tn3のブログ

野村忠央です

64. 清水重好、一橋治済、斎藤十郎兵衛

以前、43. 池波正太郎『剣客商売』、田沼意次、大石慎三郎、一橋治済 - tn3のブログ で一橋治済の黒幕的側面について記したが、12月7日に放送された大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第47回「饅頭こわい」は驚きの展開だった。すなわち、前回終わり…

63. 『水戸黄門』第2部第33話「お犬さま罷り通る」(1971年)

TBSナショナル劇場の『水戸黄門』シリーズで光圀が柳沢吉保(山形勲)と対峙する回は何度もあったが、私が一番心に残るのは第2部第33話「お犬さま罷り通る」(1971)である。 シリーズの事件を解決して、水戸老公一行が久しぶりに江戸の地に舞い戻るが、民は…

62. 追悼 仲代達矢

先日、俳優の仲代達矢(1932-2025)が亡くなった。92歳だったが、上半期に『徹子の部屋』にも出ていたので、まだ元気だと思っていた。 黒澤映画の常連だったが、私の世代には『乱』(1985)が最初の頃の記憶だろうか。しかし、それがもう40年前とは。当時、…

61.『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(2025年)が残り1ヶ月になって

今まで大河ドラマで近代以降を描くものを含めて、何回か「今回はあんまり興味ないなあ」という作品があったのだが(途中で観るのをやめたものもあった)、*1今年の『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』は良い意味でそれが裏切られた気がする。すなわち、当初、主…

60. 鈴木健二、『クイズ面白ゼミナール』、『歴史への招待』

昨年3月に元NHKアナウンサーの鈴木健二(1929-2024)の訃報ニュースが報じられた時、NHK退職後、文化施設の館長をしていたことまでは知っていたが、正直、「まだ生きていたんだ」というのがまずもっての感想だった。享年95歳だった。 このブログでは日曜日夜…

59. 『剣客商売』「剣の誓約」(1999年)と夏八木勲

『剣客商売』「剣の誓約」はそれぞれの登場人物が切ないが、『剣客商売』らしい良い話だと思う。秋山大治郎の師嶋岡礼蔵を何人もの俳優が演じているが(木村功、信欣三、林隆三など)、藤田まこと版第2シリーズ第3話「剣の誓約」(1999)で嶋岡を演じた夏八…

58. 『国宝』(2025年)雑感

こんな大ヒットになる前からずっと観に行きたいと思っていた『国宝』をようやく観てきた。作品論を記すエネルギーがないので、雑感のみを。*1 立花喜久雄の吉沢亮(1994)も花井半弥の横浜流星(1996-)も歌舞伎役者ではないのに、『曽根崎心中』とかあそこ…

57. 十代目松本幸四郎版『鬼平犯科帳』(2023-)雑感

そろそろおととし2023年から新シリーズが始まった十代目松本幸四郎(1973-)版の『鬼平犯科帳』について一言述べるべきだろうか。*1 私は八代目松本幸四郎(初代松本白鸚)(1910-82)、丹波哲郎(1922-2006)、萬屋錦之介(1932-97)、二代目中村吉右衛門(…

56. 刑事ドラマ、ごく短い雑感

随分前のことだが、番組の中で一般人ではなく実際の警察官の人たちに「あなたの好きな刑事ドラマは何ですか?」というインタビューがあった。『太陽にほえろ』(1972-86)とか『西部警察』(1979-84)とかが挙がるのかなと思ったら(『あぶない刑事』、『相…

55. 『剣樹抄〜光圀公と俺』(2021年)の泰姫、柳生義仙

若き日の水戸光圀(山本耕史)を主人公にしたBS時代劇『剣樹抄〜光圀公と俺』(2021)*1は当然、歴史上の人物が出てくる。父水戸中納言頼房(中村育二)、叔父紀伊大納言頼宣(大河内浩)、老中松平伊豆守信綱(升毅)などである。 本号はそれほど有名ではな…

54. 『剣客商売』「信濃の老虎」(1973年)と小松方正

『剣客商売』の「老虎」の話は、山形勲・加藤剛版第15話の「信濃の老虎」(1973)も藤田まこと版第1シリーズ第5話の「老虎」(1998)も『剣客商売』らしい良い話である。事件の解決に際し、秋山小兵衛と田沼意次(松村達雄、平幹二朗)との良き関係も描かれ…

53. 水戸光圀の呼称もろもろ

BS時代劇『剣樹抄〜光圀公と俺〜』(2021)は若い頃の水戸光圀(山本耕史)が主人公のドラマだが、この頃の実際の光圀の名前は「水戸光国」である。作者の冲方丁(1977-)は『光圀伝』(角川書店)*1の著者であり光圀の伝記に詳しいので当然、知っているはず…

52. 追悼 吉行和子

女優の吉行和子(1935-2025)が9月2日に亡くなったという。享年90歳ということなので天寿全うだと思うが、もうそんな年齢になっていたのかと思う。最近(と言っても、2000年代に入ってからのことだが)の映画だけでも『佐賀のがばいばあちゃん』(2006)、山…

51. 大友柳太朗と『水戸黄門』(1960年)

前号で大友柳太朗(1912-85)のことを言及したのでもう一言だけ。大友は戦前から活躍した、私より年上の人には『丹下左膳』や『右門捕物帖』などで活躍した有名な時代劇スターである。しかし、私の世代には『北の国から』(1981-82)の笠松杵次、TBSの『水戸…

50. 『北の国から』(1981-82年)の主題と笠松杵次(大友柳太朗)

本ブログを昨年の2025年8月26日に開設し、9月15日に記事を書き始めてからほぼ一年となる今回の第50号では『北の国から』(1981-82)の私なりの主題について記しておきたい。 『北の国から』の年配の重要な脇役は 25. 『北の国から』と大滝秀治 - tn3のブログ…

49. 『日本のいちばん長い日』(1967年)、承詔必謹

今日は80年目の終戦記念日だが、1967年の東宝映画『日本のいちばん長い日』(岡本喜八監督)は昭和20年8月15日に起こった「宮城事件」の長い一日を描いた映画である。「戦争は始めるより終わらせる方が難しい」はしばしば言われることだが、まさにそれが体現…

48. 松平定信と溜詰大名、伺候席

大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第30回「人まね歌麿」(2025年8月10日放送)で松平定信(井上祐貴)が溜詰(たまりづめ)大名に格上げされる場面が描かれるが、老中就任の足掛かりとなる重要なことである。 定信は八代将軍徳川吉宗の孫であるので…

47. 『北の国から』の黒板五郎役は…

『北の国から』(1981-82)は 北の国から - Wikipedia にもあるように、また倉本聰(1935-)が実際に述べている映像も見たことがあるが、主役の黒板五郎役は下記のような候補が考えられていた。 主役の黒板五郎役は大御所俳優からは高倉健・田中邦衛・仲代達…

46. 『大岡越前8』最終回(2025年)で描かれた天一坊事件

BS時代劇『大岡越前8』のシリーズが終わりを迎えたが、最終回の2回は(7)「天一坊現る」(2025年7月20日)、(8)「越前と天一坊」(7月27日)というタイトルで、いわゆる「天一坊事件」を扱ったものであった。加藤剛(1938-2018)主演のTBS「ナショナル劇場…

45. 佐野善左衛門政言と田沼意知

43. 池波正太郎『剣客商売』、田沼意次、大石慎三郎、一橋治済 - tn3のブログ の続きの話になるかもしれない。『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第28回「佐野世直大明神」(2025年7月27日放送)で旗本佐野善左衛門政言(まさこと)(矢本悠馬)が若年寄田沼山…

44. 主役俳優が変わったが、思いの外、良かった時代劇俳優

主役の俳優が変わると、大抵は興醒めで残念なことが多い。*1しかし、主役が変わったが、思いの外、良かった時代劇の話をいくつか。TBSナショナル劇場の『水戸黄門』はやはり初代(1969〜83)の東野英治郎が良かった。しかし、四代目(2001〜02)の石坂浩二*2…

43. 池波正太郎『剣客商売』、田沼意次、大石慎三郎、一橋治済

池波正太郎(1923-1990)の『剣客商売』が一般人に対してイメージを変えた功績の一つは田沼意次のイメージだと思う。我々は小さい頃から田沼意次は賄賂政治家、松平定信は寛政の改革を行った清廉潔白な政治家というように習っていると思う。しかし、『剣客商…

42. 『鬼平犯科帳』「いろおとこ」(1992年、1975年)、余談『わが命つきるとも』(1966年)

鬼平犯科帳に「いろおとこ」という話があるが、あらすじは吉右衛門版第3シリーズ第6話(1992)の以下を。 第3シリーズ 第6話|過去の作品|鬼平犯科帳 - フジテレビ 重要な登場人物は剣が強いが未熟な寺田源三郎・盗賊に命を奪われた兄火付盗賊改方同心寺田…

41. 月形龍之介演ずる水戸光圀の威厳、史実の水戸斉昭の不時登城

月形龍之介(1902-1970)演ずる水戸光圀は威厳がある。それを感ずる場面はいくつかあるのだが、1959年の『水戸黄門 天下の副将軍』の冒頭場面もその一つである。*1老中阿部豊後守(佐々木孝丸)と戸田山城守(香川良介)は将軍綱吉の母桂昌院の意向を受け、…

40. 『必殺! III 裏か表か』(1986年)、『必殺4 恨みはらします』(1987年)

「必殺仕事人」の劇場版の映画は6作あると思うが、劇場に足を運んだのは第4作の『必殺4 恨みはらします』(1987)までだった。6作のうちどれが好きかと言えば第1作、第3作、第4作であるが、今日は第3作の『必殺! III 裏か表か』(1986)の印象に残っているこ…

39. 追悼ジェームズ三木

脚本家のジェームス三木(1934-2025)が91歳で亡くなった。私は山岡荘八(1907-1978)、司馬遼太郎(1923-1996)、池波正太郎(1923-1990)などはリアルな実在人物ではなく歴史上の人物、作家のような感覚がある。もう少し年配の方であればもっと身近な存在…

38. 鎌倉時代は血で血を洗う抗争の歴史

大河ドラマで鎌倉時代(1185-1333)を扱った作品は2本ある。『草燃える』(1979)と『鎌倉殿の13人』(2022)である。 草燃える - Wikipedia 大河ドラマ 草燃える 〈第17作〉 |番組|NHKアーカイブス 鎌倉殿の13人 - Wikipedia 大河ドラマ 鎌倉殿の13人 〈…

37. 『遙かなる山の呼び声』のハナ肇と『幸福の黄色いハンカチ』の渥美清

私が習った代ゼミ現代文の森久先生(1932-2012)が山田洋次監督(1931-)のことが好きで、対談もしたことがあるということであった。それで、現代文の講習期間に『遙かなる山の呼び声』(1980)が偶然、どこかのテレビ局で放映されていて、授業中、見た人が…

36. 現代の米の値段の高騰と徳川吉宗

政府が米の値段(米価)を2千円まで安くすることを目指すという。昨今、コンビニのおにぎりが200円を超え、前は5〜600円だったお弁当が千円近く、家族で飲食店でちょっとした食事をしても何千円となり、食費も含めた物価高騰を実感する。それを考えると、米…

35. 『ローグ・ワン』

スター・ウォーズシリーズの新旧3部作(Episode 4〜6、1〜3)以外の作品で名作なのは個人的に『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016, Rogue One: A Star Wars Story)だと思う。 オビ・ワンなど我々がよく知っている人物はほとんど登場しな…