どうもSF大好きトモGPです。Netflixオリジナルコンテンツとして人気のオムニバスシリーズ『ブラック・ミラー』。
"テクノロジーが辿り着くかもしれない恐ろしい未来"がテーマのこのシリーズは、ちょっと未来の今より少しだけテクノロジーが進化した世界が舞台の物語。簡単に言いますと近未来の「世にも奇妙な物語」(海外版)といったとこでしょうか。自分も大ファンのこのシリーズ、その中でも"らしさ+新機軸"で賛否両論の別れた最新作シーズン7の全6話の"レビュー&みどころ"を、今回は初見の人にもわかりやすい様に全力でお届けしたいと思います。(※ネタバレ少々あります)
エピソード1:『普通の人々』(Common People)
あらすじ
主人公の男性は愛する妻が不治の病に犯されたことを知り、命を"サブスクリプション"で提供するハイテクシステム「Rivermind」を契約する。しかし、妻の命を繋ぐためには、次々と過酷な代償を支払う必要があった。
見どころとレビュー
本エピソードは、シーズン7の幕開けにふさわしいシリーズの原点回帰とも言える作品です。あらかじめ言っておきますが、今シーズンダントツに後味の悪いエピソードとなっています。このエピソードは決して遠い未来のSFではなく、医療費高騰やサブスクリプションモデルに支配される現代社会の現実を痛烈に風刺しています。病を治すと共に脳の一部をある意味ハックし、生命維持のためにはオンラインで制御システムに接続し続けなければならないというなんとも悪魔的なシステム。正に命のサブスク化です。愛する人の命を繋ぐためにひたすら搾取されていく夫の姿は見ていて胸が締め付けられます。サブスクのプレミアムプランや更にその上のプラン、一般プランでは妻の口から無意識のうちに広告が流れ出すなどグロテスク演出にゾッとすること間違いなしです。これぞブラックミラーといったエピソード1はファンならずとも必見です。
エピソード2:『ベット・ノワール』(Bête Noire)
あらすじ
製菓会社で働くマリアは、かつて自分達がいじめを行っていた同級生ヴェリティが同僚として現れたことを不審に思い始める。その後奇妙なことが身の周りに起き始め、マリアの記憶と現実は少しずつ崩壊していく。
見どころとレビュー
このエピソードは、いじめの復讐という人間的なドラマから、現実そのものを書き換えるという大胆なSF的展開へと急旋回します 。ある日を境に、主人公マリアの記憶に些細な食い違いが生じ始め、それが次第に周囲からの信頼を失っていくという心理的な描写は、非常に生々しく秀逸です。しかし、その原因がヴェリティが開発したまるで"ひみつ道具"のような技術だったというとんでも展開には、視聴者の間で賛否が分かれたといいます。一部のファンは「現実離れしすぎている」と指摘する一方で、この突拍子もない結末もまた、テクノロジーと人間の心の闇が結びついたときに生まれる「ブラック・ミラーらしさ」だと評価する声もあったりして、非常に見応えのあるエピソードとなっています。
エピソード3:『ホテル・レヴェリー』(Hotel Reverie)

あらすじ
ハリウッド女優のブランディは、AIが創造したクラシック映画のリメイク版に送り込まれる。そこで彼女は、亡き女優のAIと恋に落ち、現実と虚構の境界線が曖昧になっていく。
見どころとレビュー
シーズン3の傑作『サン・ジュニペロ』と比較され、「精神的な続編」と位置づけられる作品です。どちらもシミュレーション内の同性愛の物語を軸にしていますが、その結末は対照的です。『サン・ジュニペロ』が意識のデジタル化による永遠の幸福を描いたのに対し、『ホテル・レヴェリー』の結末はより曖昧で、非常にもやもやします。パッと見はハッピーエンドにも見えるのですが、再会を果たした二人のうち、一方は現実世界に自由に存在できるのに対し、AIとなったもう一方は"会話ボット"としてスクリーンテストの部屋に閉じ込められているというラストは、『サン・ジュニペロ』同様に、テクノロジーによってもたらされた愛の、ある意味バッドエンドの様にも感じました。
ぜひシーズン3の『サン・ジュニペロ』と併せてご覧いただければと思います。
エピソード4:『おもちゃの一種』(Playthings)

あらすじ
90年代の謎のビデオゲームに深くのめり込む男が、未解決殺人事件の容疑者として逮捕される。そして彼の証言から、AIや人工生命の倫理を巡る恐ろしい事実が明らかになっていく。
見どころとレビュー
このエピソードの最大の見どころは、過去作『バンダースナッチ』のキャラクター、コリン・リトマン(ウィル・ポールター)が再登場する点です。これは、シリーズが単なるアンソロジー作品から、緩やかにつながった「ブラック・ミラー・ユニバース」へと進化していることを示しているように感じます。この物語の恐怖は、テクノロジーそのものよりも、それが生身の人間の精神に与える"侵食"だと思います。テクノロジーのダークサイドだけでなく人間の内面的な崩壊もみどころのエピソードです。
エピソード5:『ユーロジー』(Eulogy)

あらすじ
過去の写真を「体験」できる革新的なシステムを使い、亡くなった元恋人の葬儀のために思い出を語る男。そして彼は、忘れ去っていた真実と向き合うことになる。
見どころとレビュー
このエピソードはシーズン7の中でも特に異色であり、その温かさによって高く評価されている作品です。これまでのシリーズが"テクノロジーを不幸の引き金"として描いてきたのに対し、このエピソードでは、テクノロジーが「後悔と新たな発見」をもたらすための手段として機能しています。主人公は過去の記憶を追体験する中で、長年抱えていた感情に決着をつけるという非常に前向きな物語で、個人的にも大好きなエピソードです。技術が人間関係を断絶させるのではなく、むしろ人間的なつながりや感情的な癒しを可能にすることを示唆しています。こちらもファンにとっては賛否のわかれるところではありますが、間違いなく新たな方向性をシリーズにもたらしたと言えるでしょう。
エピソード6:『宇宙船カリスター号: インフィニティの中へ』(USS Callister: Into Infinity)

あらすじ
シーズン4の傑作『宇宙船カリスター号』の直接的な続編。前作の敵であるロバート・デイリーの死から3か月後、無限のバーチャル宇宙に閉じ込められたデジタル・クローンたちは、生き残りをかけて新たな戦いに挑む。
見どころとレビュー
シリーズ初の本格的な続編として、シーズン7で最も大きな議論を巻き起こしたエピソードです。前作のスタートレックテイストのサイコホラーから一転し、今回は「ギャラクシー・クエスト」のような壮大なSFアドベンチャーへと変貌していて、冒頭からスリリングな展開を見せ非常にワクワクします。ゲーム内と現実世界が交錯する展開は前作同様に緊迫感に満ちており、90分という大作の尺ながらストーリーは二転三転しとにかく視聴者を飽きさせません。しかし、シリーズのダークな側面を好むファンからは、「前作ほどの良さがなく、存在意義を正当化できていない」といった厳しい意見もちらほら。一方で、その大胆なトーンシフトを評価し、「不穏なひねりがありながらも、わずかな救いと爽やかさを感じる」と肯定的に捉える声も存在します。とにかく今シーズンの目玉エピソードであることは間違いないので、初見の人はまずシーズン4の『宇宙船カリスター号』からぜひご覧いただければと思います。SF好きには特に観ていただきたいエピソードです。
シーズン7 まとめ
『ブラック・ミラー』シーズン7は、かつてのシリーズが築き上げた「冷たいディストピア」という枠組みを意図的に広げ、より多様な物語の方向性を模索している様に感じました。すでにシーズン7ということもあり、そろそろシリーズの転換期にきていることは確かに間違いはなさそうです。しか『ブラックミラー』という作品としての一定のクオリティは確実に保たれていてどのエピソードも見応えは抜群でした。
果たしてシーズン8は製作されるのか?今シーズンで新しい方向性を見出した『ブラック・ミラー』に今後も期待したいと思います。




