旅行中に読んでいた松本俊彦さんの「薬物依存症」を話題とします。
松本さんは薬物依存症専門医でありまして、ほとんどヤク中の味方で
あります。この時代であっても、世間から誤解され、バッシングされる存在
であります。
たとえば、このように記しています。
「2016年6月、ある著名人が覚せい剤取締法違反で逮捕されました。
その際、その人が逮捕される際に麻薬取締官にいった、『ありがとうござ
います』という発言が、マスメデイアのあいだでちょっとした話題になったの
を覚えているでしょうか。
私はこの一件を生涯忘れないでしょう。というのも、この一件に関して、
あるワイドショー番組でタレント・コメンテーターがしたコメントに、私は心底
腹が立ったからです。そのコメントとは、『ありがとうなんて軽いね。反省が
足りない』というものでした。・・・・実は依存症者にとってあれほど正直な
言葉はないのです。その後、裁判が始まれば、何とかして刑務所行きだけは
避けたくて、たくさん嘘をつくことになります。・・あの『ありがとうという』という
言葉が意味するのは、その人がそれだけ悩んでいた、苦しんでいたということ
なのです。」
普通はこのように思わないでありますね。それはこの国で行われている薬物
乱用防止教育で「薬物依存症者に対する偏見や差別感情を植え付ける」こと
にはなっていないかと記しています。
どうして人は、薬物に手を出すかであります。薬物をやめるのは難しくないが、
やめ続けるのはたいへんで、そのために必要なのは依存症者を刑務所にいれ
ることではなく、社会のなかで断酒会のような薬物依存からの回復グループに
巻き込んでいくことだとあります。
そうだよな、依存症者は収監されれば、とりあえずは薬断ち状態に入るので
ありますからして、病院でも刑務所でも、そこに一定期間入れば、薬断ちはでき
るのですから、問題はそのあとで、このときに、社会のなかで暮らしていくために
は、依存症者への偏見や差別感情は、立ち直りのためにマイナスにしか働かな
いということになりです。
ほとんどの方は、ワイドショーで取り上げられる芸能人か、新聞などで目にする
逮捕された暴力団関係者の世界のことで、自分の身近でそうした依存症者と
接触することはないでしょう。
当方もほとんどそうなのでありますが、薬物依存症者は人でなしでありますの
で、逮捕されて当然と思っていましたが、薬物依存症は病気でありますので、ま
ずはそれの治療と、それからの回復をどう考えるのかということを考えることは
ありませんでした。
薬物依存症は孤立の病とのことですから、どなたにもなる可能性のあること
でして、原因をとりのぞくようなことを考えなくては、次々と依存症者は増えて
いくことであります。
