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【活性酸素④】抗酸化物質はなぜ効く?活性酸素を無害化する「電子の身代わり」メカニズムを徹底解説

抗酸化物質はなぜ効く?活性酸素を無害化する「電子の身代わり」メカニズム

活性酸素は「電子ドロボー」

これまでの記事で、活性酸素が「体のサビ」の原因だとお伝えしてきました。では、なぜ活性酸素はそれほどまでに有害なのでしょうか?

それは、多くの活性酸素「ラジカル」という、非常に不安定で攻撃的な状態にあるからです。

物質の安定には「電子」がペア(対)になっている必要があります。しかし、ラジカルはペアのいない電子(不対電子)を持っており、いわば「電子が足りなくてイライラしている状態」です。

この不安定なラジカルは、安定するために、周囲にある正常な分子(細胞膜の脂質、タンパク質、さらには体の設計図であるDNA)から、無理やり電子を奪い取ろうとします。

電子を奪われた分子もまた不安定なラジカルとなり、別の分子を攻撃し始めます。この「電子ドロボー」の連鎖が「酸化ストレス」であり、細胞を傷つけ、老化や病気の原因となるのです。

<主な活性酸素(荒くれ者たち)>

抗酸化物質は「身代わりヒーロー」

この危険な「電子ドロボー(活性酸素)」から体を守るのが、「抗酸化物質」です。

抗酸化物質のメカニズムは、一言で言えば自ら電子を差し出す身代わりになることです。

電子ドロボーが正常な細胞を攻撃する前に、抗酸化物質が「どうぞ、私の電子を使ってください」と、自らの電子を差し出します。電子を受け取った活性酸素は満足して安定し、攻撃性のない無害な物質(水など)に変わります。

例:最強の敵「ヒドロキシルラジカル(•OH)」の場合

ヒドロキシルラジカルは、活性酸素の中で最も攻撃力が高く、DNAなども瞬時に傷つける猛毒です。抗酸化物質は、この最強の敵に「水素原子(電子を含む)」を与えて、無害な「水(H₂O)」に変えてしまいます。

(イメージ: 危険な•OH + 抗酸化物質 → 安全な H₂O + 仕事後の抗酸化物質

また、抗酸化物質の中には、ヒドロキシルラジカルが発生する原因(体内の鉄イオンと過酸化水素の反応)を邪魔して、そもそも発生させないようにする働きを持つものもあります。


電子を失った抗酸化物質はどうなる?

「では、電子をあげてしまった抗酸化物質は、新たな電子ドロボーになって危ないのでは?」と疑問に思うかもしれません。

大丈夫です。そこには2つの重要な仕組みがあります。

1. 攻撃性が低い

電子を失った抗酸化物質(抗酸化ラジカル)も不安定にはなりますが、元の活性酸素に比べて反応性が非常に低く、おとなしい性質をしています。そのため、他の細胞を傷つけることはほとんどありません。

2. 「抗酸化ネットワーク」で再生される

さらに素晴らしいことに、抗酸化物質はチームで働いています。これを「抗酸化ネットワーク」と呼びます。

例えば、細胞膜(脂質)を守るために電子を失ったビタミンEは、ビタミンCから電子をもらって復活(再生)します。そのビタミンCもまた、体内の別の物質によって再生されます。

このように、仲間同士で電子をパスし合い、チーム全体でリサイクルしながら体を守っているのです。


体を守る抗酸化チームの仲間たち

私たちの体には、大きく分けて2種類の抗酸化物質があります。

体内で作られる「抗酸化酵素

もともと体に備わっている防御システムです。

  • SOD (スーパーオキシドディスムターゼ):スーパーオキシドを分解。
  • カタラーゼ/グルタチオンペルオキシダーゼ過酸化水素を水に分解。

食事から摂る「抗酸化物質」

体内の酵素だけでは間に合わない分を、外から補給します。

  • ビタミンC(水溶性):血液や細胞質で活躍。ビタミンEの再生も担う司令塔。
  • ビタミンE(脂溶性:細胞膜(脂質)で活躍するバリア役。
  • ポリフェノール(緑茶のカテキン、ブルーベリーのアントシアニンなど):植物由来の強力な助っ人。
  • カロテノイド(トマトのリコピン、人参のβ-カロテンなど):主に一重項酸素に強い。

まとめ

抗酸化物質は、自らの電子を「身代わり」として活性酸素に差し出すことで、活性酸素を無害化します。そして、仲間同士で助け合い(再生し合い)ながら、細胞の酸化(サビ)を防ぎ、私たちの健康を守ってくれているのです。

今日の一句

抗酸化 活性酸素を 無害化す
ストレス多き 人の守り手