東北大学大学院の岡田正弘准教授は岡山大学、大阪大学との共同研究により、骨ミネラルと同じ成分のセラミックスを多孔質化することで、表層を脱灰したブタやラットの骨と瞬時に接着することを明らかにした。接着力は強力で、接着強さもコントロール可能という。
骨折部位を固定するプレートや骨の状態をモニタリングするインプランタブルセンサーは、骨表面に固定して使用されるデバイスで、スクリューによる物理的固定か生体用接着剤による固定がなされる。しかし、物理的な固定は侵襲性が高い。また、「液体状のもの」を硬化反応させる接着剤は硬化反応時の発熱や接着強さに課題があった。
研究グループは、リン酸カルシウムの一種であるアパタイト(人の骨の主要成分)を原料として生体組織と迅速かつ直接に接着する新しいタイプの接着材を開発していた。アパタイトナノ粒子の合成・成形・加熱処理によって多孔質を制御した接着材を作製し、様々な生体組織との接着を検討したところ、コラーゲンを主体とする真皮などの軟組織に高い接着力を示したが、硬い骨には接着を示さなかった。
そこで、骨表層のミネラルを除去(脱灰)してコラーゲンを露出させると、軟組織と同様に迅速かつ直接に接着した。さらに、軟組織用接着剤として体内で使用可能なフィブリン糊に比べて 10 倍以上の高い接着強さを示した。また、骨の表層を脱灰する条件をコントロールすればアパタイトの接着強さが変化することも分かった。
今回の研究成果は、発生過程における骨ミネラルと有機物の安定化状態の変化から着想を得たもの。骨の表面に固定されるデバイスの簡便かつ迅速な接着固定技術としての応用が期待されるとしている。


