被曝防護は安全神話のままだ! 事故の許容を迫る再稼働の前に,知っておくべき現実と教訓.
- ジャンル
-
書籍
> 岩波科学ライブラリー > 人物・社会
書籍 > 自然科学書 > 岩波科学ライブラリー
日本十進分類 > 社会科学 > 社会
- シリーズ
-
岩波科学ライブラリー
- 通し番号
- 239
- 刊行日
- 2015/06/12
- 体裁
- B6・136頁
- ISBN
- 9784000296397
- Cコード
- 0336
- 在庫
- 品切れ
■著者からのメッセージ
2011年3月11日,東京電力福島第一原子力発電所の事故によって「過酷事故は起きない」,「5重の防護」といった旧来の安全神話は完全に崩壊しました.当然のことながら,その安全神話にもとづいた事故対策や住民防護はまったく機能しませんでした(1章参照).しかしながら今回の事故では,事故後わずか数日で基準値のほうを引き上げ,「問題はなかった」とする新たな安全神話が発明されました(2章参照).本来,安全の根拠として社会や政策を支えていたはずの科学は放棄され,行政によって選任された「専門家」が見かけだけの「安心」を会議室で創作するようになりました(3章,4章参照).こうした,100 mSv,基準値,検出下限値,そして県境といった「安心のしきい値」は,マスコミや一部の学者を通じて広く社会に流布され続けています.それは原発や放射能の危険性を覆い隠すとともに,原発被害と再稼働を受忍させる土台となり,新たな安全神話にもとづいた原子力災害対策指針がとりまとめられようとしています(5章参照).
東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故による被害を受けたすべての保護者と子どもたちは事故後4年近くも放置され,無用な被ばくを強いられてきました.自主避難者は理不尽で謂れない経済的・精神的負担を被り続けています.放射線とその身体への影響をわずかとはいえ知る大人の1人として,事故後4年が経過した今だからこそ,真に冷静で科学的な判断が歯止めとなり,被災住民と子どもの被害の救済に役立つことを願ってやみません.
はじめに――なされなかったこと,なされるべきこと
第1章 見捨てられた初期被ばく
限られた直接測定/機能しなかった環境測定/1桁もゆるめられた身体除染基準/「液状化」した住民防護
第2章 変質したスクリーニング――科学の消失から「安心」へ
WHOによる安定ヨウ素剤服用ガイドラインでは/公開された聴取録/混乱のなかでゆるめられた基準値/「安心の拠り所」への変質
第3章 スクリーニング基準値の意味
10万人の体表面スクリーニング検査/基準値1万3000cpmが意味する水準/子どもの甲状腺防護の危機
第4章 矮小化される被ばく被害
体表面スクリーニング検査を受けた集団の甲状腺被ばく量/東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議/1080人の子どもの甲状腺スクリーニング検査/検討を避けた専門家会議と過小評価
第5章 神話のままの被ばく防護
事故の現実から乖離したままの原子力災害対策指針/汚染の現実と防護の方法/「安心のしきい値」/新たな安全神話
補論 沈着速度の考え方――土壌汚染から被ばく量を推定するために
コラム study2007と被ばく
参考文献






















