富山大学、北里大学、国立精神・神経医療研究センター等は共同で、ストレスに関連した精神障害への発症リスクや記憶バイアスを持つ人に対し、記憶バイアスを和らげる認知介入プログラム(CBM-M)を開発し、ストレス軽減に有効であることを世界で初めて示した。研究には他に、労働安全衛生総合研究所、金沢大学、京都大学が参加している。

 ストレスに関連した精神障害として知られるうつ病や不安障害の患者、またこれらの障害の発症リスクをもつ健常者では、物事の良いことよりも悪いことを記憶しやすいという脳の癖・偏り(記憶バイアス)を持つことが知られている。記憶バイアスはうつ病や不安障害の発症・悪化との密接な関わりが指摘されてきたが、これを和らげる介入プログラムの研究は進んでいなかった。

 研究グループは今回、うつ病や不安障害の発症リスクを持つ成人に対しCBM-Mを実施。その結果、記憶バイアスが和らぎ、ストレスからの回復力が高まるとともに代表的なストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量が低下した。また感情の制御や他者との良い記憶の想起にかかわる扁桃体と前頭眼窩皮質内側部との間のつながり(脳の機能的結合)が強化されることも分かった。

 CBM-M は、必ずしも主観的には自覚されない心身に負荷されたストレスを軽減し、ストレスに関連した精神障害の発症を予防する可能性があるという。今後はCBM-Mから最も効果が得られやすい個人プロファイルの特定と、さらに詳細な作用メカニズムを明らかにすることが重要としている。

論文情報:【Psychological Medicine】The effectiveness and neurobiological actions of memory bias modification: a randomized controlled trial

大学ジャーナルオンライン編集部

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