読書感想文「過疎ビジネス」横山 勲 (著)

 もう、結構な毒はまわっているのではないか。
 人口維持が難しい消滅可能性自治体と、その中で「地方創生」の核となるはずなのにヒト・モノ・カネが全く足りず、派手に話題が盛り上がり評判を呼ぶためのことなら、とにかく何でもいいからなんかやれ、と踊らされながらも疲弊していく「限界役場」。そして、日々、忙殺される役場職員や町村長に巨額のカネと企業から派遣されるヒトをつける甘言で誘惑する怪しげな連中。ヤレヤレ、どうしたものか。
 地方分権制度改革とともに、政策法務スキルアップが求められた。実は、この四半世紀、市町村の現場では、法務すなわちリーガル・スキルがまるで上がっていない。政策形成能力も決して上がっているとは言えないが、それ以上に憲法行政法民法の知識は当然、必要なのだが、カラキシなのだ。地方行政において、法的思考、法的判断が欠けると惨事になる。
 地方の現場では、介護保険制度、地球温暖化対策、女性活躍、情報化、インバウンド、円高と円安、そうそうコロナもあったし、ふるさき納税の大競走は続いている。地方が担う仕事の量は爆増し、求められる専門知識やスキルも急増している。中規模以上の都市になれば、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング、外注委託のことだ)が進み、地方公務で働く人が誰なのかが溶け出している。そして、国の制度を縦横無尽に使いこなした自治体が国からの恩恵を受けるマチになる。だが、本来は国の制度に乗っからずとも地域で当たり前に、生業をつくることだ。遠回りだが、悪徳コンサルに脇の甘さを突かれずに済むために必要な「まちづくり」とは、自分たちで「地域に働く場所をつくる」ことだ。