アジアの香りがキッチンに!インドネシアの屋台飯「マルタバ・テロール」

 

今回は、東南アジアの熱気を感じる国、インドネシアへ旅をしましょう。

ご紹介するのは、インドネシアの夜を彩るソウルフード「マルタバ・テロール(Martabak Telur)」です。

 

日本ではまだ馴染みが薄いかもしれませんが、現地では知らない人がいないほどの国民食。しかも、ただ美味しいだけでなく、なんと「将来の義理の両親への手土産」としても使われるという、ユニークな文化背景を持つ料理なんです。

 

スパイシーな香りとサクサクの食感がたまらない、この「マルタバ・テロール」の魅力とレシピをたっぷりご紹介します!

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1. マルタバ・テロール(Martabak Telur)

 

この料理の名前は「マルタバ・テロール」。

インドネシア語で「Telur(テロール)」は「卵」を意味します。

 

ちなみにインドネシアには2種類の「マルタバ」があります。

  1. Martabak Manis(マニス): 日本の大判焼きのような、甘くて分厚いパンケーキ。
  2. Martabak Telor(テロール): 今回紹介する、お肉やネギを包んで揚げ焼きにした塩味のお惣菜系。

 

語源はアラビア語の「Mutabbaq(折りたたまれたもの)」にあり、中東やインドから伝わったものが、インドネシアで独自の進化を遂げた料理です。

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 2. どんな場面で食べる?

マルタバ・テロールは、主に夜の屋台(カキリマ)で売られています。

仕事帰りのサラリーマンが家族へのお土産にしたり、小腹が空いた時の夜食として友人たちとシェアして食べるのが一般的。

 

現地では、アヒルの卵(Telur Bebek)を使うのが通の食べ方。鶏卵よりも味が濃厚で、揚げた時にサクサク感が増してボリューミーになるため、好まれています。

 

カロン・メルトゥア」への最強の貢ぎ物

インドネシアには、非常に面白い「暗黙の了解」があります。

それは、「彼女の実家に遊びに行く時は、マルタバ・テロールを持っていくこと」。

 

これを現地ではジョーク交じりに「Martabak sebagai alat diplomasi(外交ツールとしてのマルタバ)」と呼びます。

嫌いな人がほとんどおらず、家族みんなで分け合えるため、「カロン・メルトゥア(Calon Mertua=未来の義父母)」のご機嫌取りに最適な手土産とされているんです。

まさに、人間関係を円滑にする魔法の食べ物なんですね!

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3.歴史の小話:ジャワとインドの融合

歴史を紐解くと、中部ジャワ州の「ルバックシウ」という地域にたどり着きます。

1930年代、地元の青年アフマドと、インド出身のアブドゥラが出会い、インドのマルタバをジャワ人の口に合うように改良(野菜などを追加)したのが始まりだと言われています。

まさに異文化交流から生まれた傑作です。

今回は、現地の屋台の作り方や、インドネシアの家庭料理サイトなどをリサーチし、日本の家庭にある道具で作れるようにアレンジしました。

 

本来は職人技のように生地を空中で薄く広げるのですが、今回はフライパンの上で伸ばせる「漬け込み生地」の方法を採用しています。

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4. 材料(2枚分)

 <皮(クリット)>

   薄力粉:30g

   中力粉:30g

   塩:2つまみ

   水:120ml

   サラダ油:大さじ2

【時短テクニック】

皮を作るのが面倒な場合は、「春巻きの皮」を2枚重ねて代用してもOKです(水溶き小麦粉で貼り合わせると強度が出ます)。ただし焦げやすいので、具を先に炒めてから包むのがおすすめです。

 <具(イシアン)>

   鶏ひき肉:150g

   白ねぎ:1本(みじん切り)

   ニンニク:1片(みじん切り)

   カレー粉:小さじ2

       ※より現地風にしたい場合:ガラムマサラ小さじ1.5、クミンパウダー小さじ0.5、クローブパウダー少々を追加

   塩・こしょう:適量

   卵:1個

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 5. 作り方

 手順1:皮の生地を作る

ボウルに<皮>の材料(粉類、塩、水、油)をすべて入れ、ダマがなくなるまでよく混ぜます。そのまま30分ほど置いて生地を休ませます。

(この「寝かせ」が重要!グルテンが落ち着いて伸びやすくなります)

 

 手順2:具を作る

ボウルに<具>の材料をすべて入れ、よく混ぜ合わせます。

現地では生のまま包んで揚げますが、家庭の火力だと火が通りにくい場合があるので、心配な方はひき肉だけ軽く炒めてから卵と混ぜても良いでしょう。

 

 手順3:フライパンで成形する

ここがポイントです!

  1. 火をつける前に、テフロン加工のフライパンに生地の半量を流し入れ、お玉の背などでうすーく広げます。(厚いと巻く時に割れてしまうので注意)
  2. 広げたら、中火の弱火に点火します。
  3. 生地が白っぽくなり火が入ってきたら、真ん中に<具>の半量を乗せます。

    コツ: 具は欲張らないこと!多すぎると包めません。餃子のような気持ちで、少し控えめに。

 

手順4:包んで焼く

  1. 火を「強めの中火」にします。
  2. 生地の淵が焼けてきたら、中央の具を包み込むように四角く折りたたみます。
  3. フライ返しを使ってひっくり返し、両面にこんがりと美味しそうな焼き色がつくまで、じっくり揚げ焼きにします。

 

 手順5:カットして完成

まな板に取り出し、食べやすい一口大の正方形にカットして出来上がり!

お好みでパクチー等を添えて東南アジア感を演出してください。

私は前回のトリンチャット編で使用したフレンチパセリが余っていたのでなんとなく添えました。アジア感はないですね。

【アンドラ郷土料理】トリンチャット(Trinxat)|じゃがいも×キャベツの素朴レシピ - 旨味のるつぼ|まだ見ぬ世界の地味うま料理

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6. 作ってみた感想・味の特徴

 

実際に作ってみると、スパイスを炒めている時の香りがたまりません!一気にキッチンが東南アジアの屋台の雰囲気に包まれました。

 

食べてみると、皮はパリッとしていて、中は卵とお肉の旨味がぎっしり。

カレー粉のスパイシーさと、たっぷりのネギの風味が食欲をそそります。

春巻きとオムレツのいいとこ取りをしたような、どこか懐かしくもエキゾチックな味わいです。

 

生地作りが難しそうに見えますが、フライパンの上で広げる方法なら失敗知らずでした。意外と家にある材料だけで「現地の香り」が再現できるのが嬉しい発見です。

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 7. おすすめの食べ合わせ

 

現地では、ただそのまま食べるのではなく、付け合わせ(通称:アチャールなど)と一緒に食べるのがお約束です。

 

タレ: 酢醤油や、スイートチリソースがよく合います。現地風にするなら、酢・砂糖・醤油・水を混ぜた甘酸っぱいタレを作ってみてください。

付け合わせ: キュウリのピクルスや浅漬けがベストマッチ。脂っこさをさっぱりさせてくれます。

飲み物: 甘いアイスティー(Es Teh Manis)や、現地のビール「ビンタンビール」があれば最高ですね!

 

もし、勇気がある方は現地の人のように「生の青唐辛子」をかじりながら食べてみてください。刺激的な辛さが、濃厚なマルタバの味を引き締めてくれますよ。

 

いかがでしたか?

「未来の義父母への手土産」になるほどの国民食、マルタバ・テロール。

今度の週末は、ぜひお家でインドネシアの風を感じてみてください!

【アンドラ郷土料理】トリンチャット(Trinxat)|じゃがいも×キャベツの素朴レシピ

1.Trinxat(トリンチャット)

 トリンチャットはアンドラ公国の名物料理

見た目はかなり地味ですが、「土地の暮らし」が詰まった郷土料理です。
日本語にすると「(野菜を)細かく刻んで混ぜた料理」みたいなニュアンス。
名前の由来はカタルーニャ語の 「Trinxar(トリンチャル)」=「細かく刻む/切り刻む」 で、茹でた野菜を刻んで合わせる調理法がそのまま料理名になっています。


2.どんな場面で食べられる?

 もともとは貴族の料理ではなく、農民や羊飼いの食事
寒い地域で、手に入る食材が限られる中、寒さに耐えるための高カロリーな食事が必要だったため、ジャガイモ(炭水化物)+豚の脂という、理にかなった組み合わせに落ち着いた…という背景が見えてきます。

基本は冬の料理で、毎年2月にはアンドラに近いスペインの町プッチサルダーで
「トリンチャット祭り(La Festa del Trinxat)」が開かれ、何千人もの人がこの料理を楽しむそう。地元の人の愛の強さを感じます。

食べ方の定番は、熱々をカリカリのベーコン(豚肉)と一緒に頬張ること。
脂っこさを中和するため、しっかりした赤ワインと合わせるのが王道みたいです。


3.材料

(2〜3人分くらい)

  • じゃがいも:2~3つ(男爵がおすすめ)
  • キャベツ:150~200g 茹でるとカサが減るので多めでもOK(本来はサボイキャベツ/ちりめんキャベツ
    • 代用:普通のキャベツでOK。できれば外側の緑が濃い葉を使うと雰囲気です
  • ベーコン:適量
    • あれば:パンチェッタなどの豚の塩漬け系だとよりそれっぽい
    • 地方によってはラム肉で作ることもあるそう
  • にんにく:1かけ(好きなら倍でも)
  • オリーブオイル:大さじ1杯弱(忘れてもなんとかなるけど、本来は入れる。)

 ・ラードでも“現地感”が出ます

  • 塩:2つまみ
  • こしょう:適量
    • 白こしょうがあると味が締まってかなり良い

5.作り方

  1. キャベツとじゃがいもを塩水で茹でる
    柔らかくなるまで(目安10分くらい)。

  2. ザルにあげて、しっかり水気を切る(重要)
    ここが一番のポイントかもしれません。水っぽいトリンチャットは現地では「失敗作」扱いらしいです。

    • コツ:じゃがいもとキャベツは別々に取り出す
      キャベツの水分がじゃがいもに移って水っぽくなりにくいです。
      さらに、熱々のじゃがいもの皮をむいてる間に、キャベツの余分な水分が飛んでくれます。
  3. ボウルでじゃがいも+キャベツを潰しながら混ぜる
    ピューレ(完全なペースト)にはしないで、野菜の形が少し残る程度が理想。
    現地感を出したいなら、マッシャーよりフォークが雰囲気出ます。

  4. フライパンでベーコンをカリカリに焼く → 肉だけ取り出す
    脂はフライパンに残しておきます(これが旨み担当)。

  5. 脂の残ったフライパンでにんにくを炒め、香りを出す
    みじん切りにしたにんにくを入れて、焦がさないように。

  6. 潰した野菜を投入して、平たい円形に整える → 両面を焼く
    中火〜強火で両面をこんがり。表面にカリッとした焼き色がつけばOK。

    • ひっくり返しのコツ:お皿を使うと失敗しにくい
      お好み焼き感覚でいけると思ったら…トリンチャットは想像以上に柔らかくて、けっこう崩れます。
  7. 皿に盛って、上にカリカリベーコンをのせて完成


6.作ってみた感想・味の特徴

食べている途中でオリーブオイルを入れ忘れたことに気づきました。
でも、豚肉から出た脂だけで十分おいしい。むしろ「これで成立する料理なんだ…」という納得感がありました。

味はとても素朴で、落ち着く系。
じゃがいものほくほく感とキャベツの甘み、そこににんにく+豚の脂+胡椒が入って、地味なのにちゃんと満足感があります。表面をカリッと焼くほど香ばしさが出て、箸(フォーク)が止まりません。

食べ方としては、

  • 赤ワインのお供にすごく合う
  • 怒られるかもだけど、リッツに乗せて食べてもおいしい(塩気と脂が合う)

見た目は渋いのに、簡単でちゃんと美味しい。
「冬の郷土料理ってこういうことだよね」と思える一皿でした。

体調が微妙な日にちょうどいい:中国のやさしい蒸し卵「嫩滑水蒸蛋」

1.嫩滑水蒸蛋

嫩滑水蒸蛋(nèn huá shuǐ zhēng dàn/ネンホワシュイジョンダン)
直訳するとだいたい 「なめらか(水で作る)蒸し卵」
中国(中華圏)で親しまれている、卵の“つるん・すべすべ感”を主役にした蒸し料理です。


2.どんな場面で食べられる?

嫩滑水蒸蛋は、家庭でよく作られるやさしい味の蒸し卵
消化が良いので、体調が悪いとき/病気のとき、離乳食っぽい位置づけです。

二日酔いの日などにも向きそうな料理だなと思いました。

食べる直前に、上から醤油・ごま油・万能ねぎをかけて香りを足すのが定番。
さらに、ごはんにかけて食べてもおいしい(“卵かけご飯”とは別方向の幸せ)です。

茶碗蒸しとの違い

作っている途中で「出汁を入れたい」「具を入れたい」気持ち、めちゃくちゃ分かります。
が、それをやると茶碗蒸しになっちゃいます。

  • 茶碗蒸し:出汁の香り、具の食感を楽しむ料理
  • 嫩滑水蒸蛋卵そのものの風味と、すべすべ・なめらかな舌触りを楽しむ料理

今回は“あえて水と卵だけ”で行きます。

 


3.材料

(作りやすい分量)

  • 卵:3個(約160g)
  • 水:320ml(卵の約2倍量)
    • もう少し硬めが好みなら:1.5倍でもOK
    • 計量のコツ:卵の殻で水の量を測ると“それっぽい”+手軽
  • 塩:ひとつまみ

仕上げ

  • 醤油:適量
  • ごま油:適量
  • 好みで万能ねぎ:適量

5.作り方

先に「す」を入れないためのコツまとめ

  • 水は一度沸かしてから使う(「す」=気泡っぽい穴が入りにくい)
  • 卵液は泡立つまで混ぜない(空気を入れない)
  • ザルで濾す(仕上がりが滑らか)
  • 蓋をして蒸す(水滴が落ちると表面がボコボコになる)
  • 蒸し中はゴボゴボ沸騰させない(弱火で穏やかに)

手順

①卵液を作る
ボウルに卵・水・塩を入れて混ぜる。
※泡立てない/空気を入れないイメージで。
※水は一度沸かしたものを使うと「す」が入りにくいです。

 

②濾して器へ
①の卵液をザルで濾し、耐熱の器に注ぐ。

器のおすすめ:浅めで平らな器(深い器だと火の通りがムラになることがあるので、グラタン皿などが良いかも。)
ラップをして、爪楊枝で数カ所穴を開ける。 

③蒸す(6分)
沸いたお湯で6分蒸す
※蒸し始めたら火加減は弱火。ゴボゴボさせない。

④余熱(6分)
6分経ったら火を止めて、そのまま余熱で6分火を通す。

⑤仕上げ
食べる直前に、醤油+ごま油を合わせたタレをかけ、万能ねぎを散らして完成。
ごはんにかけても相性抜群で、「茶碗蒸しをおかずにご飯を食べてる」みたいな不思議な満足感があります。


6.作ってみた感想・味の特徴

これは「味が派手」というより、食感の幸福度が高い料理でした。
出汁や具材で盛らなくても、卵と水だけでちゃんと成立するのが面白いところ。上から醤油とごま油を落とすと、香りが立って一気に“おかず力”が出ます。

体調が微妙な日でも食べやすくて、確かに家庭で愛される理由が分かる一皿でした。