ニュース
ispace、ミッション4で打ち上げる大型月着陸船の熱構造モデルを公開–振動や音響の試験をクリア
2025.10.02 15:10
ispace(東京都中央区)は10月2日、ミッション4で使用する月着陸船であるシリーズ3ランダー(仮称)の熱構造モデル(Structure and Thermal Model、以下STM)の基本構造設計や熱設計の検証が完了したことを発表した。同日にはJAXA筑波宇宙センターで同モデルが報道陣に公開された。

シリーズ3ランダー(仮称)は、2025年6月に月面着陸に失敗したミッション2で運用したRESILIENCEランダー(高さ約2.5m、幅約2.3m、重量約340Kg)より大型化された本格的商業化モデル。高さ約3.6m、幅約3.3m、重量約1000kg(Dry: 無燃料時)で、ペイロード積載可能容量は最大数百kgとなる見込み。

ispaceは、経済産業省が実施する「中小企業イノベーション創出推進事業」(SBIR)における宇宙分野の「月面ランダーの開発・運用実証」テーマに、予算額120億円の補助対象事業として採択され、シリーズ3ランダー(仮称)を開発している。2027年に打ち上げられる予定のミッション3に続き、2028年にミッション4として打ち上げる予定だ。
同社は2025年4月より、JAXAの筑波宇宙センター内の環境試験設備において、シリーズ3ランダー(仮称)の熱構造モデル(STM)を使用し、振動試験、音響試験、熱真空試験を実施。これらの環境試験では、打ち上げ環境や宇宙環境を熱的または機械的に再現し、宇宙機が直面する過酷な環境下でもランダーの構造・熱設計が正常に動作するかを確認した。

打ち上げ時に月着陸船が受ける激しい振動や、極端な温度環境(太陽光下で約130度、影では−140度)など、宇宙空間での耐性の検証や、真空状態での熱的特性を評価し、問題がないことを確認したという。「環境試験では大きな問題がほとんど見つかっておらず、より信頼性の高いものを作ることと同時に、軽量化していくことも考えている」(ispace CTOの氏家亮氏)

環境試験の結果は、次の開発段階である詳細構造設計に反映され、打ち上げに向けた構造設計の認定試験をする構造モデル(Structural Model)で再度検証される予定。その後も開発を続け、フライトモデルの完成を目指す。なお、ispace代表取締役CEO & Founderの袴田武史氏によれば、国内外どのロケットで打ち上げるかは現在検討中だという。


