天星人語

無職71歳です。ふしだらな生活を送っています。65歳と2か月で脳梗塞を発症、5か月間の入院を経て、6か月後に復職しました。 4年後、通院と服用は終了しました。

日本経済を縛る“見えない壁”:人手不足の本当の原因とは

序論

日本経済の最大の課題は、需要ではなく「供給不足」にある。 その中心にあるのが 人手不足 だ。

ただし、問題は単純に「働く人が少ない」ことではない。 より深刻なのは、労働投入量(働く総時間)の縮小である。

就業者数は過去最多を更新しているにもかかわらず、労働時間は年々短くなり、結果として労働供給力はむしろ低下している。

労働投入量の実態:人数は増えても、働く時間は減っている

労働投入量の実態:人数は増えても、働く時間は減っている

【労働投入量の推移】

年代 就業者数(万人) 年間総労働時間(一般) 年間総労働時間(パート) 備考
1990 約6,200 約2,100時間 約1,300時間 バブル期、長時間労働
2000 約6,400 約2,000時間 約1,200時間 正規雇用が増加
2010 約6,300 約1,950時間 約1,100時間 リーマン後の調整
2015 約6,500 約1,900時間 約1,050時間 働き方改革が進む
2020 約6,700 約1,850時間 約950時間 コロナ禍で急減
2023 約6,850 約1,820時間 約930時間 テレワーク普及
2025 約6,860〜6,870 約1,800時間弱 約900時間弱 高齢者・女性の就業増
 

失業率は2%台で、働ける人はほぼ働いている状態。

それでも企業の人手不足感は強く、日銀短観では 雇用人員判断DIが▲36%Pt(2024年度平均) と深刻な供給制約を示している。

さらに、帝国データバンクの調査では 人手不足倒産が過去最多 を更新している。

労働供給を縛る“隠れ壁”とは何か

供給不足を悪化させているのは、統計に表れにくい制度・文化的な制約―― いわゆる “隠れ壁” である。

✅ 1. 税制・社会保険制度の壁

  • 所得税「103万円の壁」

  • 社会保険料「106万円・130万円の壁」

  • 住民税の課税開始ライン

  • 第3号被保険者制度による年金負担の壁

これらが「働きすぎると損をする」構造を生み、労働時間を抑制している。

✅ 2. 企業文化・雇用慣行

  • 扶養内で働きたい人に合わせたシフト制限

  • 長時間労働を前提とした組織文化

  • 柔軟な働き方を阻む評価制度

制度よりも“空気”が労働参加を縛っているケースも多い。

✅ 3. 家庭・地域社会のジェンダー役割

  • 家事・育児・介護の負担が女性に偏る

  • 地域の慣習や期待がフルタイム就業を難しくする

これらの要因が積み重なり、労働投入量の縮小を招いている。

結論:必要なのは“働き方そのもの”の見直し

残業規制を緩めるといった一時的な対策では、日本の供給不足は解消しない。

今求められているのは、働き方そのものを根本から見直すことである。

✅ 取り組むべき方向性

  • 税制・社会保険制度を、働くほど不利にならない仕組みに改めること

  • 家事・育児・介護の負担を家庭内で偏らせないこと

  • 企業文化を、長時間労働前提から“柔軟な働き方”へ転換すること

これらは制度だけでなく、社会に深く根付いた価値観や習慣にも関わるため、解決は容易ではない。

しかし、この“見えない壁”を放置すれば、労働力不足は慢性化し、日本経済の活力は確実に失われていく。