< 宇宙線っていうのは宇宙から送られた「謎の手紙」らしいです ナゾ なんですねえ >
21世紀現在では当たり前に口にしている感のある「宇宙線」っていう言葉なんですが、前段にあるのが「放射線」っていう存在なんですね。放射線が宇宙線に先んじているんです。そういう歴史があるんですね。
ま、専門家でもない限り、どっちも日常語とは言い難いんですけど。
「放射線」を最初に発見したのはドイツの有名な物理学者「ヴィルヘルム・コンラート・レントゲン(1845~1923)」
1895年に、真空にしたガラス管の中に高電圧をかけると、金属さえも通り抜けられる未知の光線が発生することに気が付いて、この光線を未解明っていう意味で「X線」って名付けたのが「放射線」の始まりになりました。
わずか150年ほど前のことなんですね。
レントゲンって誰でも1回は病院でお世話になったことがありますよね。
にしても「X線」の「X」って、なんだかワカラン! っていう意味だったんですね。レントゲンって人、正直者です。
ヴィルヘルム・レントゲンは1901年に第1回のノーベル物理学賞を受賞しています。
「X線」発見の翌年、1896年にはフランスの物理学者「アンリ・ベクレル(1852~1908)」が、ウラン鉱石が写真乾板を感光させることに気が付いて、自然に存在している物質が「放射線」を発していることを確認しました。
ベクレルっていう言葉は放射性物質が1秒間に何回変化するかっていう単位。福島原発、3.11事故の時に何回も聞きました。ベクレル。人の名前だったんですね。
1898年にはポーランド人の「マリ・キュリー(1867~1934)」が、夫の「ピエール・キュリー(1859~1906)」が発明した電位計を用いて、ウラン鉱石の中からウランより強い放射線を発するポロニウムとラジウムを発見しています。
有名ですよね。キュリー夫人って、伝記本が学校の図書室に必ず置いてあったような記憶です。「放射能」っていう言葉を考え出したのは、このキュリー夫人だそうです。
夫婦2人3脚の活躍だったんですね。旦那さんのピエールはフランス出身。
同じ1898年にはイギリスの物理学者「アーネスト・ラザフォード(1871~1937)」が、ウラン鉱石からα線とβ線の2種類の放射線が発生していることを確認して、1899年にはα線とβ線の分離に成功しています。
ラザフォードは「原子核」の発見もしていて「原子物理学の父」って呼ばれる人です。
1900年にはフランスの物理学者「ポール・ヴィラール(1860~1934)」が、やっぱりウランから放出されている「γ(ガンマ)線」を発見しています。
なんかウランっていろいろ放射しているんですね。原子番号92。銀白色の金属。けっこう重いんだそうです。
鉄腕アトムの妹さんでもありますよねえ。ウランちゃん。関係ないですけど。。。
こうして放射線の研究はどんどん進化していったわけなんですが、そうした中で、1900年ごろ、実は宇宙線が確認されてもいたんです。
科学的発見って観察結果に対する閃き、みたいなものが大事なんでしょうけど、その発見は宇宙線とはまったく関係のなさそうな機器から始まっています。
20世紀初期のこの頃、ある機器の回路が電気を帯びているかいないかを確認する「検電器」っていうのが使われるようになっていたんですが、この、自分自身は帯電しているはずのない検電器が時々自然放電する現象が確認されていたらしいんですね。
この検電器の自然放電現象は、わりによく知られた「怪奇現象」だったらしいんですが、その原因は地球内部からの放射線が影響しているものだと考えられていたんだそうです。ウランからいろいろな放射線が発見されて、話題になったいた頃ですしね。
でも世の中にはいろんな人がいます。
地球内部からの放射線が原因じゃなくって、宇宙からなにかしらの粒子、「宇宙線」が飛んできているのかもしれない、って考えた人が出てきたんですね。
オーストリア生まれの物理学者「ヴィクトール・フランツ・ヘス(1883~1964)」は、1912年に気球で高度約5300メートルまで上昇して放射線量を測定したところ、上空に行けば行くほど放射線量が増えることを発見しました。
検電器の自然放電現象は「宇宙線」が原因である可能性が高い。なにより宇宙からやってきている放射線の存在が確認されたわけです。
ドイツの物理学者「ヴェルナー・ハインリヒ・グスタフ・コルヘルスター(1887~1946)」は、ヘスの発表を知って「ホントかよ!?」って思ったんで、1913年、ヘスの宇宙線観測の翌年ですね、自分も気球に乗って観測してみたんだそうです。
ヘスよりも高い9000メートルまで上昇。そうしたら地上より6倍も高い放射線強度が測定されたんですね。
結果はヘスの宇宙線発見を裏付けることになって、「宇宙線」の存在が確定したんであります。
こうして宇宙線の研究が一気に進むわけですが、宇宙線っていうのは「宇宙空間を飛び交っている高いエネルギーの放射線」であるって定義されています。
宇宙線の主な成分は「陽子」
常に地球にも飛来してきていることが確認されていますが、どこから飛んできているのかは特定されていないっていう謎の存在なんですね、今でもナゾのままだそうです。
宇宙線には太陽宇宙線や銀河宇宙線等々いろんな種類があって、飛んでくる方向もバラバラ。そのうちのいくつかは地球近辺にあるエネルギー源からは考えられないほどの、非常に高いエネルギーを持っていることも観測されています。
宇宙線はどこから飛んでくるのか。発生源は巨星の爆発、あるいはブラックホールから噴出されているガスだとかいろんな説が出てきましたが、これもまた今のところやっぱりナゾのままです。
さて、アメリカの有名な「ベル研究所」は電波研究に1930年代から大きな貢献をし続けている組織ですが、1964年に決定的な発見をしています。
当時、ベル研究所で超高感度低温マイクロ波アンテナの研究を行っていた物理学者の「アーノ・アラン・ペンジアス(1933~2024)」と、同じく物理学者の「ロバート・ウッドロウ・ウィルソン(1936~)」の2人は、設置した高感度アンテナが天の川銀河からの放射線よりも強いノイズを拾ってしまうことに頭を悩ませていました。
地上の放射線からの影響だろうと考えたのは宇宙線発見の場合と同様だったわけですが、ノイズを取り除くために2人はなんでもやりました。
アンテナにたくさん付いていた「白い誘電性の物質」がノイズの原因だろうっていうんで、キレイに掃除してそれを取り除きます。
その白い誘電性(?)の物質とは、なんのことはないハトのフンだったそうですけど、キレイに取り除いた後でも強いノイズは消えませんでした。
2人は考えたんですね。
「これってノイズなんかじゃなくって、アンテナが捉えている正式な宇宙線なんじゃないか?」
ノイズの除去っていう研究活動は宇宙線の正体を探る研究に変わりました。
そして2人が突き止めたのが、今ではチョー有名になっている「宇宙マイクロ波背景放射(CMB(cosmic microwave background))」だったんです。
138億年前に起きたってされているビッグバン。宇宙誕生の瞬間から38万年後に宇宙が冷えて透明になった時に放たれた光が、宇宙の膨張によって引き延ばされて、現在ではマイクロ波として観測されているんです。それが「宇宙マイクロ波背景放射」っていう光、電磁波なんですね。
「宇宙マイクロ波背景放射」は宇宙のどの方向からも一様に地球に降り注いでいるんだそうです。最初に観測したらノイズだって思っちゃうのも無理のないところです。アンテナの感度、良好だったってことですね。

宇宙っていろんなものが飛び交っている時空ってことなんですけど、地球人、一般人は気付きませんね。
この「宇宙マイクロ波背景放射」が確認されたことで、宇宙線に新たな理論が登場します。
「GZK限界」っていうその理論は、超高エネルギーの宇宙線は宇宙マイクロ波背景放射との相互作用によってそのエネルギーを失ってしまうので、地球には届かないだろうっていう予想理論です。
1966年、アメリカの物理学者「ケネス・イングヴァルド・グライゼン(1918~2007)」が「宇宙線カットオフ理論」を発表します。
同じころ、天体物理学者「ゲオルギー・ティモフェエヴィチ・ザツェピン(1917~2010)」と理論物理学者「ヴァディム・アレクセービッチ・クズミン(1937~2015)」の2人のロシア人が「宇宙線の限界」を予測します。
この予想理論が3人の名前をとって「グライゼン、ザツェビン、クズミン(GZK)限界」って呼ばれるようになったんですね。
「宇宙の遠くから飛んでくる超高エネルギーの宇宙線は、地球にはほとんど届かない」っていう、1966年に発表された「GZK限界」は概ね支持された予想理論です。
でもですね、その後も続けられている宇宙線研究によって、超高エネルギーの宇宙線が観測されちゃっているんです。「GZK限界」を超えて地球にやってくる宇宙線です。理論、破綻してる? よく分かりませんです。
地表で強い宇宙線を観測する場合、宇宙線がそのまま到達することはなくって「空気シャワー」として降り注ぐんだそうです。
地球に向かって飛んできた超高エネルギーの宇宙線は、大気中の原子核と相互作用して、多数の2次粒子が発生します。この2次粒子がまだ高いエネルギーを持っていればさらに次の粒子を発生させる連鎖反応を起こします。
このことを「空気シャワー」っていうんだそうですが、これを観測する研究は長く続けられています。
宇宙線の観測プロジェクトとして本格的な実験は「フライズアイ実験」が知られていますね。
1977年からアメリカのユタ州、砂漠地帯で空気シャワーを観測するために、まさに「フライ(蠅)」の複眼のようにアンテナを配置したんで「フライズアイ実験」っていうんだそうですね。
複眼の生物っていろいろいるのに、なんでまた蠅を名前として選んだのかは、ちょと分かりません。
ま、なんにしてもこの「フライズアイ実験」が1991年に観測した超高エネルギーの宇宙線は「320エクサ電子ボルト」を計測しました。
「エクサ」って聞きなれない単位ですが、10の18乗のことです。
18乗。どんだけやねん! 実感できませんね。宇宙の話とかって、こうした数値が大きすぎてイメージし辛いことが多いですよね。
馴染みのあるところから、「K(キロ)」が10の3乗。
「M(メガ)」が10の6乗。
「G(ギガ)」が10の9乗。
「T(テラ)」が10の12乗。
この辺まではハードディスクだとかで馴染んでいる単位だと思います。当然ながらさらに上があります。
「P(ペタ)」が10の15乗。
そして「E(エクサ)」が10の18乗っていうことになります。
繰り返しになりますが、18乗って、もうイメージできる範囲を超えていますよね。
320エクサっていうエネルギーは、100トンのジャンボジェット機が時速100キロで飛んでいる時のエネルギーに匹敵するそうです。その大きなエネルギーをたった1個の陽子が持っているっていうことです。
観測した科学者たちがビックリ仰天! 「なんてこった!」っていうことで、この1991年に観測した、ほぼ光速で飛んできた超高エネルギーの名前は「オーマイゴッド粒子」って呼ばれているんだそうです。
ま、今なら「オーマイガッ粒子」の方が通じるでしょかね。
光よりほんのちょっとだけ遅いスピードの超高エネルギー宇宙線。
もちろんそんなにしょっちゅう観測されているわけじゃないみたいですけど、「GZK限界」を超えて地球にやってくる超高エネルギー粒子は存在しているってことですね。
この「オーマイゴッド粒子」の観測をキリのイイ実績と考えたものか、「フライズアイ実験」は1991年、観測したその年にプロジェクトを終えています。
それで終わったのかっていうと、さにあらず。後継プロジェクトの「テレスコープアレイ実験」がほぼ同じ地域で2008年から定常観測を続けています。
蠅の複眼から望遠鏡に進化(?)したんですねえ。
そして、2021年、大阪公立大学の藤井俊博准教授が率いるチームが「244エクサ電子ボルト」の粒子を観測したんですね。
史上2番目の超高エネルギーです。
こりゃビックリ! 名前はなんにするか。オーマイゴッド2粒子とか? いや、じぇじぇじぇ粒子の方が、、、とか、そんなやりとりがあったかどうは知りませんが、アメリカチームが観測して「オーマイゴッド」だったので、日本の神の名前を持ってきて「アマテラス粒子」って名付けられたんですねえ。
「244エクサ電子ボルト」の「アマテラス粒子」
もし「アマテラス粒子」を1グラム集めたとすると、地球を破壊できるっていうエネルギーだそうです。
ん~。宇宙の話ってその単位とか説明とかが、分かりやすくしようとして分り難い結果になっちゃいがちなんですよねえ。
「オーマイゴッド粒子」
「アマテラス粒子」
さあ、この次に観測される粒子はどのぐらいのエネルギーを持っていて、なんていう名前になるんでしょう。
ちなみに10の21乗は「Z(ゼタ)」
10の24乗は「Y(ヨタ)」
ずっとどこまでもあるのかもですねえ。
(ヨタって弱そう。。。根拠ないですけど。。。)
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