古民家ギャラリーうした+古本カフェ便り

読書ブログなど、自分の興味のあることを書いていきたい。

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

みちのくの人形たち    深沢七郎

文春文庫。 深沢七郎の話しは読んでみて、初めて体験できる と言った性格のものであるという感じは確かにす る。 深沢氏はとても深い人なので、やさしさや度量が 人の何倍もあるんじゃないか、と思う、それゆえ に、作品も亡くなってからも評価され続けてい…

彼らの流儀    沢木耕太郎

33篇の印象深いショートストーリー。エッセイで もないし、コラムでもないし、小説でもないと自 身で語る。スタイルが決まっている訳ではないが 、日常の一コマを切り抜くような、それでいてそ の一瞬一が特別であるという描き方。どの話もフ ェイバリット・…

かわいそうだね?   綿矢りさ

文春文庫。 就活をしている元カノを助けるために、同棲すること を許す女?、なんているわけねえだろ?どんだけ心広 いねん。(つい大阪弁になっちゃう)と読みすすめ、 元カノに借りがあることが語られ、それでもなア、と なるが、メールでラブラブなのを見…

深夜特急1    沢木耕太郎

新潮文庫。 香港で黄金宮殿という名の連れ込み宿に 投宿した私は、街に夢中になる。マカオ に行き、"大小”と言うギャンブルについ て、考察し、博打する。とことんやろう、 と決めて、飽きるまでやってみる、こと を描く。二十六歳にして、こんな旅がで きる…

銀座八邦亭        森田誠吾

文春文庫。 銀座のレストランで働く錦ちゃん、ちょっと オツムは弱いが、皆に愛されている。八邦亭 が解散して、乞食になってしまっても、昔の よすがで、面倒を見てもらって、赤線に行っ て女に夢中になり、金沢まで当てもないのに 探しに行って、歩いて帰…

WATER   吉田修一

「文學界」平成10年8月号。 高校の水泳部、爽やかさだけではない、病みも キチンと描かれている。吉田氏ははじめから巧 い作家だったのだな、と思った。非常に繊細な 描写にリアリティを感じた。多分、吉田氏の実家 が酒屋で水泳部だったのじゃないかな……。…

蹴りたい背中   綿矢りさ

綿矢さんが十九歳の時に130回芥川賞を受賞 し、127万部売った作品。 果たしてなぜ彼女が背中を蹴りたくなったか? リビドー説などいろいろあるが、それは、若さ から来るどうしようもない、やるせない衝動と いうところに落ち着くだろう。これじゃあ、余 り…

ジャージの二人      長嶋有

集英社文庫。 夏に働くのはバカらしいと、北軽井沢の父と犬の ミロと小説家志望の僕の過ごす日々を描く。小説 の方は筆は進まず、妻との関係は放置している。 細かなところで気が利いている。畑の真ん中で立 ってケータイをかざしている女は何をしているの …

流亡記     開高健

万里の長城に使役され、その周辺諸国から あつめられた始皇帝に遇する人々。始皇帝 は、僕はなぜか泰平の世の中だと思ってい たのだが、そうではないらしい。何かの支 配からの脱却というのが、テーマになって いて、戦後色濃い生き強い男たちを描く、な ま…

終の住処(ついのすみか)   磯崎憲一郎

新潮文庫。第141回芥川賞受賞。 しがないサラリーマンが女にモテてしょうがない、 というのも首をひねらざるをえない。また11年口 を利かなかったとあるが、果たしてそんなことが 可能か疑問に思わざるを得ない。不自然なことが 多すぎるのである。文章も…

熱帯魚     吉田修一

大工の修業をしている大輔。中学生と建 築中の家でオイタしようとして、火事に なって、親方にしこたま殴られたり……そ の文章はリアルという言葉が良く似合う。 同棲している真実と扶養している光男も 話しに肉をつける。そしてもう一つの軸 は、託児所の立…

プールサイド小景・静物    庄野潤三

ダンナが浮気をしていたり、金を使い込んだり あるいは、家族を描いたりして、常のこの人は 日常を描いているのだな、と思う。その日常の 特殊性みたいなものが、このひとの描く世界には 確かに存在している感じがする。通俗小説として 読むこともできるが、…

飼育     大江健三郎

第三十九回昭和33年上半期 大江氏の文章は難解である、が故に読んでいると 中毒性があり、イメージが絡みついてくる。この 作品にこの文体と云うのは非常によくあっている と感じた。山に戦闘機が墜落し、その生き残りの 黒人を”飼育”するという話しだが、そ…

日記  8・6

昨日は、広島にとって重要な一日でした。僕も バスに乗って、中区の某所にあるお墓に参って その足で、平和公園の学徒動員の碑に手を合わ せました。その後で、八時十五分になり、黙 とうしました。川っぷちで黙とうしたのですが、 ふらふらしてきて、危うく…

棚谷彰 被爆じぞう展 2

広島もとても暑い日が続きます。カフェは 残念なことにクーラーがなく(奥の座敷には 有り〼)、扇風機の冷却機能付きのはありま すが、川風が吹くので、気持ちはいいのですよ。 棚谷さんの写真展も、今週から始まっていま す。21日(日)までやっています。 …

硫黄島     菊村到

第三十七回昭和三十二年上半期 硫黄島で生き残った日本兵が、二人の日本兵を 殺したと思い込み、苦労し、自殺する。推理も の仕立てで、読んでいて、謎は深まってゆく。 文学的な趣きも深く、その自殺の理由を究明し ていこうとする。菊村氏は、銓衡委員の予…

海人舟      近藤啓太郎

第三十五回昭和31年上半期 海人の勇は、ナギと結婚したいがため、村一番に なることを誓い、倒れるほどの努力をする。必死 になって村一番を目指していたのに、いざ、ナギ が呆気なく結婚してもいい、と云うと、なんだか そんなに、欲しいとは思わなくなる。…