映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』:時速300kmの密室で繰り広げられる絶体絶命のサバイバル

ソウル発プサン行きの高速鉄道KTXで、突如として謎の感染爆発が起こります。列車に乗り合わせたのは、仕事中毒のファンドマネージャーで、別居中の妻のもとへ向かう父ソグ(コン・ユ)と幼い娘スアン(キム・スアン)、出産間近の妻ソギョン(チョン・ユミ)とその夫サンファ(マ・ドンソク)、そして高校生の恋人同士など、様々な境遇の人々でした。疾走する密室と化した列車内は、瞬く間に凶暴化する感染者たちによって地獄と化します。安全な終着駅プサンまでは、あと2時間。時速300kmで突き進む極限状況の中、愛するものを守るため、そして生き残るため、乗客たちは決死のサバイバルを強いられます。この映画は、パニックホラーの緊張感と、人間ドラマの感動を見事に融合させた、韓国製ゾンビ映画の金字塔です。
概要・原題
- 原題: 부산행(釜山行)/ Train to Busan
- 公開年: 2016年
- 上映時間: 118分
- ジャンル: ゾンビ、パニック、アクション、ドラマ
- 監督: ヨン・サンホ
- 脚本: ヨン・サンホ
- 製作国: 韓国
あらすじ
ソグは娘スアンの誕生日プレゼントとして、彼女をプサンにいる妻の元へ連れて行くためKTXに乗車します。出発直前、ゾンビに噛まれた女性が駆け込み乗車し、車内で感染が爆発的に広まります。ソグは当初、娘や自分の命を守ることだけを優先しようとしますが、サンファをはじめとする他の乗客たちの自己犠牲的な行動を見るうちに、人間性を取り戻していきます。列車は次々と駅を通過しますが、感染は止まらず、生存者たちは車両間を移動しながら安全な空間を確保しようとします。彼らの前には、感染者だけでなく、自己保身に走る冷酷な乗客ヨンソク(キム・ウィソン)というもう一つの脅威が立ちはだかります。様々な人間模様が交錯する中、彼らは極限の状況下で信頼と裏切り、そして愛を試されることになります。プサンが本当に安全な場所なのか、そして彼らはたどり着けるのか、生存をかけた決死の闘いが続きます。
キャスト
- ソグ: コン・ユ
- スアン(ソグの娘): キム・スアン
- サンファ: マ・ドンソク
- ソギョン(サンファの妻): チョン・ユミ
- ヨンソク(自己中心的な乗客): キム・ウィソン
- ヨングク(野球部員): チェ・ウシク
- ジニ(ヨングクの彼女): アン・ソヒ
主題歌・楽曲
- 音楽: チャン・ヨンギュ
- 特記事項: 緊張感を煽るオーケストラと、激しいアクションシーンを彩るパーカッシブなスコアが特徴です。特に、ゾンビが群れで押し寄せるシーンでの音楽は、絶望的な状況を際立たせます。
受賞歴
- 第37回青龍映画賞で技術賞と美術賞を受賞しました。
- 世界三大ファンタスティック映画祭の一つ、シッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀監督賞(ヨン・サンホ)と特殊効果賞を受賞しました。
- カンヌ国際映画祭のミッドナイト・スクリーニング部門で上映され、世界的に高い評価を得ました。
撮影秘話
- 本作のゾンビの動きは、パルクールやコンテンポラリーダンスの動きを取り入れた専門の振付師によって指導されました。これにより、これまでにない俊敏でアクロバティックなゾンビ像が生まれました。
- 主演のコン・ユは、娘役のキム・スアンを常に守る父親の役割を演じきり、アクションだけでなく感動的なドラマ要素を担いました。
- 列車内という閉鎖空間での撮影は非常に困難でしたが、CGとセットを巧みに組み合わせることで、時速300kmで疾走する列車のリアリティを追求しました。
感想
単なるゾンビ映画として片付けるには惜しい、人間ドラマと社会風刺に満ちた傑作です。疾走するKTXという密室が舞台であるため、緊張感が途切れることがなく、最初から最後まで息をのむ展開が続きます。特にマ・ドンソク演じるサンファの、愛する妻を守るための献身的な姿は感動的で、涙なしには見られません。ゾンビの圧倒的なスピードと群れの力も恐怖ですが、それ以上に、極限状態における人間のエゴや冷酷さが最も恐ろしい敵として描かれている点に、この映画の深さがあります。ラストは非常に切ないですが、希望も感じさせる見事な結末です。
レビュー
肯定的な意見
・「韓国映画の技術力が光る、圧倒的なスピード感と完成度の高いアクション。ゾンビ映画の概念が変わった。」
・「パニックの中で描かれる父と娘、夫婦の愛が感動的。ホラーでありながら人情ドラマとしても一級品。」
・「人間のエゴイズムを鋭く描いており、登場人物の誰に感情移入するかで意見が分かれるほど深い。」
否定的な意見
・「設定がやや非現実的で、ゾンビの動きが速すぎてホラーというよりアクション映画に感じる。」
・「感動を強要されているように感じる部分があり、特定のキャラクターの自己犠牲が過剰に見える。」
考察
「KTX」という韓国社会の縮図
KTXという高速鉄道は、韓国社会の階層構造を象徴する密室として機能しています。裕福で自己中心的なビジネスマン(ソグからヨンソクへ)、愛と犠牲を体現する労働者階級(サンファ)、そして未来の世代(スアンと高校生カップル)が一つの空間に閉じ込められます。感染が広がるにつれて、人々は協力するグループと、他人を犠牲にするグループに明確に分かれ、これは現代社会における連帯の欠如とエゴイズムを痛烈に批判しています。特に、ヨンソクの行動は、経済的な成功者が持つ特権意識と、弱者を踏みにじる非人間性を体現しています。
父性の回復と自己犠牲
主人公ソグの物語は、単なるサバイバルではなく、「父性の回復」の物語です。彼は最初、利己的で娘の気持ちを顧みない父親でしたが、極限の状況下でサンファという真の「男らしさ」の象徴と出会い、そして彼の犠牲を通して、真に愛する者を守るための自己犠牲の精神を学びます。ソグが最後に娘のために自らを犠牲にする決断は、彼が人間性を取り戻し、完全な父親となった瞬間を描いています。
※以下、映画のラストに関する重大なネタバレが含まれます。
未視聴の方はご注意ください。
ラスト
列車はプサン手前で脱線し、最終的に生き残ったのは、妊娠中のソギョンと幼い娘スアンの二人だけとなります。彼らをプサンで待機していた軍隊は、暗闇の中で近づいてくる人影がゾンビかどうか判断できず、射殺命令を出そうとします。その時、スアンが愛する父ソグを思い、悲しみを込めて歌を歌い始めます。その歌声を聞いた兵士の一人が、その人影が人間、それも子供と妊婦であることを悟り、二人は無事に救助されます。ソグは、娘を最後まで守り抜き、自らも感染しながらも、最後まで理性を保ち、線路に飛び降りて死を選びました。このラストは、多くの犠牲の末に、純粋な愛と希望だけが生き残るという、切なくも感動的な結末となっています。
視聴方法
DVD&Blu-ray情報
まとめ
『新感染 ファイナル・エクスプレス』は、その類まれなるアクションとスピード感、そして感動的な人間ドラマで、世界中のゾンビ映画ファンを熱狂させた作品です。閉鎖空間でのサバイバルという緊張感だけでなく、現代社会が抱える問題を浮き彫りにするテーマ性も持ち合わせています。まだ未見の方はもちろん、一度観た方も、登場人物たちの心理描写に注目して再鑑賞することをおすすめします。配信状況は各プラットフォームでご確認ください。
映画のジャンル
ゾンビ、パニック、アクション、ドラマ
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