
「何回言っても、宿題をやらない」
「朝の支度に1時間…もうこっちが疲れる」
「きょうだいはすぐにできるのに、なんでこの子は…」
そんなふうにため息をついた夜、ありますよね。
私もかつて、同じように悩んでいました。
障がいのある子どもや、きょうだいとして頑張っている子を育てていると、
どうしても「やるべきこと」が多くなります。
療育、学校、支援の書類、薬、生活リズム…。
それを一つひとつこなすのは、大人でも大変なこと。
それでも、ママたちは「この子のために」と頑張ります。
でも、子ども本人はどこか他人事のように感じている。
焦っているのは親だけで、本人は平然としている。
——そんなギャップに、心が疲れてしまうこともありますよね。
けれど、少し視点を変えてみると見えてくることがあります。
それは「やらない子」ではなくて、
**“まだ自分ごとになっていない子”**なのかもしれない、
ということです。
■「自分ごと」になれない子どもの世界
障がいのある子は、ときに「やる理由」や「目的」を
つかみにくいことがあります。
行動と結果のつながりが見えづらかったり、
失敗を怖がって動けなかったり・・・
一方で、きょうだい児たちは“いい子”でいようと我慢をして、
「言われたからやる」ことが習慣になりやすい。
だけど、その中で自分の気持ちを置き去りにしてしまうこともあります。
どちらのタイプの子も、
“やらされている”状態では力を発揮できません。
大切なのは、「これ、ぼくのことなんだ」「私がやりたい」と
思えるようになること。
つまり、“自分ごと”として動けるようになることです。
■きっかけは「できごと」よりも「心の動き」
子どもが自分ごととして行動できるようになる瞬間は、
大きな出来事よりも、日常の中の小さな「心の動き」にあります。
たとえば、学校でちょっと恥ずかしい思いをしたとき。
「もうこんな思いはしたくない」と悔しさを感じたとき。
その感情が、自分で動こうとするきっかけになります。
また、「頼られる」ことも大きな力になります。
「お母さん、あなたにタイムキーパーをお願いしたいの」
「お兄ちゃんがいない間、ママのお手伝いしてくれる?」
“任される”ことで、子どもは「自分の役割がある」と感じます。
障がいのある子も、きょうだい児も、
誰かの役に立てたという実感を通して、
「自分の存在が誰かの笑顔につながっている」と気づくのです。
■「ありがとう」は一番の動機づけ
行動を続ける力になるのは、褒め言葉よりも「ありがとう」。
これは不思議なほどに効果があります。
何かを手伝ってくれたとき、
約束の時間を守れたとき、
「助かったよ」「嬉しいな」と伝えることで、
子どもは自分の行動が“人の幸せにつながっている”と学びます。
それが自信となり、「またやろう」と思えるようになる。
“自分ごと”が育つ瞬間です。
■憧れの存在がスイッチになることも
「お兄ちゃんみたいにできたらいいな」
「大好きなアニメのキャラも努力してた!」
そんな憧れは、行動のスイッチになります。
子どもが憧れている人を、一緒に見つけてみましょう。
「その人は、どんな工夫をしてるんだろうね?」
「努力している姿、かっこいいね」
と声をかけることで、行動のモデルをイメージできます。
言葉の指導よりも、“心が動くきっかけ”を差し出す。
それが、子どもの“自分で動く力”を育てる方法です。
■「できた!」の積み重ねが未来をつくる
自分でやってみて、少しでも“できた”と感じた瞬間。
その喜びが次の行動につながります。
障がい児の支援でも、きょうだい児のサポートでも、
完璧を目指すより「前よりちょっとできたね」を大事にしたい。
「昨日より1分早く支度できた」
「今日は自分で片付けを始めた」
その小さな成功を見逃さず、笑顔で共有しましょう。
できた経験は、心の中で“自信の貯金”になります。
やる気を育てるのは、いつも“成功体験”の積み重ねです。
■おわりに:動かない子を、責めないで
「なんでやらないの?」
「やる気がないの?」
そう言いたくなる日もあります。
でも、本当は——
“まだ自分ごとになっていないだけ”かもしれません。
焦る気持ちは自然なこと。
でも、子どもが動けるようになるタイミングは、
その子のペースの中にあります。
大切なのは、“できない理由”を探すより、
“動きたくなるきっかけ”を一緒に見つけていくこと。
子どもが自分の力で動けたとき、
その瞬間こそが、成長の一歩です。
今日もママの「よく頑張ってるね」の一言が、
きっとその小さな一歩を支えるはずです。