豊田織機の非公開化「TOB価格の透明性確保を」 アジア投資家団体

アジア企業統治協会(ACGA)は16日、株式非公開化を表明した豊田自動織機などに送った書簡を公開した。TOB(株式公開買い付け)の買い付け価格決定に至る株式価値の評価プロセスなどについて追加で情報を開示して透明性を確保し、少数株主が抱く懸念を払拭するよう求めた。
豊田織機の非公開化計画は、トヨタ不動産やトヨタ自動車が出資する持ち株会社を通じて豊田織機を買収するもの。TOBの買い付け価格は1株1万6300円で実施は2026年2月以降を予定している。
書簡は豊田織機とトヨタの取締役会宛てに8月に送付した。豊田織機の非公開化を含む一連のスキームがトヨタグループ内の株式持ち合い解消につながる点を評価する一方、情報開示が不足していることを問題視。「今後の情勢次第で日本の企業統治改革の進展を強化することにも、逆に後退させることにもなり得る」との見解を示した。
書簡では豊田織機の取締役会に対し、株式価値評価に使われたディスカウント・キャッシュフロー(DCF)法の詳細などを開示することを要請した。支配株主を除く一般株主の過半の応募をTOBの成立条件とする「マジョリティー・オブ・マイノリティー(MoM)」で、デンソーやアイシンなどを少数株主とみなす理由の説明も求めた。
あわせてトヨタの取締役会に対しては、一連の取引を通じたグループ統合で期待されるシナジー(相乗効果)を定量的に示すことや、トヨタの資本効率にどのように寄与するかなどについての説明も求めた。
ACGAの書簡には三井住友DSアセットマネジメントなど27のACGA会員企業に加え、非会員の複数の投資家が署名した。ACGAによると、当初は8月中の書簡公表を予定していた。トヨタ不動産、トヨタ自動車、豊田織機が少数株主との直接対話に応じたことなどから、いったん公表を見合わせていたという。
トヨタは日本経済新聞の取材に対し、ACGAとは複数回にわたり対話しており、丁寧に説明しているとした。そのうえで「本件取引に関する独立した会社間の交渉は、公正かつ独立性を確保したプロセスを経て誠実に実施されており、それぞれの少数株主の利益にも十分配慮されている」とコメントした。
ACGAはアジア市場のコーポレートガバナンス向上を目的に活動する非営利団体。機関投資家を中心に102の会員企業が参加し、運用資産残高の合計は40兆ドル(約6000兆円)を超える。規制当局や企業に提言活動を実施している。












