あなたへ
くっ!首が!首が痛い!
寝起きと共に首に激痛が走ったのは、先日の朝のことでした。
暫くは我慢していたものの、あまりの激痛に堪え兼ねて、
絆創膏なんかが入っている箱の中を見てみれば、なんと湿布があるではありませんか。
これは、武道、そして、格闘技をしていたあの子の必需品でした。
あの子が巣立ち、気が付けば開けることなくなっていた箱の中で、
静かに期限が過ぎてしまっていたものの、
我が家の中に湿布があったということが、あの日の私には、
まるで今の私への贈り物であるかのようにも思えてしまったのでした。
これで、痛みから少し解放されるだろうと、
嬉々としながら、湿布を貼ることにしたのですが、
きっと今回は、湿布を貼りたい場所が、あまりにも悪過ぎたのかも知れません。
首が痛い故に、いつもよりも柔軟性のない腕を無理矢理に上げて貼った湿布は、
思っていたよりも、上手に貼れなくて。
皺々になってしまった湿布を指で辿りながら、
あなたが此処に居ない寂しさを、感じてしまったのでした。
私の日常生活の中で、湿布を使うシーンなど、滅多になく、
思えば今回、あなたを見送ってから初めて、湿布を使うという場面が訪れました。
こうして、あの夏から初めての場面を迎えれば、
それまで知らなかった角度からの痛みを知ることにもなるのだと、
あの日の私は改めて、あなたが此処に居ない人生を見つめてみたのでした。
ひとりで生きて行くということは、こういうことなんだなって。
あの日の夜、改めて、湿布が入っていた箱の中を見てみれば、
痛みに効く塗り薬を見つけることが出来ました。
これもまた、あの子が使っていたものであり、やはり期限が少し過ぎてはいましたが、
これなら、自分で湿布を貼ることが出来なくても大丈夫だと、
新たな発見をすることが出来ました。
ひとりで生きる覚悟など、とっくに決めた筈なのに、
こうしてまたひとつ、
あなたを見送ってから初めての困ったことを見つければ、
それは私にとって、新たな痛みを知ることへも繋がって行きますが、
知らなかった痛みを知ったのなら、今度はこんなふうに、
ひとつずつ、私はひとりでも大丈夫という視点も、
一緒に集め続けて行くのでしょう。
あれから少しずつ、首の痛みも取れて、
湿布も、塗り薬も、必要なくなりました。
また元気に日々を歩む私へと戻りつつありますので、どうぞご安心を。
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