ラベル 飯田橋・神楽坂・四ツ谷 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 飯田橋・神楽坂・四ツ谷 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

scaglia (スカーリア)/神楽坂

私の推しのイタリアン「Il Lato(イル ラート)」が神楽坂に姉妹店「scaglia (スカーリア)」をオープン。店名はイタリア語で「鱗」を意味するそうで、イル ラートと同様に魚介類に強い気配を感じます。
店内はカウンターが6席にテーブルが20席ほど。イルラートに比べて席数が多く、カジュアル寄りな雰囲気です。

石川敦シェフは「アロマフレスカ(Ristorante Aroma-fresca)」などの名店で腕を磨いたのち、イルラート古井繁規シェフの薫陶を受け、当店の厨房を預かりました。
ワインリストは無くソムリエールと相談しながら決めていくスタイル。ボトルは1万円前後のものが多かったかな。確か彼女は昔「Il Lato(イル ラート)」に居たと記憶しており、その感じの良さは相変わらずです。
お口取りは干し鱈だったけな。魚の旨味にイクラの塩気が組み合わさり、泡がスイスイ進みます。
サンマ。程よく脂が乗っており、ナスの複雑な味わいに良く合います。見た目も可愛らしく、神楽坂史上、最もオシャレなサンマではなかろうか。
パンはベーシックなタイプであり、タコパンが来ないのが少し寂しい。
カツオはビーツのソースと合わせます。写真だと真っ赤っ赤で見え辛いですが、中にはお野菜やストラッチャテッラ(ブッラータの中のクリーム)も忍んでおり、見た目以上に重層的な味わいです。
クエは炭火でバリっと焼き、ムール貝のクラムチャウダー(?)と共に楽しみます。この魚料理は美味しいですねえ。リッチなソースと炭の香りが良く合い、幾重にも重なる風味を愉しみます。
パスタひと皿目はトロフィエ。小麦の風味がほんのり感じられ、モチモチとした食感が特長的。そこにコッテリとした鮑とバジルのソースが加わり、豊麗な味覚です。
続くパスタはタヤリン?タリオリーニ?卵の風味が豊かで滑らかな口当たり。具材にはホッキ貝を起用するなどありそうでない組み合わせであり、トロフィエと並んで本日のツートップな美味しさです。
肉料理は黒毛和牛のウチモモ。こちらも表面を炭火で焼いており、その香りが和牛の脂と肉の旨味を引き立て、食欲をそそります。添えられたレンコンにはスカモルツァがオンされており、全体としてスモーキーな風味を愉しむ逸品です。
デザートひと皿目はブドウ特集。ピオーネにシャインマスカットと季節の味わいです。
デザートふた皿目は焼き芋のスイーツ。このお皿は素晴らしいですねえ。可愛らしいプレゼンテーションながら焼き芋を強く感じ、何とも奥行きのある味覚です。薫香のするジェラートも見事な仕上がりです。
小菓子も手が込んでいて、当店はイタリアンにおけるスイーツ界隈でトップランカーに位置付けられるでしょう。ハーブティーと共にのんびり楽しみ、ごちそうさまでした。

以上を食べ、ひとり1本ペースで飲んでお会計は2.7万円ほど。魚介類の美味しさはもちろん全体として華やかなプレゼンテーションの料理が多く、ボーダーレス化が進んでいる印象。「Il Lato(イル ラート)」とはまた違った楽しみかたのあるお店です。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。

ラ マティエール (La Matiere)/神楽坂

神楽坂駅から歩いてすぐの「ラ マティエール (La Matiere)」。店名(フランス語で「素材」)の通り、素材に寄せた硬派でボリュームのある料理が好評を博し、ミシュランでは1ツ星を獲得しています。
店内は広く、20席近くあるでしょうか。ゆとりのあるテーブル配置であり、パリっとしたクロスが映えます。

池田辰之シェフは「コム・ダビチュード」や「ランブイエ」で経験を積んだのち、2006年に当店を開業。フランス料理店の多い神楽坂の中でも老舗の部類に入ります。
「本日のシャンパーニュ」がボトルで注文できるのが面白く、価格も1.2万円と悪くありません。酒類の値付けは全般的に控えめで、この手のレストランのワインリストとしては大変良心的と言えるでしょう。
お口取りはいずれも塩気と旨味が感じられ、シャンパーニュとあわせて食べるに最適です。
スペシャリテのタルタルサラダ。新鮮な魚介類が山ほど用いられており、ライスがあれば立派な海鮮丼になりそうです。野菜もたっぷりで調味も洒落ており、私はこういう料理が大好きだ。
続くサーモンもビッグサイズであり、焼鮭定食のそれよりも迫力があります。優しく熱を入れて甘味を増しており、真っ直ぐにわかりやすく美味しい。ひとつの濁りもない味わいです。
パンも穀物の風味が活きており、噛みしめるほどに複雑な味覚を楽しむことができます。奥のバターはこれで1人前であり、何とも気前の良いお店です。
アナゴのフリット。鮨屋なら何人前なんだと思わせる太っ腹なサイズ感。カラっと揚げて、ザクっとした食感。素材もいいし、味付けもいい。
シラカワ。皮目をパリパリに焼いているものの、身はふっくらとジューシー。大げさな調味はなく、素材の味わいそのものを楽しむ逸品です。
メインはマグレ鴨。これぞフランス料理といった曖昧さの無いひと皿であり、濃ゆいワインと共に艶っぽい味わい。やはり肉料理を食べると気分が引き締まりますな。
デザートはいくつかの選択肢があり、私はチョコレートムースにピスタチオのアイスをトッピングしたものを頂きました。ホカホカのチョコにアイスが少しづつ溶けていき、仲むつまじい美味しさです。
紅茶でフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上を食べ、手頃なワインをひとり1本ペースで飲んでお会計はひとりあたり2.4万円。上質な素材と上質な調理を楽しんでこの支払金額は大変お値打ち。料理はいずれも分かり易く美味しく、迷いのない味わい。とりわけ魚介類については目を瞠る完成度であり、さしずめ「Il Lato(イル ラート)」のフランス料理版といったところでしょう。オススメです。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。

Jfree(ジェフリー)/神楽坂

カンテサンス(Quintessence)」「フロリレージュ(Florilege)」「L'EAU(ロー)」「ヒロヤ(Hiroya)」など名だたるフランス料理店で経験を積み、日本料理店では料理長まで務めた陣内翼シェフの次なるステージは神楽坂「Jfree(ジェフリー)」。Gault & Millau 2024では「期待の若手シェフ賞」を受賞しています。
店内はカウンター7席に個室がひとつ(写真は食べログ公式ページより)。今風のカウンターフレンチで格好良いのですが、同業の先輩がオラつきに来ていたりと、価格帯の割にあまり客筋はよろしくないように感じました。まあまあ高級なレストランなのに、店内に響き渡る大声で演説するかのように話す人って何なんだろう。耳遠いのかな。
ペアリング推しのお店のようですが、内容を聞く限りパっとしなかったのでボトルで注文。いずれのワインも値付けが高く、水はもちろん有料です。こういう課金の積み重ね方式を含めて今風のレストランだなあとしみじみします。
アミューズはお麩をどないかしたものであり、中には自家製の味噌(?)がサンドされています。分かり易い味わいで直感的に美味。
シェフは宮崎県出身で、宮崎の食材を多用します。こちらも「日向トマト」という上等なトマトを用いており、そのキレイな酸味とアオリイカの甘味が上手く調和します。
グリーンアスパラガスに白海老。ほどよく炭の香りをきかせており、食欲を刺激する旨さです。
「妻地鶏」という宮崎の地鶏。いわゆる地鶏的な硬さはなく、しっとりと心地よい食感。スープは透き通っていつつもタフな味わいで、トップティアの焼鳥屋の料理に比肩する美味しさです。
このキンメダイは美味しいですねえ。皮目はフライパンで思い切り焼いており、アタックはバリっと身は滑らかとメラゾーマすぎる味わいです。「マルタマ真蓮根」という、生でも食べることのできる上質なレンコンも見逃せない美味しさ。本日一番のお皿です。
パンは自家製でしょうか。座布団のように大きなブツを切り分けてお出し頂けます。小麦の風味がしみじみ美味しい。
鮎は春巻きで。この時期はどこもかしこも塩焼き一辺倒で飽きてくるのですが、当店のように独自の作品として作り込んでくれるのはとても美味しい。内臓などを活かしたソースも素晴らしく、フランス料理の美点とも言えるひと皿です。
メインは宮崎牛。サシはクドくなく脂がバランスよく配置されており、奥ゆかしい甘味を感じる仕上がりです。付け合わせの万願寺唐辛子も忘れられない味わいです。
お口直しにパッションフルーツとそのアイス。太陽を感じるアッパー系の酸味と甘味が舌に心地よい。
続いてクレープサレ。いわゆる塩バター系のシンプルなクレープであり、この塩味と甘味のバランス感覚は料理人ならではのデザートと言えるでしょう。
八女茶のアイス。そのへんの観光客向けの抹茶アイスとはレベチの美味しさであり、ギリギリまでの温度を攻めたことに基づく滑らかな舌触りは唯一無二の美味しさです。
お茶菓子は宮崎県を代表する銘菓「チーズ饅頭」を当店流にアレンジ。チーズの風味が豊かであり。上質なチーズケーキを楽しんでいるかのようです。

以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり3.6万円。おや、思ったよりも高くつきました。運営会社の意向なのか、水やお茶などで細かく刻んで小金稼いだる感が強いので、その影響をモロに受けたのかもしれません。

シェフは料理人としてのセンスに溢れており人柄も良いので、東京の悪い大人たちにいいように使われてしまわないか、ちょっと心配になりました。帰郷して自腹でオーベルジュを開業してくれたりなんかすると心から応援するのだけれど。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。

TXOKO(チョコ)/江戸川橋

江戸川橋駅から歩いて10分ほどの場所にある「TXOKO(チョコ)」。イタリアンとスパニッシュのテイストを散りばめたレストランで、店名はたぶんバスクの美食倶楽部的秘密結社のコンセプトをそう呼ぶのだった気がする。
店内はカウンター4席にテーブルが1卓の小さなお店(写真はテーブルチェック公式ページより)。関口晴朗シェフは「リストランテ・ヒロ 青山」やサンセバスチャンの「ムガリッツ(Mugaritz)」で腕を磨いた後に、2018年に独立。
ワインはイタリア主体で1万円を切るボトルが多く、この手のレストランとしてはお値段控えめに感じました。サービスの方は感じが良いのですが、だからこそなのか手待ち時間にずっとシェフとくっちゃべっており、店として弛緩した印象を受けるので良くない。居酒屋などであれば私もうるさいことは言いませんが、当店は客単価3万円を超える店である。
お料理は素晴らしい。アナゴをガガっと揚げ、様々なタイプのトマトを組み合わせて仕上げます。ひと皿目から場外ホームランとも言うべきサイズ感であり、何を食べているのかがハッキリと理解できる直線的な料理です。
タマネギのスープにウニを大量投下します。とにかくオレンジ色が目を惹きますが、タマネギの深い甘味もそれに負けないくらい強く、思いのほかバランスが良く説得力のある味わいです。
パンはチャバッタとフォカッチャ。前者はモチモチした食感が特長的で、後者はジュワっとした口当たりが心に残りました。
極太のホワイトアスパラガス。毛ガニを山ほど盛りつけてキャビアをトッピングするという要塞に近い代物なのですが、先のウニタマネギと同様に不思議とバランスが良く、これがベストといった具合に調和しています。
水牛のモッツァレッラチーズにリコッタチーズ、生ハム。料理というよりも素材に近いひと品ですが、均衡が取れており率直に美味しい。
お魚料理はイサキ。身がとにかく厚く目で見た瞬間に美味しい。お魚の美味しさはもちろんのこと、大ぶりのハマグリや香り高いナスなど、和のニュアンスを感じさせる最高峰の美味しさです。センスいいなあ。
パスタはタリオリーニ。ヤングコーンの甘味を活かしたひと品であり、サマートリュフの香りで全体を意識付けします。間違いなく美味しいのですが、これまでのスーパースター料理の数々に比べるとインパクトに乏しく、陰に隠れてしまった気がします。
メインは牛ロース肉の2種の食べ比べ。非常に細かいサシが入っており、見た目以上にジューシーで脂の甘味を感じる肉料理です。
お口直しにイチゴのソルベ(?)。滑らかな口当たりながらイチゴの風味が強烈で、イチゴよりもイチゴの味がするかもしれません。
〆はチーズケーキ。クリームチーズと生クリーム主体のシンプルな構成ですが、シンプルに美味しい。ちなみにこの場で食べ切れない方は持ち帰りもOKです。
ハーブティーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。

以上のコース料理が1.8万円で、そこそこ飲んで税サを含めてお会計はひとりあたり3.3万円とリーズナブル。お料理ひとつひとつのポーションがしっかりあって、いま何を食べているのかがハッキリと分かるのがとても良いですね。少量多皿で何食ってるのかわからんくなる「ムガリッツ(Mugaritz)」とは真逆の芸風なのが面白い。個人的には魚介系の料理に心を惹かれたので、次回は脂の乗った冬季にお邪魔したいと思います。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。