米国の就業者7月7.3万人増、市場予想下回る 5〜6月大幅に下方修正

【ワシントン=高見浩輔】米労働省が1日発表した7月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月から7万3000人増えた。市場予想を下回ったほか、5〜6月の伸びが大幅に下方修正された。雇用の勢いが弱まり、金融市場では米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が強まっている。
市場予想は10万〜11万人の増加だった。5月の伸びは14万4000人から1万9000人に、6月は14万7000人から1万4000人に下方修正された。直近3カ月の平均では月3.5万人増で新型コロナウイルス禍後の最低水準だ。
増加分の多くは医療分野に偏っており、製造業は3カ月連続でマイナスとなった。失業率は市場予想通り4.2%だった。6月の4.1%から上昇した。

直後の金融市場ではFRBが9月の次回会合で利下げに追い込まれるとの見方が強まり、金融政策の動向を示す2年債利回りが急低下(債券価格は上昇)した。外国為替市場では一時1ドル=147円台半ばまで3円超、円高・ドル安に動いた。
トランプ米大統領は統計を受け、自身のSNSに「『遅すぎる』パウエルは災害だ。金利を下げろ!」と投稿し、FRB議長に利下げを迫った。
足元では企業の求人意欲と職探しをする人が同時に減少している。全体として雇用は増えにくくなっているが、需給がバランスして失業率が大きく上昇する状況には至っていない。

米求人サイト「インディード」の求人広告は7月中旬に4年5カ月ぶりの水準まで減った。トランプ米大統領は連邦政府による新規雇用の凍結を10月まで再延長した。
職探しは難しくなっている。米コンファレンス・ボードの消費者信頼感調査で「雇用が豊富にある」と回答した割合は2022年3月に57%だったのが、25年7月は30%まで低下した。

一方、働き手の数は移民政策の厳格化によって抑制されている。外国生まれの労働力人口は3月の3371万人から、6月は3257万人に減った。全米で不法移民の摘発が相次ぎ、職探しを一時的に諦める人も増えているもようだ。
コロナ禍で深刻な人手不足を経験した米企業は、まだレイオフ(一時解雇)を本格的に増やしていない。求職、採用、解雇といった雇用に関わる活動が全般的に低調となっている。
FRBのパウエル議長は7月30日の記者会見で、足元の雇用状況については堅調だとしつつ「需要と供給の両方の減少により均衡が保たれつつあるという事実は下振れリスクを示唆する」と強調していた。雇用情勢の悪化観測が強まり、早期の利下げを迫る圧力は強まる。
【関連記事】
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
この投稿は現在非表示に設定されています
(更新)













