先日ビルボードジャパンが年間ソングチャートを発表しましたが、ソングチャート、そして2025年度はアルバムチャートにおいても、ストリーミングの比重は高い状態です。
【ビルボード 2025年 年間総合ソング・チャート“Hot 100”】
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年12月4日
1位 Mrs. GREEN APPLE
2位 Mrs. GREEN APPLE
3位 ロゼ & ブルーノ・マーズ
4位 米津玄師
5位 Mrs. GREEN APPLE
6位 HANA
7位 サカナクション
8位 Mrs. GREEN APPLE
9位 Mrs. GREEN APPLE
10位 米津玄師 pic.twitter.com/d97feDHCsK
【ビルボード 2025年 年間ストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”】
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年12月4日
1位 Mrs. GREEN APPLE
2位 Mrs. GREEN APPLE
3位 Mrs. GREEN APPLE
4位 Mrs. GREEN APPLE
5位 Mrs. GREEN APPLE
6位 ロゼ & ブルーノ・マーズ
7位 Mrs. GREEN APPLE
8位 Mrs. GREEN APPLE
9位 HANA
10位 Mrs. GREEN… pic.twitter.com/fAx1oAdRKC
2025年度下半期初週には総合チャートで一定週数以上ランクインする曲やアルバムに対し、Streaming SongsチャートやStreaming Albumsチャート(後者は未公開)のストリーミング指標化時に減算処理を行うリカレントルールを採用。下半期初週にそのリカレントルールが適用されながらも年間首位を獲得したMrs. GREEN APPLE「ライラック」の強さは、やはり納得できるものです。この曲については先日も紹介しています。
サブスクに強い曲がロングヒットし年間単位でも上位に進出するようになった一方、フィジカルセールス指標が突出した曲は週間でも最上位への進出が難しくなっていることが下記表から確認できます。そしてそれらの曲は上位進出の翌週に急落し、年間単位では100位以内にほぼ登場しません。さらに、フィジカルに強い歌手の中にはデジタル未解禁等の措置を続ける方もみられますが、非常に勿体無いというのが私見です。
<ビルボードジャパンソングチャート 2025年度週間1~5位ランクイン曲一覧>
デジタルを解禁しない理由は何でしょう。
フィジカルセールスが駆逐されると考えるならば仮にそうだとしても、むしろ廃盤の概念がないためにいつ何時でもフックアップされる可能性が生まれます。フィジカルは購入場所が限定されますが、デジタルはスマートフォンがあれば購入や接触が手軽に行えます。
利益面を心配する声もみられますが、今の時代はフィジカルとしてリリースされる作品自体、特にシングルでは多くありません。そしてデジタルがヒットすれば、それも世界規模でのヒットとなれば数十億のユーザーにリーチできる可能性があります。1回再生の利益が小さすぎるという声は理解できますが、それを疑問視する方でデジタルプラットフォームやレコード会社側に掛け合っている方はどれだけいらっしゃるでしょう。
また音楽チャートでの上位を目指すわけではないという声に対しては、今は社会的ヒット曲がきちんと上位で安定するようになり、音楽チャートは社会的ヒットの鑑と成っています。デジタル作品がすべてヒットするわけではありませんが、フィジカルセールスのみのランキングを対象に"勝てるところでだけ勝てればいい"と考えているならば、その視野をドメスティックからグローバルに、短期から中長期に拡げることが必要です。
そのような問いかけの下、今回のエントリーを記します。
今回のエントリーは2024年度に続くものです。
2025年度のビルボードジャパン年間チャート、記事および各種データはこちら。
掲載するCHART insightについては下記をご参照ください。基本的に、2025年12月24日公開分までの最大60週分を表示しています。
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)
[表示範囲について]
総合順位、および構成指標等において100位まで表示
(今回紹介するCHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。)
[チャート構成比について]
累計における指標毎のポイント構成
さて、この数年でサブスク未解禁を貫く歌手は減少したといえます。デジタルニーズの拡大やそれに伴うデジタルへのシフト(およびそのシフトやデジタル解禁自体に対する抵抗感の減少)、さらにはデジタルヒットをよりはっきりと可視化するビルボードジャパンの浸透も背景にあると考えられます。ビルボードジャパンがアルバムチャートにストリーミング指標を採り入れたことも、大きな要因ではないでしょうか。
ゆえに今回は、サブスクは解禁したもののフィジカル先行/デジタル後発という姿勢を採った歌手の作品も採り上げます。また最後の項目では、サブスク解禁したもののミュージックビデオが短尺版でのみ公開という事例を挙げています。そしてそれらを踏まえ、タイトルを昨年から一部変更しています。
<2025年度版 サブスクに消極的ゆえ、より大きなヒットに至れなかったと考える曲>
① Snow Man「カリスマックス」、timelesz「Steal The Show」

年末の地上波長時間音楽特番におけるパフォーマンスが話題となりトップ10内返り咲きを達成、また2025年度のビルボードジャパン年間ソングチャートでは100位以内にランクインを果たしたSnow Man「カリスマックス」をこのエントリーで採り上げることに対し、ともすれば異論が出てくるかもしれません。一方でこの曲を収録したアルバム『音故知新』は登場から7週経った現在もデジタル解禁されていません。

ストリーミングに強いアルバムはアルバムチャート初登場時の増強につながるのみならず、収録曲がソングチャートを席巻します。直近ではRADWIMPSのトリビュートアルバム『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』で証明されており(下記エントリー参照)、Snow Man『音故知新』がデジタルを解禁していれば、「カリスマックス」は年間チャートでのさらなる上位進出、そしてより早い段階でのトップ10復帰も有り得たでしょう。
『Dear Jubilee -RADWIMPS TRIBUTE-』について紹介したエントリーのうち、後者ではtimelesz「Steal The Show」も採り上げました。STARTO ENTERTAINMENTはミュージックビデオを音源リリース前に解禁することが多いものの、この曲は現時点でもデジタル未解禁。また動画が短尺版であることも動画再生指標の上位キープを難しくした要因とみられます。トリビュートアルバムが公式オーディオも用意したのとは逆の動きです。

Snow Manは『THE BEST 2020 - 2025』がデジタル後発ながらチャートで安定、またtimeleszはSexy Zone時代を含む代表曲を集めたコンピレーションアルバム『Hello! We're timelesz』がデジタルのみでのリリースながらヒットし、共に年間アルバムチャートでトップ10入りしています。ライト層、また後者はオーディション視聴者の支持も得たことが大きく、この結果を積極的なデジタル解禁につなげてほしいと願います。
【ビルボード 2025年 年間アルバム・セールス・チャート“Top Albums Sales”】
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年12月4日
1位 Snow Man
2位 Snow Man
3位 Mrs. GREEN APPLE
4位 Stray Kids
5位 &TEAM
6位 timelesz
7位 SEVENTEEN
8位 &TEAM
9位 SixTONES
10位 INI pic.twitter.com/3BP9Z1D98f


② Aぇ! group

Aぇ! groupは初週10万枚以上のフィジカルセールスが見込めるSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手の中でデジタルを一切解禁していない唯一の歌手。今年のフィジカルシングルは「Chameleon」のみですが、初週セールスは前作「Gotta Be」を7万枚以上上回っており、アーティストパワーの高さが継続しているといえます。デジタルを解禁すればチャートアクションが好くなったと考えるのは自然なことでしょう。

今秋メンバーが脱退していますが、そのアナウンス等のタイミングにて「Chameleon」のフィジカルセールスが伸びています。これは過去2作のシングルやアルバムも同様であり、ソング/アルバムチャートを合算したトップアーティストチャートでもその点が可視化されています。応援する方の多さもここから垣間見られますが、デジタルを解禁していればその思いがチャートにもより大きく反映されたと考えます。
③ KAT-TUN
KAT-TUNは11月8日に解散公演を実施しています。実は彼らの作品はSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手の中で比較的早く解禁されたものの、4名時代以前の作品は現在も未解禁のままです。

(上記CHART insightにおける最終ランクイン週は11月26日公開分となります。)
トップアーティストチャートでは構成指標のうち11月19日公開分(11月10日からを集計期間とする週)でラジオが、翌週にはフィジカルセールスが300位以内に入り加点されていますが、ストリーミング指標は300位以内に入っていません。KAT-TUNといえばデビュー曲の「Real Face」をまずはじめに思い出す方は少なくないだろうと考えるに、やはり同曲をはじめとするキャリア全体の解禁は必須だったと考えます。
グループのみならず、(以前所属していた方も含め)メンバーが話題に上がったタイミングにて過去曲に注目が集まります。これはネガティブな出来事であっても同様です。ネガティブな出来事は起こらないでほしいものの、起きてしまった場合に過去曲への注目が高まることは自然かもしれません。しかしながらその流れで楽曲聴取を行う方がその対象を咎めることはほぼないのではないでしょうか。
④ 男闘呼組、SMAP、TOKIO等
男闘呼組のメンバーは全員がRockon Social Clubに所属。しかし男闘呼組の音源はフィジカルでしか手に入らず、さらにはフィジカル再発もないため、男闘呼組として活動を再開した時期に中古価格が高騰したと記憶しています。
そのRockon Social Clubが今年『SONGS』(NHK総合)にて男闘呼組時代の楽曲を披露、また今年の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 以下"紅白"と表記)では(男闘呼組の曲は披露しないものの)堺正章さんと共演します。メディア露出が多ければ音源を聴きたくなる方は増えるはずであり、デジタル未解禁という状況はやはり機会損失と言わざるを得ません。
さて先程は、『(以前所属していた方も含め)メンバーが話題に上がったタイミングで過去曲に注目が集まります』と記しました。直近ではSMAPやTOKIOのメンバーによる問題が発覚していますが、だからといって彼らの楽曲がメディアでの使用を控えられるというケースはあまりみられなかった印象です。数年前までは問題を起こした歌手のフィジカル販売中止やデジタル引き上げが行われており、状況は変わったと感じています。
問題を起こしたとしても作品自体に罪はないという考え方の浸透等を踏まえれば、やはりデジタルは解禁すべきです(聴取の判断は受け手に委ねるべきだというのがその理由)。STARTO ENTERTAINMENTにかつて所属した歌手としてはじめてV6がデジタル解禁に至った際、一部から挙がっていた"問題を起こしていないグループだけがデジタル解禁可能"という無礼な見方を払拭するという意味でも、デジタル解禁は必要でしょう。
⑤ LiKE LEGEND「YOU ARE SPECiAL」
映画が公開、さらには連続ドラマとしても放送された『君がトクベツ』に登場する、国民的アイドルグループがLiKE LEGEND。なにわ男子の大橋和也さん、FANTASTICS from EXILE TRIBEの木村慧人さん、M!LKの山中柔太朗さん、DXTEENの大久保波留さんそしてMAZZELのNAOYAさんがメンバーを演じたこの作品にて用意されたオリジナル曲が「YOU ARE SPECiAL」です。
一方で上記動画は配給会社のギャガによる公式YouTubeチャンネルで公開されており、ビルボードジャパンソングチャートにおいて動画再生指標のカウント対象となるISRC(国際標準レコーディングコード)が付番できないものと思われます。そして何より、現時点でも「YOU ARE SPECiAL」の音源はリリースされていません。
『君がトクベツ』が長期間メディア展開されたこと、また最近ではM!LKがブレイクしMAZZELも露出を高めているゆえ尚の事、LiKE LEGENDへの注目も集まり、「YOU ARE SPECiAL」のニーズも高く推移したかもしれません。この曲が未解禁を続ける理由は様々推測可能ですが、どんな理由であったとしても機会損失ではないかという思いは変わりません。
⑥ Juice=Juice「盛れ!ミ・アモーレ」

Juice=Juice「盛れ!ミ・アモーレ」については後に配信されましたが、オリジナルバージョンはありませんでした。
「盛れ!ミ・アモーレ」のライブver.と“THE FIRST TAKE”出演時の音源を
— Juice=Juice (@JuiceJuice_uf) 2025年12月22日
12月23日(火)よりダウンロード&ストリーミングで配信する事が決定しました💃#juicejuice #盛れミアモーレ
詳細はこちら👇https://t.co/a6mbpBTBtE pic.twitter.com/hdteIUTzew
ハロー!プロジェクトについては、現在活動中、且つシングルの初週フィジカルセールスが10万枚前後を見込む所属歌手の作品が未だサブスク解禁されていないと捉えています。その意味では、Juice=Juice「盛れ!ミ・アモーレ」のサブスク解禁が如何に大きいかが理解できる一方、オリジナルバージョンが未解禁という自体を踏まえ上記エントリーにてハロー!プロジェクト所属歌手作品全体のサブスク解禁を提案しています。
ハロプロ30周年企画始動、来年サブスク解禁&「ハロ!コン 2026」を開催https://t.co/1ZUJ5krS3E#ハロプロ
— 音楽ナタリー (@natalie_mu) 2025年12月29日
そのエントリー公開から数日経過後、ハロー!プロジェクトがサブスク解禁に踏み出すことが昨日アナウンスされています。具体的な日程は明らかになっていませんが、今後の動向に注目です。
⑦ マキシマムザホルモン「刃渡り2億センチ (全体推定70%解禁edit)」
今年大ヒットした映画「劇場版『チェンソーマン レゼ篇』」については、米津玄師「IRIS OUT」が特大ヒット。2025年度のビルボードジャパン年間ソングチャートでは登場わずか10週で4位に到達しています。また米津玄師, 宇多田ヒカル「JANE DOE」も登場から現在まで13週連続トップ10入りを果たしています。
【ビルボード】米津玄師「IRIS OUT」歴代最高再生回数を更新しグローバル・ジャパン・ソングス8連覇 https://t.co/c1HLBWcinA
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年11月13日
さらに「劇場版『チェンソーマン レゼ篇』」関連曲は、11月13日公開分のビルボードジャパンによるGlobal Japan Songs Excl. Japanチャートにて「IRIS OUT」(1位)、「JANE DOE」(2位)のほか、サウンドトラック収録の牛尾憲輔「in the pool」が4位に。さらにテレビアニメ版オープニング曲の米津玄師「KICK BACK」も3位に入っています。
Global Japan Songs Excl. Japanは米ビルボードによるGlobal 200から日本市場分を除いた上で日本の楽曲のみを抽出。映画の海外公開がチャートに大きく影響したことは間違いないはずであり、「劇場版『チェンソーマン レゼ篇』」の挿入歌もデジタル解禁すれば上位に進出しただろうと考えるのは自然なことです。
しかしマキシマムザホルモン「刃渡り2億センチ (全体推定70%解禁edit)」はサブスク未解禁であるのみならず、テレビアニメ時代の第3話エンディング曲となる同曲の"TV edit"はサブスクサービスから撤去されています(映画公開のタイミングまでに行われた模様です)。
マキシマムザホルモンは「刃渡り2億センチ (TV edit)」にて初めてサブスクを解禁していますが、サブスク解禁を行わない歌手側を動かしたのはテレビアニメ起用時における条件ゆえではなかったかと想像していました。今回の映画起用におけるサブスク未解禁や前バージョンの撤去からは複雑な心境を抱くと共に、世界中の「劇場版『チェンソーマン レゼ篇』」ファンがこの未解禁をどう思っているのかが気になります。
⑧ 安室奈美恵
安室奈美恵さんの作品は2023年11月に突如サブスクサービスやYouTubeから引き上げられ(2023年度、サブスク未解禁により大きなヒットに至れなかったと考える曲をまとめました(2023年12月20日付)参照)、その後現在に至るまで戻ってきていません。ゆえに他の歌手への参加作品のみで、デジタルでの彼女の音楽記録を辿ることが可能です。
安室奈美恵さんが客演参加した平井堅「グロテスク」(2014)、そのミュージックビデオがフルバージョンにて先月公開されています。他にも20本近くが同時に公開されているのですが、「グロテスク」の再生回数が突出。この点から、楽曲のみならず安室奈美恵さんの人気の高さも確認できるといえるでしょう。

(上記CHART insightにおける最終ランクイン週は12月3日公開分。「グロテスク」は11月26日~12月3日公開分にて動画再生指標が300位以内に入り加点されています。)

(上記は平井堅さんの公式YouTubeチャンネル、12月29日10時44分の段階の状況をキャプチャしたもの。)
デジタルを解禁すればいつ何時でも作品の人気が再燃する可能性が生まれ、そして歌手の再評価にもつながります。一時代を築いた安室奈美恵さんの記憶が引き継がれて行きにくい状況は、音楽業界においても損失といえるでしょう。
⑨ 山下達郎、竹内まりや『Precious Days』
サブスクの不在が音楽業界においても損失というのは、山下達郎さんにおいても同様でしょう。世界中でシティポップがブームに成ったといわれていますが、そのジャンルを最も代表する歌手の作品が不在という状況は、ブームをムーブメントに押し上げにくくした一因ではと捉えています。

サブスクは解禁しないとする山下さんですが、しかし「クリスマス・イブ」はApple MusicやAmazon Musicで聴取可能であり、チャートでも実績を上げています(マライア・キャリー、back number、山下達郎…日米におけるクリスマス関連曲のチャート傾向をまとめる(12月22日付)参照)。ミュージックビデオも今年YouTubeで公開しデジタルを意識しているだろうと考えれば、矛盾解消の意味でもサブスク解禁は必要でしょう。
また、竹内まりやさんの最新アルバム『Precious Days』についても、発売から1年以上経過しながら未だデジタル解禁されていません。同作品は新装盤をリリースしたことでフィジカルセールスが再度上昇していますが(新装盤については竹内まりや『Precious Days』新装盤のリリースから、デジタル未解禁について今一度考える(4月2日付)参照) 、その新装盤(デラックスエディション)効果もほぼなくなっています。

(上記CHART insightにおける最終ランクイン週は12月17日公開分となります。)
日本の音楽業界に多大な影響力を与え続ける夫妻のデジタルへ明るくない姿勢は、日本の音楽業界全体がデジタルに明るくなくてもいいという見方を是としてしまいかねず、また夫妻のファンにおいても同じ思いを抱かせかねません。そのことを強く懸念しています。
⑩ B'z「ultra soul」「LOVE PHANTOM」(サブスク解禁済/ミュージックビデオ短尺版のみ)
昨年の紅白にB'zが出場した際、サプライズで披露した「ultra soul」そして「LOVE PHANTOM」は年明けに発表されたビルボードジャパンソングチャートでトップ100入りを果たしています。これらの曲はサブスク解禁されているのですが、ミュージックビデオが短尺版だったことで思うほどの上昇に至れなかったものと捉えています。


その後ライブ映像が公開されるも、2曲とも動画再生指標は加点されませんでした(紅白でサプライズ披露されたB'zの2曲、ライブ映像公開も動画再生指標未加算という事態について(1月21日付)参照)。サブスクが解禁されているとして、一方でオリジナルバージョンのミュージックビデオがフル尺ではないことが上昇幅を抑えかねないという可能性が、ここからみえてきます。

そのB'zは最新アルバム『FYOP』にて、前作同様フィジカルセールス先行/デジタル後発という措置を採っています(ビルボードジャパンアルバムチャート、デジタル未解禁作品が2週連続で首位を獲得したことについて(11月21日付)参照)。また同じB ZONE(旧ビーイング)に所属するWANDSの作品については、第5期のみの解禁にとどまっています。

(上記CHART insightにおける最終ランクイン週は2023年1月4日公開分となります。)

(第5期によるTHE FIRST TAKE動画はオリジナルバージョンの動画再生指標に紐づいています。)
昨日公開のエントリー、リカレントルール抵触後もヒットを続ける条件、そして今年ヒットしたSTARTO ENTERTAINMENT関連曲についてではカラオケとストリーミング指標の良好な関係性について触れています。その考えに基づけば、カラオケヒットの続く「世界が終るまでは...」において上杉昇さんがボーカルを担当したオリジナルバージョンが解禁されていたならば、ロングヒットに至ったことは間違いないでしょう。
WANDS「世界が終わるまでは...」のオリジナルバージョンはミュージックビデオもアップされていません(織田哲郎さんと上杉昇さんによるライブ映像はそれに代わるものとして掲載しています)。B ZONEがデジタルに明るくない状況をいつまで続けるのか、気掛かりだというのが厳しくも私見です。
おわりに
以下は昨年記した内容の再掲となります。あくまで自分の中でですが、この点の解決は未だ遠いと感じたゆえの再掲です。
もうひとつ、特にベテランが持ち合わせている旧態依然の考えやサブスクは悪という印象論の噴出を業界が総出で払拭させることもまた重要です。先の山下達郎さんの発言について、山下さんに対しきちんと問いただした方はどれだけいらっしゃるでしょう。またハロー!プロジェクトに大きく関わってきた中島卓偉さんも、最近Xにてサブスクを悪とみなす発言を行っています。
この点は上記noteで記していますが、このような見方がハロー!プロジェクト全体に(今も)通底していると考えていいのかもしれません。しかしそのことが、これまでのヒット作の再ブレイクの可能性をせき止めてはいないでしょうか。
(中略)
日本はベテランがどんなに無礼な言動や行動を行っても、そのことを真摯に批判する方がほぼ皆無だと感じています。感情論で追い詰めるか、いわゆる太鼓持ちになるかのみだというのが極端かもしれませんが私見です。しかしその姿勢を続けてきたことが、たとえばエンタテインメント業界において改善が進めなかった根本要因と思えてなりません。
このベテランによる問題は、今年の紅白出場歌手発表会見時における堺正章さんの発言からも強く感じています。
#NHK紅白 #紅白歌合戦 を非難する人の考え方は、おそらく記者会見での #堺正章 さんの発言内容に沿ったものだと思います。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年11月14日
そのような方は、自身がブラッシュアップするつもりはあるのでしょうか。会見内容、ただただ残念です。 https://t.co/bps6Fjn2b2
老若男女に共通するヒット曲が乏しいと今の時代を嘆き、昭和は良かったと回顧していましたが、しかし多様な音楽の聴かれ方/買われ方がある今の時代にヒットを輩出した歌手の多くがきちんと紅白に選ばれています。そして多様な聴かれ方/買われ方の時代に、紅白も参考としているであろうビルボードジャパンによる複合指標に基づくチャートが登場し、ブラッシュアップを重ねて社会的ヒットの鑑となっています。
昔は良かったとばかり言うのではなく、良かったのならばそれを今に伝えるべく努力するよう、年配の音楽関係者に対し願うばかりです。デジタルアーカイブの充実、年配ユーザーへのストリーミング聴取推進等については、たとえば演歌歌謡曲のシュリンクを踏まえてこのブログで幾度となく提案していますが、実際には行っているのでしょうか。変えたいならば今の時代を腐すことなく、そして動くことを心から願います。
音楽業界のみならずメディア、そして市井においても、状況を変えるべく積極的に、敬意を払いつつも批判と改善提案を上の者に伝えることを願います。そうすれば好転する可能性が生まれ、少しでも高まるのではないでしょうか。
デジタルを解禁しない理由は何でしょうか。
その理由は、デジタル未解禁を続ける歌手本人が語らない限りは厳密には解りません。フィジカル購入の促進、所属事務所やレコード会社側の意向、サブスク運営側への不信感等が想像できますが、サブスクユーザーにとってはそれら理由に関係なく、"気になった音楽を聴くことができない"という点において等しくマイナスです。また海外の音楽ファンが日本のエンタテインメント業界そのものに不信感を抱きかねないともいえます。
日本は来年、2回目となるMUSIC AWARDS JAPANを開催します。ノミネートの前提となるエントリーが基本的にチャートインを前提とするゆえサブスク未解禁でも最終的に受賞が可能とはなるのですが、そのMUSIC AWARDS JAPANは『世界とつながり、音楽の未来を灯す。』をコンセプトに掲げています(『』内はABOUT THE AWARDS - MUSIC AWARDS JAPANより)。世界を視野に入れるならば、サブスク解禁は必須でしょう。
HUNTR/X’s ‘Golden’ Fends Off Holiday Competition to Reach No. 1 on Billboard’s Radio Songs Charthttps://t.co/OAMhkaGN3S
— billboard (@billboard) 2025年12月29日
来年開催のグラミー賞ではK-POPが複数曲、主要部門候補に。また日本時間の本日発表された2026年1月3日付米ビルボードソングチャートでは、HUNTR/X(イジェ、オードリー・ヌナ & レイ・アミ)「Golden」がK-POP曲として初めてラジオ指標を初めて制しています。
翻って、日本のエンタテインメント業界はどうか…まずは自問自答し、その上で消極的な他者を変え、団結していくことを願うばかりです。




