放射線治療医 海野しおんの雑記帳

とある放射線治療医の雑記帳です。

【早期/孤立性肺実質再発非小細胞肺がん】体幹部定位放射線治療へのニボルマブ併用は4年無イベント生存率を改善する【I-SABR】

Stereotactic ablative radiotherapy with or without immunotherapy for early-stage or isolated lung parenchymal recurrent node-negative non-small-cell lung cancer: an open-label, randomised, phase 2 trial.
Chang JY, Lin SH, Dong W, et al. Lancet. 2023 Sep 9;402(10405):871-881. doi: 10.1016/S0140-6736(23)01384-3. Epub 2023 Jul 18. Erratum in: Lancet. 2023 Sep 9;402(10405):850. DOI: 10.1016/S0140-6736(23)01384-3. PMID: 37478883; PMCID: PMC10529504.

【背景と目的】
体幹部定位放射線治療(SABR)は、外科的切除が困難な早期非小細胞肺がん(NSCLC)における標準治療。
体幹部定位放射線治療(SABR)後の局所再発率は低いものの、リンパ節転移(11-13%、)、遠隔転移(11-20%)の発生率は依然として高い。
・III期非小細胞肺がん(NSCLC)では化学放射線療法後の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の維持療法は無増悪生存(PFS)および全生存(OS)の延長を示した
・本研究は、体幹部定位放射線治療単独(SABR単独)と体幹部定位放射線治療ニボルマブ(I-SABR)の効果を比較するランダム化第II相試験

【対象と方法】
・第2相ランダム化試験(NCT03110978)
・対象:
 ・治療歴のない非小細胞肺がん(T1-3N0M0 IA-IIB期)
 ・または腫瘍径≦7 cmの孤立性の肺実質再発
 ・全身状態:ECOG PS 0-2
・介入:
 ・体幹部定位放射線治療単独群(SABR単独):75例
 ・体幹部定位放射線治療ニボルマブ群(I-SABR):66例
 ・ニボルマブ群では480 mgを4週毎、合計4回投与
  ・初回は体幹部定位放射線治療と同日または36時間以内にニボルマブを投与
・主要評価項目:4年無イベント生存率(EFS)

【結果】
4年無イベント生存率(EFS)(per-protocol)
 ・体幹部定位放射線治療単独群(SABR単独):53%
 ・ニボルマブ併用(I-SABR):77%
  ・ハザード比:0.38(95% CI: 0.19-0.75, p=0.006)
4年無イベント生存率(EFS)(intention-to-treat)
  ・ハザード比:0.42(95% CI: 0.22-0.80, p=0.008)
・局所再発率:
 ・体幹部定位放射線治療単独(SABR単独):13.3%
 ・ニボルマブ併用(I-SABR):0%
・遠隔再発率:

 ・体幹部定位放射線治療単独(SABR単独):16.0%
 ・ニボルマブ併用(I-SABR):3.0%
・二次原発肺がん:
 ・体幹部定位放射線治療単独(SABR単独):8.0%
 ・ニボルマブ併用(I-SABR):3.0%
・全死亡:
 ・体幹部定位放射線治療単独(SABR単独):9例
 ・ニボルマブ併用:4例
・有害事象:
 ・体幹部定位放射線治療単独(SABR):Grade 3以上の有害事象の発生なし
 ・ニボルマブ併用(I-SABR):15.2%にGrad 3の免疫関連有害事象(主に倦怠感)
  ・ニボルマブ投与の中止・延期:10例(8%)
  ・Grade 4以上の有害事象、Grade 3の放射線肺臓炎の発症なし
・サブグループ解析
 ・PD-L1発現
  ・PD-L1陽性:ニボルマブ併用(I-SABR)群で再発なし
  ・PD-L1陰性:ニボルマブ併用(I-SABR)群で無イベント生存は良好(HR 0.27, p=0.012)
 ・腫瘍径:
  ・≦2 cm:ニボルマブ併用群で無イベント生存は良好(HR 0.35, p=0.023)
  ・>2 cm:改善傾向あるが有意差なし
 ・再発症例:
  ・症例数が少なく有意差は検出されず(HR 0.52, p=0.312)

【考察】
体幹部定位放射線治療単独と比較して、体幹部定位放射線治療ニボルマブ(I-SABR)は、早期または孤立性肺実質再発非小細胞肺がんにおいて4年無イベント生存率を有意に改善
・特にPD-L1陰性例でも無イベント生存率の改善が見られた点は注目
・3ヶ月の短期間の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)投与でありながら有意な効果が得られたことは、体幹部定位放射線治療の高線量、寡分割での照射が強い免疫刺激作用を発揮したためと推察
・免疫関連有害事象は全体的に低頻度かつ管理可能で、重篤な肺毒性の発生は認められず

【結論】
ニボルマブ併用体幹部定位放射線治療(I-SABR)は、治療歴のない早期または孤立性肺実質再発非小細胞肺がんに対して、体幹部定位放射線治療単独よりも無イベント生存の改善を示し、新たな治療選択肢となりうる
・現在進行中の第III相試験の結果が、今後この治療戦略の標準化に向けた重要なデータを提供することが期待される

【前立腺がん】中間リスク/高リスク前立腺がんに対する体幹部定位放射線治療(SBRT) vs 寡分割照射(HFRT):早期の治療関連毒性【PACE-C】

Intensity-modulated moderately hypofractionated radiotherapy versus stereotactic body radiotherapy for prostate cancer (PACE-C): early toxicity results from a randomised, open-label, phase 3, non-inferiority trial. 
Tree AC, Hinder V, Chan A,et al. Lancet Oncol. 2025 Jul;26(7):936-947. DOI: 10.1016/S1470-2045(25)00205-0. Epub 2025 Jun 12. PMID: 40517778.

【背景と目的】
前立腺がんに対する中等度寡分割照射(MHRT)は標準治療として確立しており、体幹部定位放射線治療(SBRT)も有効性が示されている。
・これまでPACE-B試験では低リスクの前立腺がん患者を対象として、体幹部定位放射線治療(SBRT)が中等度寡分割照射(MHRT)に対して非劣性であることが示されたが、中リスク~高リスク患者における毒性に関するランダム化データは不足していた。
本研究(PACE-C試験)は、中リスク~高リスクの前立腺がん患者における中等度寡分割照射(MFRT)と体幹部定位放射線治療(SBRT)の早期毒性の比較結果を報告する。

【対象と方法】
・第3相ランダム化非劣性試験
・実施施設:英国、アイルランドニュージーランドの53カ国
・対象:
 ・18歳以上
 ・WHO PS 0-2
 ・組織学的に確認された前立腺がん(T1-T3a, Gleason score 7-8, PSA 10-30 ng/mL)
 ・中間リスクまたは高リスク
・介入:
 ・中等度寡分割照射群(MHRT):60 Gy/20回(4週間)
 ・体幹部定位放射線治療(SBRT):36.25 Gy/5回(1~2週間、隔日または連日)
  ・前立腺+精嚢近位 1 cmに対してはマージンを加えず40 Gy/5回
 ・全例で放射線治療開始前にアンドロゲン除去療法(ADT)を6ヶ月間施行
・評価項目:
 ・主要評価項目:放射線治療12週以内の消化管毒性および泌尿器毒性(RTOG Grade 2以上)
 ・副次評価項目:CTCAE Grade 2以上の消化管および泌尿器毒性、患者報告アウトカム(PRO):EPIC-26、IPSS、Vaizeyスコア、IIEF-5

【結果】
・登録患者数:1,208例(寡分割照射 601例、定位放射線治療 607例)
・人種構成:白人 95%、黒人 2%、アジア系 1%、中国系 1%
RTOG Grade 2以上の毒性
 ・泌尿器毒性:寡分割照射 27%、定位放射線治療 28%
  ・絶対差:0.5%(p=0.89)
 ・消化管毒性:寡分割照射 11%、定位放射線治療 13%
  ・絶対差:1.4%(p=0.53)
CTCAE Grade 2以上の毒性
 ・泌尿器毒性:寡分割照射 28%、定位放射線治療 34%(p=0.050)
 ・消化管毒性:寡分割照射 10%、定位放射線治療 17%(p=0.0011)
重篤な毒性(Grade 3以上)
 ・泌尿器、消化管とも1%未満で低頻度
患者報告アウトカム(PRO)
 ・定位放射線治療群(SBRT)で、治療後4週時点で一時的な排尿障害および腸機能障害がやや多い傾向がみられたが、12週時点で回復
 ・性機能、ホルモン関連QoLの変化は両群で同程度

【考察】
体幹部定位放射線治療(SBRT)は短期間で治療が完了するため、患者利便性や医療リソースの節約に寄与する可能性がある
・定位放射線治療(SBRT)では消化管毒性の一過性増加が認められたが、12週時点で差は消失
・長期の毒性や腫瘍制御効果のデータはまだ不十分で、標準治療としての位置づけには慎重さが必要

【結論】
PACE-C試験の初期結果では、体幹部定位放射線治療(SBRT)と中等度寡分割照射(MHRT)の間で早期の毒性(RTOG基準)に有意差を認めず
CTCAE基準では定位放射線治療群で消化管毒性が一時的に不良であったが、12週後には回復
・今後、長期的な有効性と毒性の追跡が定位放射線治療(SBRT)を標準治療とするために必要

【関連】

note.com

【前立腺がん】低リスク/中間リスク予後良好群の限局性前立腺がんに対する体幹部定位放射線治療(SBRT)vs 通常分割照射/寡分割照射(CFRT/HFRT)【PACE-B】

Phase 3 Trial of Stereotactic Body Radiotherapy in Localized Prostate Cancer.
van As N, Griffin C, Tree A, et al. N Engl J Med. 2024 Oct 17;391(15):1413-1425. DOI: 10.1056/NEJMoa2403365. PMID: 39413377; PMCID: PMC7616714.

【背景】
前立腺がんは全世界で年間150万人が診断される重大な疾患である。
・通常分割照射(CFRT)や寡分割照射(HFRT)の有効性は確立されているが、治療期間が長いことが課題であった。
・近年の画像誘導放射線治療(IGRT)と高精度放射線治療技術の進歩にともない、高線量を短期間で照射する体幹部定位放射線治療(SBRT)が注目されている。
PACE-B試験では、低リスク/中間リスクの限局性前立腺がん患者における体幹部定位放射線治療の有効性と安全性を検証した。

【対象と方法】
多施設共同第III相非劣性試験(PACE-B)
・対象:
 ・前立腺がん(T1-T2, Gleason score 3+4以下、PSA ≦20 ng/mL)
 ・ホルモン療法非併用の低リスク/中間リスク前立腺がん
・介入:
 ・体幹部定位放射線治療(SBRT):36.25 Gy/5回(1~2週間)
 ・通常分割照射/寡分割照射(CFRT/HFRT):78 Gy/39回(8週間)または 62 Gy/20回(4週間)
・主要評価項目:生化学的または臨床的失敗回避率(FFBCF:freedom from biochemical or clinical failure)
 ・非劣性マージン:ハザード比 1.45
・経過観察期間(中央値):74ヶ月
・登録患者数:874例(体幹部定位放射線治療 433例、通常分割/寡分割照射 441例)

【結果】
5年生化学的/臨床的再発回避率
 ・体幹部定位放射線治療(SBRT):95.8%
 ・通常分割/寡分割照射(CFRT/HFRT):94.6%
  ・ハザード比:0.73(90% CI: 0.48-1.12, non-inferiority p=0.004
有害事象
 ・5年累積泌尿器毒性(Grade 2以上)
  ・体幹部定位放射線治療(SBRT)26.9%、通常分割/寡分割照射(CFRT/HFRT)18.3%(p<0.001)
 ・5年累積消化管毒性(Grade 2以上):
  ・体幹部定位放射線治療(SBRT)10.7%、通常分割/寡分割照射(CFRT/HFRT)10.2%(p=0.94)
・患者報告アウトカム(PRO):排尿や排便症状、性機能において両群に有意差なし
・全生存(OS)や転移の発生率も両群で同等

【考察】
低リスク/中間リスク予後良好群の前立腺がんに対する放射線治療において、体幹部定位放射線治療(SBRT)は通常分割/寡分割照射(CFRT/HFRT)に対して非劣性であることが示された。
・治療期間の短縮により、患者の利便性向上と医療資源の効率的な利用が期待できる。
中間期(2年時点)では体幹部定位放射線治療(SBRT)群で中等度以上の泌尿器毒性が強い傾向があり、特に基礎的な排尿障害がある患者では注意が必要
・本試験の結果は、HYPO-RT-PC試験など、他の試験とも整合性がある

【結論】
低リスク/中間リスク予後良好群の前立腺がんにおいて、5分割の体幹部定位放射線治療(SBRT)は、通常分割/寡分割照射(CFRT/HFRT)と同等の効果を示し、有効かつ利便性の高い治療選択肢であることが確認された。

【関連】

note.com

【前立腺がん】中間~高リスク前立腺がんに対する超寡分割照射 vs 通常分割照射【HYPO-RT-PC】

Ultra-hypofractionated versus conventionally fractionated radiotherapy for prostate cancer: 5-year outcomes of the HYPO-RT-PC randomised, non-inferiority, phase 3 trial. 
Widmark A, Gunnlaugsson A, Beckman L, et al. Lancet. 2019 Aug 3;394(10196):385-395. DOI: 10.1016/S0140-6736(19)31131-6. Epub 2019 Jun 18. PMID: 31227373.

【背景】
前立腺がんは分割感受性が高いとされており、近年、中等度か分割照射(MHFRT)の有効性が認められている。
・しかし、超寡分割照射(1回5 Gy以上の線量を用いる治療)に関するランダム化比較試験はこれまでに存在しなかった。
・本研究は超寡分割照射(UHFRT)が通常分割照射(CFRT)に対して非劣性であることを示す目的で実施された。

【対象と方法】
・第III相ランダム化非劣性試験(HYPOR-RT-PC
 ・スウェーデンデンマークの12施設
・対象:
 ・75歳以下
 ・WHO PS 0~2
 ・中間リスク~高リスク前立腺がん

  ・中間リスク:T1c-T2b, PSA 10~20 ng/mL, Gleason score 7

  ・高リスク:T3a, Gleason score 8-10, PSA 20 ng/mL未満
 ・アンドロゲン除去療法(ADT)の併用は許容されず
・介入:
 ・超寡分割照射(UHFRT):42.7 Gy/7回(週3回照射、2.5週間)
 ・通常分割照射(CFRT):78 Gy/39回(週5回、8週間)
・評価項目:
 ・主要評価項目:生化学的/臨床的無再発生存
  ・非劣性マージンは5年間で4%、ハザード比率:1.338と定義
 ・副次評価項目:生化学的無病生存、前立腺がん特異的生存(PCSS)、全生存(OS)、治療関連毒性

【結果】
・登録患者数:1,200例(通常分割照射 602例、超寡分割照射 598例)
・経過観察期間(中央値):5.0年
5年生化学的/臨床的無再発生存率:
 ・超寡分割照射(UHFRT):84%
 ・通常分割照射(CFRT):84%
  ・調整後ハザード比:1.002(95% CI: 0.758-1.325 <1.338)
・5年全生存率(OS):
 ・超寡分割照射(UHFRT):94%
 ・通常分割照射(CFRT):96%
・治療関連毒性:
 ・急性期毒性:超寡分割照射群で尿路および消化管の急性期毒性が有意に多かったが、ほとんどが軽度のものであった
 ・晩期毒性:
  ・5年後の尿路毒性(Grade 2以上):両群とも5%(有意差なし)
  ・5年後の消化管毒性(Grade 2以上):超寡分割照射 1%、通常分割照射 4%(p=0.14)
  ・性機能障害は両群で同程度

【考察】
・有効性:超寡分割照射は、通常分割照射と同等の腫瘍制御効果を示した
・安全性:超寡分割照射では急性期の副作用がやや多いが、晩期毒性は両群で同程度
・臨床的意義:照射回数/治療期間の減少により、患者負担の軽減と医療資源の効率的使用が期待できる
・限界:
 ・高リスク患者の割合が少ない(11%)
 ・アンドロゲン除去療法(ADT)の併用を行っていないため、高リスク患者への一般化は慎重であるべき

【結論】
中間リスクから高リスク前立腺がんにおいて、通常分割照射と比較して超寡分割照射は非劣性を示し、5年間の治療成績に有意差は認められなかった
急性期副作用は多いが、晩期毒性は類似しており、適切な画像誘導技術を用いることで臨床現場への応用が可能と考えられる。

【関連】

note.com

【ランダム化試験】切除可能境界/局所進行膵がんに対する導入化学療法後の体幹部定位放射線治療(SBRT) vs 同時化学放射線療法(CCRT)

A Randomized Controlled Trial of Stereotactic Body Radiation Therapy Versus Chemoradiation Following Induction Chemotherapy in Borderline Resectable and Locally Advanced Pancreatic Cancer.
Thakur V, Khosla D, Singh G, et al. J Gastrointest Cancer. 2025 Oct 27;56(1):208. doi: 10.1007/s12029-025-01282-0. PMID: 41144077.

【概要】
・切除可能境界/局所進行膵がん20例を対象に、導入化学療法後の体幹部定位放射線治療(SBRT)と同時化学放射線療法(CRT)を前向きに比較した。
体幹部定位放射線治療群(SBRT)は治療期間が短く、切除率15%・1年全生存率80%・局所無増悪生存期間中央値11 カ月で、化学放射線療法群(CRT)と比較して良好な成績であった。
・Grade 3以上の毒性は体幹部定位放射線治療群(SBRT)では認められず、生活の質(QOL)も有意に改善した
・好中球-リンパ球比(NLR)や血小板-リンパ球比(PLR)と予後との関連性も示唆された。

【背景と目的】
膵臓腺がんの予後は極めて不良であり、切除可能例は20–25%に限られる。
・局所進行膵がん(LAPC)や境界切除可能膵がん(BRPC)では、局所制御および切除率向上のため化学療法後の放射線治療が検討されている。
・本研究では、切除可能境界/局所進行膵がんに対するネオアジュバント化学療法後の体幹部定位体放射線治療(SBRT)と通常分割照射による化学放射線療法(CRT)後の切除率、R0切除率、局所無増悪生存率(LPFS)を前向きに比較した

【対象と方法】
・2021年~2022年、インドの単施設で行われたランダム化試験
対象:20例(切除可能境界 5例、局所進行 15例)
導入化学療法:
 ・mFOLFIRINOX または GEM+nab-PTX
放射線治療
 ・導入化学療法後に増悪のない患者を体幹部定位放射線治療群(SBRT)と同時化学放射線療法群(CRT)にランダム化
 ・体幹部定位放射線治療(SBRT):33-42 Gy/5-6回
 ・化学放射線療法(CRT):カペシタビン併用 45 Gy/25回
放射線治療後、手術適格例に対しては外科的切除を実施し、非切除例に対しては化学療法を継続
・治療毒性、生活の質(QoL)(EORTC QLQ-C30/PAN26)、血液学的指標(NLR、PLR)を評価

【結果】
・治療内容と線量設計:
 ・体幹部定位放射線治療(SBRT)は高精度放射線治療機(VERSA HD)を用い、危険臓器(OAR)を考慮した差動照射を実施。
 ・生物学的実効線量(BED)およびEQD2はいずれも体幹部定位放射線治療群(SBRT)で高く治療期間も体幹部定位放射線治療群(SBRT)で短縮(平均:10.7日 vs 37.1日)
 ・体幹部定位放射線治療(SBRT)群では3例(15%)が切除可能となり、1例を除きR0切除が行われた。
 ・同時化学放射線療法(CRT)群では切除可能となった患者はいなかった
CA19-9値:
 ・両群とも治療後に低下(SBRT群86%減、CRT群79%減)。
・毒性:
 ・体幹部定位放射線群(SBRT)ではGrade 3以上の毒性なし
 ・同時化学放射線療法群(CRT)では貧血・血小板減少・末梢神経障害などGrade 3毒性を一部で認めた。消化管穿孔や出血例はなし
・生存成績(SBRT vs CRT):
 ・局所無増悪生存期間(LPFS)中央値
  ・11ヶ月 vs 7ヶ月(p=0.03)
 ・全生存期間(OS)中央値
  ・15ヶ月 vs 12ヶ月(p=0.05)
  ・1年全生存率:80% vs 45%
   ・最終追跡時点で生存していた3例はいずれも体幹部定位放射線治療群(SBRT)の患者
・免疫学的指標:
 ・1カ月後の好中球-リンパ球比(NLR) < 3.01(p=0.02)および血小板-リンパ球比(PLR) < 156.78(p=0.01)で全生存が良好
 ・3ヶ月後の好中球-リンパ球比(NLR)< 2.2および 血小板-リンパ球比(PLR) < 89.47で局所無増悪生存期間が良好
 ・好中球-リンパ球比(NLR)、血小板-リンパ球比(PLR)低値はいずれも予後良好因子であった
・生活の質(QOL)評価:
 ・体幹部定位放射線治療群(SBRT)で治療後のQOLが改善傾向(ベースライン52.9→3カ月後88)。
 ・化学放射線療法群(CRT)でも改善がみられたが、最終値79で体幹部定位放射線治療群(SBRT)が上回った

【考察】
体幹部定位放射線治療(SBRT)は短期間治療により化学療法再開を早め、治療中断を減らす利点がある
高い生物学的実効線量(BED)の照射が良好な局所制御および生存に寄与し、毒性も少ない
・既報(PAULA-1試験、Reyngold et al. など)と同様に、体幹部定位放射線治療は化学放射線療法に匹敵または優れる局所制御率と低毒性を示す。
・本研究はインドにおける初の前向きの体幹部定位放射線治療と同時化学放射線療法の比較試験であり、免疫指標との関連(好中球-リンパ球比や血小板-リンパ球比)と予後との関連性も示唆された
・限界と結論:症例数が少なく単施設の試験であるため、結果の一般化には限界があり、化学療法レジメンや線量の不均一性も交絡要因。

【関連】

note.com