ひとひろ

日常より、もう少し深いところへ。ひびのこと、たびのこと、ならのことを綴ります。

ひとひろ

西九州をめぐる、人生の休暇旅 vol.1

めちゃくちゃ暑い季節に、めちゃくちゃ寒かった日の旅の話を書く。

冬、久しぶりに、ひとり旅に出ることにした。
行き先は悩んで、九州で行けていなかった場所へ。冬に行くのは、新婚旅行ぶり。
関西人の私はなんとなく、九州は温暖なイメージがあって。
なんとなく、油断していたら。
この冬一番の、大寒波。
はてさてどうなることか、どきどきしながら、旅に出た。

一日目 太宰府

新幹線の車内ではずっと刺し子をしていた。
ポーチに必要なものをまとめておけば、どこでも取り掛かれるのがいい感じ。
普段の旅はついついスマホを見てしまうのだけれど、今回は三時間近くもくもくと針を進めることに成功した!
途中、ちらほら雪景色だったけれど、博多に着いたら雪は降っていなかった。でも寒い。
旅程を最後まで悩んでいて、でもやっぱり行っておきたい! とバス乗り場へ向かう。
そうです福岡県まで来たのなら、推しのもとへ行かなければ。
というわけで時間があまりない中、菅原道真公に会いに、太宰府を目指します。

昼食すらスキップしていたので、太宰府に到着した時には空腹が頂点に。
駅前でやまやの明太子フランスをばりばりと頬張る。合格の桜の焼印が押してあってキュートだった。

許された時間は一時間ほど。平日だし寒いしで、参道の人は少なめ。行くぞい!

現在、太宰府天満宮の本殿は令和の大改修中。
三年間しか見られない仮殿をぜひ見たいなと思っていたので、夢が叶って嬉しかった。
控えていたおみくじ、どうしようかなと思ったけれどえいやっと。

中吉。力がこもった言葉に背中を押されて、境内でなんだか泣きそうになった。
書かれていたのは百人一首の「このたびは」の句で、奈良だ! と望郷の念がすこし胸をよぎる。

時間が気掛かりで、さらさらっと境内を巡ったけれど、あと少し余裕がある。
せっかくだし! と初訪問の時に行けなかった、宝物殿へ行くことにした。

これがもうね! 大正解で!!
道真公ご遺愛の品を見ることができたし、灰原薬先生の『応天の門』の書き下ろしイラストも飾られていて内心はちゃめちゃにテンションが上がった。推しが亡くなっていると、新規供給がないものでね……
たとえそれが「伝」であっても、推しが触れていたものだと思うと感無量でした。

本当はもっとゆっくり色々見たかったけれど、旅程にねじ込めただけでも大満足だよ。
かじかむ指、梅ヶ枝餅で暖をとりつつ、バスに乗ってとんぼ返りする。

太宰府 → 武雄温泉

特急に乗り込んで、宿泊地である武雄温泉を目指す。
ハウステンボスの車両、チューリップ柄のシートがちょうかわいい。

またもや刺し子をしつつ、JR九州のアプリでチェックインスタンプラリーにいそしんだ。
GPSでチェックインしてゆくのだが、ストレングスファインダーの収集心上位だからやりだしたら止まらなくなる(多分関係はない)。ピクミンとのコラボもしていて楽しい。
JR九州、車両もいいし、QRコード特急券などの仕組みもいろいろと整っていて推せるなっと今回の道中ずっと思っていた。
「あと五分走ったら右手に吉野ヶ里遺跡が見えます」のアナウンスがあったからカメラを構えていたけれど、よく分からないままに広そうな土地の写真を撮っただけで終わった。吉野ヶ里遺跡チャレンジ、失敗。
なんやかやひとり遊びを楽しんでいるうちに、佐賀県は武雄温泉駅に到着した。

駅から送迎車に乗り、本日の宿 OND HOTELへ。
温泉旅館をリノベーションして昨年開業したばかりの綺麗な宿で、おしゃれホテルに心が浮き立つ。

サウナに力を入れているようで、浴場ではマイハットをかぶった方が。作法が分からないので雪見風呂を楽しむにとどめた。
夕食は佐賀牛づくしの割烹。どれも美味しくて、お肉ってパワーだな……と思うなどした。

夜は部屋でまったりしながら夫と電話する。
夕食の牛肉が美味しくて、と話すと「ざねさんは牛なのにいいの?」と言われた。あれは佐賀牛ではないからよいのだ。
ふわふわとした幸福感に包まれながら眠った。

翌朝の朝食、木箱に海苔が入っていますと言われて、箱いっぱいに海苔が入っていて食べ放題? と錯覚したけどそんなに入っていなかった。
なんとも厚かましい妄想ですが、私は海苔が大好きなのだ。なんぼでも食べられるよ。

大寒波の旅、雪がちらつく二日目につづく。