ込めつつ、濃い目のしっかりしたタレで力強く仕上げています。
鰻を受け止めるご飯には新潟産コシヒカリを使用しているようです 。粘り、甘み、香りのバランスが取れており、濃厚なタレが染み込んでもその一粒一粒の輪郭を失わず、最高の状態で鰻の旨味を引き立てています。
連れは「特上うな重」を注文。5,800円です。いくらか交換こしましたが、櫃まぶしのように包丁でザクザクしていないので、より鰻の歯ごたえを楽しむことができました。山椒を少し加えると爽やかな香りをアクセントとするのもまたをかし。
デザートにスイカを頂きこちそうさまでした。少し前に訪れた「うな春(うなはる)」では着席後に「全商品一律5%増し」の怪文書が唐突に配布され、料理を味わう気分では無くなってしまいましたが、ああ、やっぱ鰻って美味しいじゃんと再認識できたディナーでした。
また、調理も調味も私好みであり、観光客は少ない地元民向けでそれほど高くなく、行列も無く、まさに穴場と評すべき鰻屋です。注文を受けてから調理に取り掛かるためか調理に時間は要しますが、出来立てを楽しむための儀式と理解した上で楽しみましょう。

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うな春(うなはる)/高岳(名古屋)

高岳駅から5分ほど歩いた場所にある「うな春(うなはる)」。時間が読めず予約をしたり並んだりできない場合に鰻料理専門店は便利な存在です。この日も急に思い立って予約ナシでお邪魔しましたが、快く受け入れて頂きました。
カウンターに6席にテーブル席が数卓と小上がりで、トータルでは20席強といったところ。カウンター席目の前が焼き台で炭火で焼き上げるライブ感が楽しく、食欲が増します。
なのですが、唐突に「6月から全商品一律5%増し」の怪文書が配布されました。うーん、軒先のメニューにはそんなこと一切書いて無くて、着席してからこの案内というのはどうなんでしょう。値上げするなら値上げするで黙って勝手に総額表示にメニュー更新しておけばいいのに。知らなくて良い情報をわざわざ伝えないで欲しいです。
気を取り直して「うざく」から。鰻の蒲焼きを細かくカットし、薄切りのキュウリと酢だれで和えた、夏にぴったりの爽やかな料理。脂の乗った鰻の甘みと濃いめタレのコクが酢の酸味と調和し、キュウリのみずみずしさで後味が軽やかです。
「う巻き」は香ばしく焼き上げた鰻を甘めの玉子で巻き巻きします。玉子はふんわり柔らかく、鰻よりも玉子の美味しさが際立つひと品。
肝吸い。鰻の肝を主役にした吸い物で、肝は新鮮で臭みなく、ほろ苦さと濃厚な旨味が特長的。澄んだ出汁は旨味が強く、ほのかな塩気と肝のコクが調和します。
私は「特上丼」を注文。肉厚な鰻を炭火で香ばしく焼き上げ、濃いめの甘辛タレで仕上げます。皮はパリッと香ばしく、身はふっくら柔らかで、脂の甘みが口に広がります。タレは名古屋らしい濃厚な味わいで、ゴハンに染み込み、鰻の旨味を引き立てる。ところで「全商品一律5%増し」ながらゴハンは大盛無料という謎サービス。まるで自民党の政策のようである。
お漬物は恐らく自家製で塩味は控えめ。シャキッとした食感とほのかな酸味が、濃厚な鰻のタレや脂の旨味をさっぱりと中和します。奈良漬けの濃厚で芳醇な味わいもすごくいい。
連れは「まぶし」すなわち「ひつまぶし」を注文。そのまま・薬味を加えて・出汁をかけてと定番の3パティーンの食べ方です。今から思えば「吉田屋 美濃錦 (よしだや みのきん)」のスタイルは錦糸卵などがのってかわっていたなあ。
以上を食べ、総額で1.4万円ほど。普通に美味しいし値段も悪くないのですが、なんせ「全商品一律5%増し」という不意打ちの印象が悪すぎました。5%と言えば700円程度なのですが、確実に我々を700円以上不快にさせている。あまり消費者の心理に興味が無いお店なのかもしれません。おつかれさまでした。

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鰻う おか冨士(うなう おかふじ)/伏見(名古屋)

名古屋の名店「うな富士」が飲食チェーンの「かぶらやグループ」に事業を譲渡し、日本全国における多店舗展開が一気に進みました。ここ伏見は御園座タワーに入居する「鰻う おか冨士(うなう おかふじ)」も新ブランド展開の一環であり、食べログでは百名店に選出されています。
ランチタイムは開店前から行列ができていますが、ディナータイムは行列は無く、フリーで訪れてスっと着席することができました。もちろんネットから予約を入れて訪れるのがオススメです。

店内は和風のファミレスといった雰囲気で、鰻屋さんとしてはかなりの大箱。妙に家族連れが多く、ますますファミレスと変わりません。「うなぎ藤田(ふじた)」のように会食での利用は厳しいでしょう。
着席すると、スっとキュウリとキャベツの松前漬け的な何かが出てきます。こちらはおかわりOKで、サラダの代わりにちょうど良い。
「うまき」は1,680円なのですが、信じがたい極小ポーションです。汁気がダブダブで見栄えも悪く、味も大したことがありません。感覚的には680円だったとしてもまだ高い。いきなり地雷を踏んでしまいました。
私は「肝入り 上 うなぎ丼(限定)」を注文。7,390円です。本家の「うな富士」でも確か似たような価格帯だったので、そのあたりは上手くやってくれているのかもしれません。
蛤のお吸い物。プリっと大粒の身を楽しむことができ素直に美味しい。しかしながら鰻屋のお椀が肝吸いでないのは違和感があります。
丼ものには「うざく」が付くとの案内があったのですが、これがまた「うまき」に勝るとも劣らない極小ポーションであり、これなら出さないほうが印象が良いというレベルです。
主題の「肝入り 上 うなぎ丼(限定)」。いわゆる名古屋の「地焼き」スタイルであり、外はパリッと香ばしく、中はふっくらとした仕上がりになっています。調味は見た目ほど強くなく、タレの甘さも控えめです。
「肝焼き」も美味しいは美味しのですが、「うな富士」で食べた時のような感動は得られません。私もすっかり懐古厨である。
一言で述べるとすれば「がっかり」です。インディーズのロックバンドがメジャーデビューした途端にカノンコードのつまらないバラードを歌わされている感覚に似ている。もちろん多店舗展開が果たされ予約も取りやすくなり、名古屋の鰻の民主化を推進した功績は認められるべきですが、「よこ田」で覚えた違和感に近いニュアンスがあるのも事実。過ぎ去りし時代の残響に魂を委ね、ノスタルジアの深淵に沈む己を見つけた夕食でした。

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吉田屋 美濃錦 (よしだや みのきん)/郡上八幡(岐阜)

郡上八幡で最初に鰻料理を提供した店として知られている「吉田屋 美濃錦 (よしだや みのきん)」。創業は1880年(明治13年)であり、岐阜県内として見ても屈指の老舗鰻料理専門店。ミシュランにも掲載された実績があり、食べログでも百名店に選出されています。
店内はテーブル席を中心にお座敷もあって、トータルでは50席ほどでしょうか。ランチタイムは行列必至なのですが、ディナータイムはガラガラ。当店に限らず、鰻とは昼の食べ物というイメージがあるのかもしれません。釣ってきた鮎を買い取ってもらうため、釣り師のオッチャンたちが裏口にチョイチョイ現れるのが面白い。
運転があるのでアルコールは楽しむことができないのですが、ドリンク注文ナシでも全く嫌な顔はされません。スレッズのドリンク注文無くて発狂している民にご案内したいくらいです。
私は「うなぎ長焼き上定食」を注文。5,250円です。鰻の蒲焼が1匹半に、ゴハンと肝吸い、お漬物にデザートが付きます。鰻は三河一色の養鰻場から仕入れたものを岐阜市の老舗川魚問屋「ヤマト」にて選別されて届けられているそう。その鰻を当店が堀った井戸水で掛け流しの状態で数日間鰻を生簀で飼育し泥抜きします。
主題の鰻は関西風の直火焼きを採用しており蒸しの工程は行いません 。そのため口当たりはバリバリで、まさに焼き魚。ムッチリとした弾力とザラリとした舌触りを楽しむことができ、鰻そのもののしっかりとした味わいを楽しむことができます。
肝吸い。出汁はあっさりめで、鰻の濃厚な味わいやタレのコクを引き立てるシンプルな仕上がりです。肝の美味しさはもちろんのこと、たっぷりの三つ葉が口直しに最適です。
白ごはん。鰻丼と異なりタレがかかっておらずプレーンバニラな味わいで、ふっくらとした食感とほのかな甘みが特長的。素朴な味わいですが、先のパンチのある鰻を受け止めるに最適な仕様です。
連れは「ひつまぶし」を注文。しかしながら当店のそれは変わっていて、錦糸卵や針ショウガなどもトッピングされており、見た目はちらし寿司のようです。
一膳目はそのまま、二膳目は薬味と共に、という定番のストーリですが、三膳目のお茶漬けは肝吸いのお椀からダイレクトに注ぐという斬新なスタイル。こうなってくると、名古屋スタイルの「ひつまぶし」とどちらが正統的なのか自信が無くなってきました。
鰻を一匹半も用いた「うなぎ長焼き上定食」が5千円強で、「ひつまぶし」も3千円かそこらと、ド観光地で楽しむ鰻料理としては随分と良心的な価格設定。冒頭記した通りシーズン中は鮎料理も楽しむことができるので、郡上八幡エリアの美食は当店で完結する仕組みです。宿も併設しているので、こうなったら泊まってしまった方が手っ取り早いかもしれません。

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