九州大学大学院システム情報科学府修士課程の学生3人が、消防団支援アプリケーション「REGIS」を開発した。災害時の出動通知や団員間の情報共有、事務手続きのデジタル化を一元管理するもので、福岡県糸島市の市消防団で本格運用が始まっている。
地域防災において中心的な役割を果たす消防団だが、近年は人手不足に加えてアナログな伝達手段による業務負荷が課題となっている。糸島市でも、災害情報の伝達手段の確保や事務作業の効率化が急務となっていたことから、IT技術による課題解決と持続可能な消防団活動を目指してプロジェクトが始まった。
開発者は修士課程2年の尾山幹大さん、瀧口諒久さん、吉田隼人さん。3人が学部4年生のころ、経済産業省による「福岡未踏的人材発掘・育成コンソーシアム(通称:福岡未踏)」の「Solve(課題解決コース)」に応募。糸島市から消防団が抱える課題提示を受け、現場でのヒアリングを重ねてわずか3カ月間で完成度の高いプロトタイプを構築した。
3人はプログラム終了後もアプリの開発を続け、揃って九州大学大学院に進学。糸島市はプログラムの統括プロジェクトマネージャーを務めた九州大学大学院システム情報科学研究院・荒川豊教授に開発継続と検証研究を要請し、実際に糸島市消防団員にアプリを導入してもらって実証実験を行った。
その結果、2025年度に商用レベルまで品質が高まり、糸島市消防団で本格運用に入った。「REGIS」には、確実な出動要請通知機能、活動日誌のデジタル化、デジタル団員証による地域クーポン利用機能などが盛り込まれ、現場の声を反映した使いやすさで高い評価を受けている。
荒川教授は「福岡未踏のSolveプログラムが機能した好事例となった。また、学生たちが起業に近い形で商用システムを作り上げ、自治体の現場で活用されるに至ったことは、大学におけるプログラミング教育やQREC(C&C)などの起業家教育の大きな成果だと感じている。長年続く糸島市と九州大学の連携研究から、このような実用的かつ地域に貢献する成果が生まれたことは、自治体にとっても大学にとっても特筆すべき成果だ」とのコメントを発表した。
2025年5月には、情報処理学会「モバイルコンピューティングと新社会システム研究会」におい論文を発表したほか、九州大学QRECが実施する「2025年度チャレンジ&クリエイション(C&C)」にも採択されており、さらなる展開が期待されている。

