ちょこちょこと
「NISAに国内限定枠を!」
みたいな声を聞くのですけども、それって効果があるのでしょうか?
これに関しては、
「投資家を無理やり誘導するのではなく、国内企業が投資したくなるほどに魅力的になるべきだ」
「魅力のないモノを制度で無理やり買わせようとするのはいかがなものか」
という、ごもっともなツッコをよく見かけますので、ここでは違う方向から考えてみました。
<目次>
国内枠を作れば株価が上がる?
例えば『株価』に目を向けると、国内株式に限定することで
- 日本人投資家が、日本株式を多く買うようになる
- 株価が上昇
がとりあえず期待できたとて、その後
- PER、PBRなどが上昇、配当利回りが低下、割高となる
- 海外勢が割高な株式を売却
- 株価が元の値に戻る
と、株主が入れ替わることがあれど、『株価が上昇することによって、株主である日本人が儲かるメリット』は発生しないかもしれません。
そもそも、『成長する(と期待できる)⇒株価が上がる』の順序でなければならないところ、『株価が上がる⇒成長する』と狙う制度が正しいとは言い難いです。
『日本企業の株主が日本人になる』ことで、配当などが国内で循環するようになるわけですから、喜ばしい結果であるように感じなくもありませんが、
- 外国企業の株主になるはずだった人が、NISAの制度に誘導されて国内企業の株主になった
わけですから、『外国企業の利益を日本に還流させる』という動きはなくなります。
これを『良し』と判断していいのかは分かりません。
国内企業の株価が上がれば日本経済が成長する?
「NISAのお金が海外に流れて日本の成長につながっていない」との言葉が国会で出ていたわけですが、NISAのお金が国内企業に向けば、日本が成長するのかどうかは謎です。
まず、株価が上がったところで、その企業が儲かるわけではありません。
もちろん、、新株発行などによる増資がしやすくなり、研究開発や設備投資などの成長につながるお金が調達しやすくはなります。
しかし、すでに企業の現金・預金が大きく増えている(投資せずに貯めている)ような状況であるため、資金調達が容易になったとことろで、成長投資に積極的になるとは考えづらいです。

経済成長をさせたいのなら『大量の現金を保有している上場企業』への投資を促進させるのではなく『アイデアはあれど、お金がない人々への投資』を促進せねばならず、それは『NISAを国内株式限定にする』では達成されません。
NISAの元となったISAは?
さて、ご存じの通りNISAは『日本版ISA』であり、元になったISAは英国の制度です。
ISAは2024年に『海外への資金流出』を理由に『国内枠の追加』を検討していましたが、
「制度が複雑になることで、ISAの利用者そのものが減少することへの懸念」
「(投資家の利益を無視した)政治的な意図が露骨すぎる」
などにより断念しています(Financital Times)
他にも、フランスにはPEAという『国内投資を優遇する制度』がありますが、
- 制度が分かりづらく避けられている
- 分散効果が低下するため敬遠されている
- よって、想定していたより資金流出は進んでおらず、利用率は低い
と、「PEAは失敗である」という声も聞きます(taxation-customs)
イタリアにもPIRという同様の制度がありますが、同様の批判が起きています(LUISS)
というわけで、少なくとも「国内枠さえ作れば、経済成長につながるのだ!」という意見が短絡的であることが分かります。
最後に
現在では、世界中の株式市場が開かれており、気軽に海外へ投資する環境が整っています。
そこで、個人投資家の中に
「外国企業が成長しても投資に成功できるように、かつ、日本が成長しても投資に成功できるようなポートフォリオを組もう!」
とオルカンのような選択肢を選ぶ人が増えています。
そうすることで、力強くリスク分散をすることができ、自分の人生に対する不安を減らすことができ、将来への希望を持つことができるからです。
であるのにも関わらず『国内への投資を優先させる議論』が起きています。
これに成功し、日本が強く経済成長し、国民が豊かになったのであればなんの問題もありません。
しかし、『推されて投資した国内企業たち』が成長することに失敗し、国民の実質賃金は低下し、株式価値も大きく下げてしまうリスクは十分に考えられます。
このあたり、持株会のリスクに近しいものがあり、日本経済が衰退した場合、
- 実質賃金が減少する
- さらに、資産(株式)価値も下がる
と、悲惨なことになるわけですから。
仮にそうなってしまった場合、制度に誘導されて世界の市場の中では小さなボリュームしかない日本株式に集中投資してしまった人々に
「投資は自己責任だから」
と言うのはあまりにも残酷です。
そう考えると、
「投資先を誘導するのは、どうなのかなぁ…?」
と私は思ってしまいます。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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