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大規模な太陽フレア、9~11日に複数回発生–「デリンジャー現象」も発生

2025.11.12 18:10

UchuBizスタッフ

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 「宇宙天気予報」を運営する情報通信研究機構(NICT)によると、日本時間11月11日午後7時4分に太陽面北西付近に位置する黒点群14274で太陽フレアの発生を確認した。11月12日午後2時に発表された。

 地球方向への大規模なコロナガスの噴出が複数回観測されており、高エネルギーのプロトン粒子の増加も確認されている。放出されたコロナガスの一部がすでに地球周辺に到来しており、今後1~2日以内にさらにコロナガスが地球に到来、通過することを予測している。

 この影響で地球近傍の宇宙環境や電離圏、地磁気が乱れる可能性があり、衛星測位システム(GNSS)を活用した高精度測位の誤差の増大、短波通信への影響、衛星運用への影響などが生じる可能性があるという。

 9~11日にXクラスの大規模な太陽フレアが複数回発生した。9日午後4時35分にX1.7、10日午後6時19分にX1.2、11日午後7時4分にX5.1。2024年5月に発生した規模はX8.7同年10月に発生した規模はX7.1となっている。

 太陽フレアは太陽の黒点付近で発生する爆発現象。強い紫外線やX線、電波などが放射される。加えてコロナガスが放出されることもある。発生したフレアのX線強度の最大値から小規模なものからA、B、C、M、Xの順でクラス分けされる。

 9日に発生した、X1.7クラスの大規模太陽フレアに伴って「デリンジャー現象」が発生している。デリンジャー現象は、大規模な太陽フレアに伴うX線や紫外線の急増で高度60~90km程度の電離圏D領域が異常電離して、電子密度が高くなり、通常はD領域を通過する短波帯の電波が吸収されてしまう現象。

 10日に発生したX1.2クラス、11日に発生したX5.1クラスの太陽フレアに伴って、高度3万6000kmの静止軌道で高エネルギープロトンの増加が確認されている。

 米地球観測衛星「GOES」の観測では、X1.2クラスの太陽フレアの影響でエネルギー10 MeV以上のプロトンフラックスが10日午後6時55分頃から上昇し、午後8時25分に10 Proton Flux Unit(PFU)を超えている。その後、11日午後12時10分頃に10 PFU以下に低下している。

 静止軌道で観測されるエネルギーが10 MeV以上のプロトン粒子フラックスが10 PFUを超える場合は「プロトン現象」と呼ばれる。プロトン現象は、プロトン粒子が地球の磁力線にそって極域に流れ込む影響から極域で短波帯の電波が吸収されて通信できなくなる現象である「極冠吸収」を引き起こす。

 11日に発生したX5.1クラスの太陽フレアの影響から同日午後6時40分頃からエネルギー10 MeV以上のプロトンフラックスが上昇し、午後6時55分に10 PFUを超えた(2回目のプロトン現象)。さらに、地球周辺への衝撃波到来で12日午前8時30分頃から再び上昇し、同日午前10時40分に1000 PFUを超えた(3回目のプロトン現象)。12日午後2時現在も1000 PFU付近の高い値で推移しているという。

 NICTの太陽風シミュレーション「SUSANOO」で算出された太陽風の予測によると、コロナガスの先端の衝撃波は12日の夜に到来するという。

 大規模な太陽フレアの発生は、太陽コロナガスの放出も伴う。太陽の上層大気であるコロナのガスが惑星間に放出される現象は「コロナ質量放出(Coronal Mass Ejection:CME)」とも呼ばれる。地球に到来するCMEは、大規模な宇宙環境変動を引き起こすことがある。

米航空宇宙局(NASA)の太陽観測衛星「Solar Dynamics Observatory(SDO)」で観測された太陽白色光画像(上)と米海洋大気庁(NOAA)の地球観測衛星「Geostationary Operational Environmental Satellite(GOES)」で観測された太陽紫外線画像(出典:NICT)
米航空宇宙局(NASA)の太陽観測衛星「Solar Dynamics Observatory(SDO)」で観測された太陽白色光画像(上)と米海洋大気庁(NOAA)の地球観測衛星「Geostationary Operational Environmental Satellite(GOES)」で観測された太陽紫外線画像(出典:NICT)

関連情報
宇宙天気予報(11月12日午後2時発表)

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